キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、KAI-YOU.net、uzurea.net様などに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

【ライブレポート】Wienners・ネクライトーキー・ニガミ17才・Panorama Panama Town『LIVE DI:GA JUDGMENT 2022』@渋谷クラブクアトロ/渋谷Take Off 7

こんばんは、キタガワです。

年を取ると、12月31日になってもいわゆる『年末感』は希薄になるものだ。せいぜい年末年始の休暇の1日として見なされるそれも良いけれど、やはり音楽好きとしては最後まで音にまみれて終わりたいところでもある。そんな年の瀬にピッタリな音楽イベントこそ、今回参戦した『LIVE DI:GA JUDGMENT 2022』。年末恒例、渋谷のライブハウス2箇所で行われるサーキットライブだ。今回はその日の夜に行われた桑田佳祐のライブに行く予定もあり前半しか観られなかったが、そのうちWienners、ネクライトーキー、ニガミ17才、Panorama Panama Town、餅つきの外部イベント他、ライブ中心のレポに焦点を当てて書き進めていきたい。

 


Wienners

まずは昼の14時、いきなりのロケットスタートを目論むWienners。個人的にはコロナ禍以降、何度もチケットを取ったものの感染拡大で行けず……という状況が続いていたので、念願かなった形だ。ライブハウスのスタートとしてはかなり早い幕開けだけれど「年の最後を激しいロックで締めたい!」と考える人は一定数いたようで、前方はパンパンの客入りだ。

首謀者である玉屋2060%(Vo.G)の叫びから、オープナーは『GOD SAVE THE MUSIC』。いきなりキラキラロックが耳をつんざく、美しい時間の到来である。髪を金に染めた玉屋は何度も観客を煽り、楽曲の熱量を高めようと焚き付けていて、ファンもそれに答える最良の環境だ。またコロナ禍でライブシーンが打撃を受ける中、急遽リリースされたこの楽曲がライブハウスで鳴らされることには、改めて感動を覚えたりも。

Wienners『SHINOBI TOP SECRET』Music Video (TVアニメ「ニンジャラ」EDテーマ) - YouTube

この日のセットリストは最新アルバム『TREASURE』の楽曲を基盤に構成された、Wiennersの今が詰まった代物に。前半は完全に『TREASURE』モードで、アサミサエ(Vo.Key.Sampler.)のキュートなボーカルで魅せたピッカピカのポップロック“SOLAR KIDS”や、忍者を題材にした彼ららしい日本パンク“SHINOBI TOP SECRET”と続いていく。ふと横を見るとツーステを踊りながら楽しむファンも見られ、ともすれば盛り上がりづらい新曲中心であっても、しっかりと届いているのだなと感じられた。

「例えば仏教では、欲を持つのは悪だと言われます。でも俺は欲を持つことは大事だと思ってて、『もっと楽しいことしたい!』とか『もう少しこうしたい!』とか、そうした欲が明日の自分を作ってくれると信じてます。来年も皆さんどうか、自分なりの欲を持ってください」……。MCで玉屋は、トーク時間のほとんどを使ってこう我々に伝えてくれた。特に今年の玉屋は楽曲提供やWiennersとしての活動などほぼ連日動き回っていた感覚があるのだが、そんな玉屋自身だからこそ発することのできる「俺は欲を持つことは大事だと思ってる」という言葉は、その何よりの裏付けだろう。

Wienners『蒼天ディライト』SUPER THANKS,ULTRA JOY TOUR 2018 FINAL @渋谷CLUB QUATTRO - YouTube

30秒で終わる超ファストチューン“よろこびのうた”、様々な思いを乗せた“UNITY”と続けば、最後の曲は“蒼天ディライト”!勢いあまってマイクスタンドをぐいっと左に向けてしまい、そのまま歌い続ける玉屋の熱量の高さはもちろんだが、代表曲ゆえの興奮もプラスでドン。ライブハウスの良さを120%見せ付けた、灼熱のフロアで大団円を迎えたWiennersは、また来年に行われるであろうツアーの存在を示唆して颯爽と帰っていった。

【Wienners@渋谷クラブクアトロ セットリスト】
GOD SAVE THE MUSIC
SOLAR KIDS
SHINOBI TOP SECRET
恋のバングラビート
FAR EAST DISCO
よろこびのうた
UNITY
蒼天ディライト


ネクライトーキー

続いては、ライブのサプライズ枠として発表されたネクライトーキー。翌日の朝6時には『COUNTDOWN JAPAN』のトリも任せられている彼らは今回のライブを含めてライブ2本。かなりのハードワークぶりだが、年明けのCDJに向けての最終調整の意味合いもあるこの渋谷クアトロは、とても有意義なものになったように思う。

リハの時点でも客席の手が上がった最高の環境の中、定時になるとメンバーが登場。《今は只の平成30年だ!》の歌詞から、セットリストのどこかで入るだろうと予想していた“めっちゃかわいいうた”はオープナーに配置。朝日(G)の力ずくのピック弾きで幕を開けた瞬間から、一気に会場を掌握した彼らである。気になるあの歌詞はもっさ(Vo.G)が指折り数えつつの《今は只の令和4年だぁ!!》に変えられ、後半ではCD音源をスピードアップさせたアレンジに変貌。総じて迫力満載のネクライトーキーである。「CDJもあるからなあ」とその体力を心配していたのだが、完全なる杞憂だった。

【再掲】ネクライトーキーLIVE 「めっちゃかわいいうた」 from 「ゴーゴートーキーズ! 」 / NECRY TALKIE – Meccha Kawaii Uta【for J-Lod Live】 - YouTube

もっさと朝日がMCで語っていた通り、彼らのライブは『ライブハウスが好き!』という思いに集約される。「チャカポコー!」のコール&レスポンスがぐるぐる回る“誰がためにCHAKAPOCOは鳴る”は強い一体感を生み出していたし、朝日が石風呂名義としてボカロリリースした“夕暮れ先生”と“だれかとぼくら”は、生楽器でパワーアップされた音像で狂える代物に。そしてそれらをルール無用で昇華できる環境こそ、ライブハウスなのだと改めて気付かされる。

ハイライトは彼らの名前を広く知らしめる契機ともなった“オシャレ大作戦”。爆発力という点においても、欠かせないナンバーのひとつだ。MVと同様のカウントが叫ばれてからは、ポップな激しさが会場を覆い尽くす環境だ。またライブのたびに難波や鳥取など、それぞれの地域名に変更される《渋谷でへヘイヘイ》の歌詞はそっくりそのまま歌われたり…といった渋谷ならではの部分もありつつ。後半では朝日が『ジャン!』の打ち込みに合わせてタケノコを模したポーズではっちゃけ、それを観たもっさが笑って歌えなくなる最高の一幕もあった。

ネクライトーキー MV「オシャレ大作戦」 - YouTube

ラストソングはもちろん、ライブの最後に披露される定番曲“遠吠えのサンセット”。CD音源よりBPMを落とした幕開けから、徐々にスピードが早まる展開はライブアレンジならでは。首がもげそうなほどヘッドバンギングを繰り出し続けた朝日は肩で息をしながらギターを鳴らし、もっさは時折絶叫しながら熱量を歌声に託している。その光景に感動していたら楽曲はいつの間にか終わってしまっていて、ちょっと残念、それ以上にとても幸福という一風変わった感情に捕われた。持ち時間と満足度が良い意味で釣り合わない、最強のライブを見た気がする。

【ネクライトーキー@渋谷クラブクアトロ セットリスト】
[リハ]
ゆるふわ樹海ガール(石風呂セルフカバー)
気になっていく

[本編]
めっちゃかわいいうた
北上のススメ
誰が為にCHAKAPOCOは鳴る
だけじゃないBABY
夕暮れ先生(石風呂セルフカバー)
だれかとぼくら(石風呂セルフカバー)
オシャレ大作戦
遠吠えのサンセット


ニガミ17才

時刻はこの時点で17時。人によってはクアトロとTake Off 7を移動し続け、何組ものバンドを見終わった時間帯だ。そのためフロアには転換時間を利用して、その場で座って足を休める人も何人かいたのだけれど、リハ中の岩下優介(Vo.G)はそれを見て「何かドラクエ並んでるみたい」とチクリ。かと思えばリハの時間がかなり押していることに触れ、ニ箇所のドラムの音を何度も確かめるメンバーに「音同じだよもう!」と笑顔で突っ込み強制終了させたり、果ては「1曲目にやるやつやろうよ」とリハで“こいつらあいてる”を披露してからの「もうリハで全曲やっちゃうか」と爆笑させる始末。固定観念に縛られない自由さ、これぞニガミ17才である。

「僕らここで座ったら始まるんで」との岩下の発言通り、ライブは中国っぽい謎のお面を被って全員が座ったところでスタート。楽曲は宣言通り“こいつらあいてる”で、伏線回収のように中国語……もとい中国語に聞こえるように計算された、平沢あくび(Vo.Key.Sampler)の日本語が光る。サウンドの基盤となっているのはイザキタツル(B)と、サポートの谷朋彦(Dr)。他の中心人物ふたりは飛び道具的に楽器を弾いていて、あくまでグルーヴを重視する感じ。

ニガミ17才 MV「こいつらあいてる」(Nigami 17th birthday!! "koitsura_ aiteru) - YouTube

そして今回のニガミ17才のライブもやはりというべきか、岩下の突発的な言動が会場を温める結果となった。まずは「このライブのときだけ声出しOKにします!俺が全責任を取る!」と禁止されていた声出しを実質容認すると、持ち時間オーバーが確定した状況で「もしこれがCOUNTDOWN JAPANだったら、30分の時間きっちり守るよ」とライブハウスの良さを語る。楽曲の“化けるレコード”では暗転した会場で懐中電灯を光らせ、メンバーに直接当てて視界を遮るお茶目な一面も。一瞬たりとも飽きさせない、あまりに稀有なライブパフォーマンスは圧巻。

ハイライトは岩下の結成していたかつてのバンド・嘘つきバービーから受け継がれた“ねこ子”。この楽曲では《ねこ にゃん》のフレーズが繰り返される中で、あくびが持参したティッシュを振り撒くことでも知られる。ただこの日のライブでは、何とあくびが客席突入!ゆっくりとフロアを練り歩きつつ、空中にティッシュを1枚1枚放り投げるあくびである。ただ煩悩の数である108回を目指してフロアに撒き散らすあくび、どうやらティッシュは全部で200枚以上あるらしく途中で断念。と同時に鼻に違和感を覚えたあくびは落ちていたティッシュで鼻をかみ始め、岩下に「落ちとるやつでやらん方がええよ。衛生的にアレやけん」とツッコまれていたのも最高だ。

ニガミ17才 MV「おいしい水」(Nigami 17th birthday!! "oisii mizu" ) - YouTube

これまでのライブでは“かわきもの”を10分超えのアドリブアレンジで進行するのが恒例だった彼らだが、予想に反して最後の楽曲として披露されたのは、最初に演奏されることの多かった処女作“おいしい水”。中毒性のある歌詞然り、サビで爆発するサウンドメイク然り……。『オシャレ+変態的=オシャ変』な魅力を存分に見せ付けての幕切れである。時間いっぱい、誰よりも自分たちが楽しんでこの日を終えたニガミ17才は、まだまだやれそうな余力さえ見せつつステージを去っていった。次はワンマンで観たいところ。

【ニガミ17才@渋谷クラブクアトロ セットリスト】
[リハ]
かわきもの
こいつらあいてる

[本編]
こいつらあいてる
ただし、BGM
ねこ子
& Billboard
化けるレコード
おいしい水
 

Panorama Panama Town

ここからは初めて渋谷クアトロから、歩いて数秒のところにある渋谷Take Off 7へ移動。演者との距離が近い絶好のライブハウスには既にファンが大勢詰めかけており、ほぼ満員状態。お目当てはもちろん、神戸からの刺客たるPanorama Panama Townだ。開口一番、岩渕想太(Vo.G)が「あけましておめでとう!」と叫ぶと、1曲目は最新アルバム『Faces』から“King’s Eyes”を投下。エレキギターの主張はパノパナらしさのひとつなれどどこか落ち着いた雰囲気も感じさせるのは、大学時代から時が経ち、精神性が多少変化したことの表れだろうか。

Panorama Panama Town「King's Eyes」Music Video - YouTube

この日のセットリストは全てがニューモード。片仮名表記のパノラマパナマタウン時代の楽曲は徹底的に廃され、一貫して『Faces』楽曲を聴かせる流れになっていたのは、やはり彼らの強気な姿勢からか。かと思えば先程の年明け前の「あけましておめでとう」発言のように、MCでは「2002年」というワードが使われたり、「次の曲はバラードです」と語った後にパンクチューンを投下したりと、ヒラヒラかわしまくる岩渕の対比がニクい。今回披露された新曲もツイッター上では“ぼくたちの明日”であると本人が明言していたが、これもどこまでが真実なのか……。とにかく、彼らが活動の最前線をここで見せ付けようとしていたのは間違いないだろう。

Panorama Panama Town 「Faceless」 /「Strange Days」(Live at "Face to Face"@TOKYO KINEMA CLUB) - YouTube

『Faces』楽曲が続く中で、取り分け印象深く映ったのは“Faceless”。日常生活において絶対に避けられない『人の表情を見る』行為は、ここ数年のコロナ禍で大きく意味が異なるものになった。ただでさえ胸の内は分からないのに、目しか見えない怖さ。また日本人にありがちな『顔色を伺う』という考えにも表れているが、我々の基本行動は右ならえだったり……。翻って、このライブハウスはどうかと言えばノールール。当日の熱量含め、ライブハウスに行くことの幸福を、間接的に感じることの出来た瞬間でもあった。

【Panorama Panama Town@渋谷Take Off 7 セットリスト】
King’s Eyes
100yen coffee
Faceless
新曲
Strange Days


本来であればここから日付が変わるまでライブがあったのだが、今回はこちらのライブの関係で泣く泣く早退。パノパナのライブ終わり、大満足で渋谷クアトロにクロークを取りに戻ると、そこではニガミ17才の岩下とあくびが餅つきをしていた。一足はやく振る舞われた年越し餅を食べながら、ふと「こんな年末を毎年過ごせたら最高だな」と思った。いつもは島根県の片田舎で駅伝と紅白をボケーっと見ていたけれど「やっぱりライブハウスが好きなのだなあ」と再認識出来たのは、この日のライブのお陰だと思う。

音楽好きにとってもその実、ライブに行くことは簡単ではない。仕事が、休日が、お金が。大人になればいろいろな事情で、その日にライブを観ること自体が奇跡的なものになる。……ただ、たとえその年に観るライブが少なかったとしても、最高のライブで年を越せれば全てがハッピーだ。いろいろと思うところの多かった2022年にしろ、取り敢えず最高の音楽たちに触れることの出来たこの日をもって、大団円と見なして良いだろう。来年もまたこの場所に来れますように。