KAI-YOU.net様に、Adoの新曲“アタシは問題作”のレビュー記事を寄稿しました。
昨年は世界一のセールスを記録し、日本の音楽のトップを走る存在になったAdo。ただ、彼女はは紛れもなく世界的なアーティストだと思っている一方で『現実の自分と世間的イメージの乖離』に人一倍直面するアーティストだとも感じています。これに関しては良くも悪くも一気にバズった“うっせぇわ”の破壊力が一因で、それこそあの曲で僕らも『Ado=反逆者』的なイメージを持ってしまって。でも本人は我々と同じ人間なんですよね。しかもまだ若い。……そんなAdoに対して変な言い方ですけど、今の我々は彼女の曲を楽しみつつも「やっぱ“うっせぇわ”めちゃ良かったし、強い人なんだろうね!」などと聞こえないところでいろいろ言う、みたいな傍観者状態になっているように思います。
そこでハッと浮かぶのが、17歳でブレイクしたビリー・アイリッシュで。彼女は「私は若くして売れてしまったから辛さはあって然るべき」と『強い女性像』をメディアで作っていた裏で、躁鬱とチック症に苦しんできて。ただ彼女の場合は元々楽曲の中で自分の辛さを歌っていて、SNSで自分の鬱を発信したりしていて…。
そんな中でAdoはどうかと言えば、やっぱり自分の弱い本心を曝け出す楽曲というのが、圧倒的に少ない印象です。だから何というか、Adoも何か発散するような曲を出してほしい。そうじゃないと、どこかで彼女が潰れてしまうような感覚を勝手に持ってました。そんな中でリリースされたのが“アタシは問題作”で。いろいろな思いを込めて記事を書かせていただきました。
この楽曲が広がることにはリリース的にもそうですけど、Ado自身にも大きな安心感を抱かせるものだと思ってます。それらを踏まえて今年は2枚目のアルバムを出す流れだと推察され、世間的にもひとつ抜けた印象を持てるかなと。個人的には《アタシは問題作》と繰り返す中で、最後の最後に《アンタはどうだい?》とリスナーに問い掛ける様に心打たれました。サムネの引き攣った笑顔も、本当に秀逸です。
Ado「アタシは問題作」レビュー フィクションと呪縛を越えて届く“問題作” - KAI-YOU.net