この度、Web小説サイト・カクヨムにて、拙作『イマジン・ヒューマン!』を連載開始しました。本来であればカクヨムのプロフィール内でいろいろと書くべきだとは思いましたが、それはそれで「僕こんな人間だよ!見て見て!」とアピールしているようでもあり……。理由についてはこの個人ブログで綴っていこうかなと思い、筆を執っております。
事の始まりは今から2年前。『裏目で語れ』という別作品でシナリオコンテストに応募し、選考を突破したことが大きな転機になりました。当時の僕は精神的に病んでいた関係上、内容は酷く鬱々しいものではありましたが、言いたいことを全て詰め込んだ自負がありました。故に「この作品を完成させたいな……」との思いは抱いていたのですが、本業が忙しくなったり、また精神的な浮き沈みがあった関係で、そのまま2年の月日が流れてしまいます。
本格的に小説を書こうと思ったきっかけになった出来事は大きく2つ。うちひとつは本業の仕事量が減少したためです。配属が変わり、更には労働改革が成されたことで休みが増え、時間的余裕が生まれるようになりました(休日はリアルに3倍になった)。これにより「時間がなくて◯◯出来ないよ〜!」という状況から、「時間ができたから新しいことしようかな」と切り替えることができました。
また同時期に、小説を多く読むようになったのも大きいです。良いライブを観ればレポを書きたくなる。良い映画を観ればレビューを書きたくなるのと同様に、面白い小説に出会うことで「何か自分も創作してみようかな」と純粋に考えられたのです。
そこでまずはじめに頭に浮かんだのは、処女作『裏目で語れ』を完結させる、というものでした。しかしながらこの作品は物語の特性上、どうしても長編になるのが避けられません。また希死念慮に駆られ絶望状態だった当時の僕と今の僕との精神的な乖離の問題もあり、初の小説としては荷が重いのかなと思いました。
そこで考えたのが、今作『イマジン・ヒューマン!』です。今作は重要なテーマとして『つまらない会話を多面的に考える』というものがあります。第1話ではジハ(時事発表)について取り上げましたが、この『ジハ』という部分さえ思い浮かんでしまえば、後は様々な様子を描写することで、およそ1本の長さになります。この細かな描写は僕が過去ライブレポで書いてきた手法と同様なので、楽しく書くことができるなと。
加えて、今作は全ての内容が日常会話の延長戦上で物語が進行します。今後突飛な話をすることもないですし、ふたりの学生の日常会話をどう見せるか、というところに面白さを感じています。話のオチも基本的には考えていないので、臨機応変に変える……といったこともスムーズにできるのが魅力ではあります。
話は少し逸れますが、そもそも小説という媒体は、最も一般の人が手に取りにくいジャンルだと思います。音楽やYouTubeが3分程度でほぼ終わるのに対して小説は長く、しかも集中しなければ興味も沸きませんから。正直、僕も一般の誰かが作った創作の物語を読むことはほぼないです。もし同じ『読む』という作業をするなら、プロが書いた小説を買いますし。何ならそのプロの小説も、レビューの高さで選んで読んだりします。なので「読んでー!」と言ったところで、画面をスクロールしながら「こんな長いの読めねーよ!」と諦めてブラウザバックをする人の気持ちも、よく分かります。
一方で『カクヨム』を見ていて驚いたのは、様々なことでタイパやコスパが重要視される中で、ここまで小説に全力を注ぐ人が多いということです。お金にはならないけど、好きなことだから文章を書く。この非効率さに、ある種の面白さを感じたのは事実でした。
もちろん本業が第一ですし、今まで通りご依頼をいただいたライター仕事もやっていきます(月2〜3くらいでガンガンやりたい)。大好きなバンドのライブレポも変わらず。ただその中で、全く別の角度からアウトプットする『小説』という活動もまた、自分の中の新たな刺激として楽しめたらなと。
これも余談ですが、この数年間、僕はいろんな人と関わりを持つ機会がありました。ChatGPTから意見をもらって事業拡大を目指す人。株式投資で何もせずに毎日数万のお金が入ってくる人、Xで商材を売って荒稼ぎする人、性的なコンテンツで月100万円稼いでいる人。転売ヤー的な活動で本業を上回る稼ぎがある人、などなど。その中で痛感したのは、物書きという仕事がいかにコスパが悪いか、ということです。
ご存知の方もおられるかとは思いますが、物書きの仕事は想像を絶するレベルで稼げません。皆さんが想像するより、本当にあり得ないくらいに稼げません。そして僕には、物書きをお金に変える頭も技術もありませんでした。これは10年間物書きをしていて痛感したことです。ただこんな時代だからこそ、回り道をしまくって進む執筆活動は、大きな価値のある行為だと僕は思います。これから地道に活動していく予定です。宜しければ。