キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、KAI-YOU.net、uzurea.net様などに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

【ライブレポート】『COUNTDOWN JAPAN 22/23 3日目』@幕張メッセ

こんばんは、キタガワです。

遂に来た運命の冬フェス『COUNTDOWN JAPAN 22/23(以下CDJ)』!中止や規模縮小を経て、今年は3ステージ4日間の開催となったこの日。出演者の多くが開催に際して感動的なMCを語ってくれていたように、音楽好きの我々にとってもアーティスト側にとっても、もはやCDJというイベントは一年を締め括る必須イベントなのだ。それが最高の形で行われることを、幸福と言わずに何と言おうか。

今回参加したのはフェス3日目の30日。そして鑑賞したのは以下の8組である。思った以上に予定変更してしまった感はあれど、結果的には大満足の立ち回りであった。そんな年越しフェスの3日に参戦したのでそちらをレポート。当日のMCやセトリを含めて、ゆるりとご覧いただければ幸いである。

今年のCDJについて

少しずつ良くなっているとは言え、やはりコロナ禍での大型フェスの開催はネックな部分もある。そのため今年は例年よりもキャパを抑えつつ、ステージは大きい順からEARTH STAGE(キャパ25,000人)、GALAXY STAGE(キャパ12,000人)、COSMO STAGE(キャパ6,000人)の3つのみ。また足元の仕切りはないにしろ、観客側には飛沫感染を防ぐために過度な声援・発声を禁じる措置が取られていた。

その他、セキュリティ(転売対策)の面でもフェス界隈唯一と言ってもいい盤石の体制が取られた。具体的には従来のチケットもぎりではなく、今年は顔認証&電子チケット認証制。参加者は事前に自分の顔写真を登録、電子チケットには住所氏名電話番号を必須として申し込むので、転売が一切できない仕組みである。故に実際「入るとき本人確認が面倒かもな」とも考えていたけれど、そちらも杞憂。QRコードと自分の顔をかざすだけで入場準備が全て終了というスムーズさは、最新鋭のシステムを感じさせてくれて素晴らしかった(リストバンド着用やパンフレット配布もなし)。

そして肝心のライブ鑑賞系のあれこれに関しては、完全にストレスフリー。「あれもダメこれもダメ!」といったこともなく、普通にアルコールも販売されているし、常識の範囲内ならもうコロナ前のCDJの印象だった。誘導も本当に様々な部分まで行き届いているので、改めて「これ最強のフェスだなあ」と思ったり。全部ホール内なので温かく、音の聴こえやすさもバッチリなのも嬉しい。総じてCDJは間違いなく、この日をもって復活したと見るべきだろう。


フレデリック EARTH STAGE 11:10〜11:50

さて、ここからは本編のライブレポ。本来であればyamaを観る予定だったのだけれど、ギリギリに到着したのでyamaは既にライブスタート中だった。「それなら一番最初から観ることが出来るバンドにしよう!」ということで予定変更し、まずは最もキャパの大きいEARTH STAGE……フレデリックのライブに殴り込みだ。

通路をグーっと右に進んでいくと、だんだん音が大きくなってくる。どうやら既にライブは始まっているようである。見るからに超巨大なフロアは初っ端にも関わらずかなり人が入っていて、その中心ではちょうど曲が鳴らされていた。そんな気になるオープナーはまさかの新曲“MYSTERY JOURNEY”。誰もがほぼ初見の楽曲ながら、そのキャッチーなサウンドで一瞬にして踊らせるのはフレデリックの強み。そこからは「遊び切ってから帰れよ!(以下動画参照)」のアレンジでお馴染みの“KITAKU BEATS”、キラーチューンの“オンリーワンダー”を出し惜しみなしで投下。かと思えば初期曲の“人魚のはなし”をゆったり聴かせるなど、自信の強い様はまるでワンマンライブのよう。

フレデリック「KITAKU BEATS」Live at 神戸 ワールド記念ホール2018 / frederic“KITAKU BEATS” - YouTube

「人っていうのは変な生き物で。どれだけ楽しいライブを過ごしてもフェスから帰ったとき一番最後に『良かったー!』と思うのは、決まってトリのアーティストなんです。……でも僕らは今日トップバッターですけど、みんながCDJが終わって海浜幕張駅とか東京駅とか、そういう場所で思い返したときに『フレデリック良かったなあ』って、絶対に思ってもらえるライブをやります。40分一本勝負、僕らに付いてきてください」

三原健司(Vo.G)がそう語ったのは、“ジャンキー”前のこと。一見ビッグマウスのようにも思えるけれど、この『ひっくり返す』姿勢は活動当初から不変。更にはこの場に集まってくれたファンへの、感謝の裏返しでもあるのだ。そこからの“ジャンキー”はMVにも出演したウサギキャラ2匹がVJに映し出され、一緒にダンス。歌詞を《踊ってない夜を知らない幕張》に変えて盛り上げた“オドループ”もあまりに至高だ。

フレデリック「ジャンキー」Music Video / frederic "Junkie" - YouTube

「圧倒的に盛り上げたしこの辺りで終わりかな」と考えを巡らせていると、再度健司からアナウンスが。「普通のバンドなら、これでありがとうサヨナラです。でも僕たちフレデリックは違います。まだ世に出ていない、未発表の新曲を披露して終わりたいと思います」との一言。……そう。最後の楽曲は本日2つ目の新曲“スパークルダンサー”である。曲調的には先述の“ジャンキー”が最も類似している感覚で、ピコピコサウンドと口ずさみやすいメロが特徴。いずれ定番曲になるのは間違いないまでも、これを一番大きいステージのトップバッター、しかも最後の局面で選択するのは流石フレデリックと言うべきか。ステージ袖にハケる寸前に「フレデリック、来年ワンマンライブをします。……来るよな?」と笑顔を見せた健司、その顔はやはり自身に満ちていた。

【フレデリック@CDJ セットリスト】
MYSTERY JOURNEY(新曲)
KITAKU BEATS
オンリーワンダー
人魚のはなし
ジャンキー
オドループ
スパークルダンサー(新曲)

 

CHiCO with HoneyWorks COSMO STAGE 12:00〜12:30

続いてはステージ間を移動しCOSMO STAGEへ。そのフロアは基本的には飲食店が立ち並ぶレストスペースになっているのだが、その一角にCOSMO STAGEが鎮座している、という感覚。……そこでプレイするのはチコハニことCHiCO with HoneyWorks!ボーカロイドや恋愛シナリオ中心の楽曲を制作していた音楽ユニット・HoneyWorks(ハニワ)に、ボーカルのCHiCOが加わったバンドである。ライブのMCでCHiCOは「この4分の1くらいかと思ってた」と集客について語っていた中で、何と結果は入場規制。僕はギリギリに滑り込むことに成功したが、その瞬間に入口の幕が降ろされ、そこから一度も開くことはなかった。今思えばチコハニを観ることができたのはとても幸運だった。

……と、余談はさておいてチコハニである。最新アルバム『iは自由で、縛れない。』リリース直後のためてっきりセットリストはこちらをフューチャーするものになるかと思いきや、これまでリリースしたアルバムからプレイする流れ。ひとつ驚いたのは初のロックフェス出演だからだろうか、“醜い生き物”や“我武者羅”など楽曲のほとんどがギターが激しく鳴るロックであり、およそ恋愛ソングのイメージの強いチコハニ的にも非常に稀有なものだった。

リベンジゲーム/CHiCO with HoneyWorks - YouTube

バンドメンバーはボーカルのCHiCOの他、ギター・キーボード・ベース・ドラムの計5名編成。その中心で歌うCHiCOの姿はモニターに映し出されてはいるのだけれど、公式には素顔を公表していないため、上手い具合に顔をボカしたり目の部分だけは絶対に映らないようにしていたりと、様々な配慮が成されていたのも印象的だった。そして特筆すべきはやはりCHiCOの歌声で、あの爆音の中を突き抜けて聴こえる声とでも言おうか。とにかく明瞭で、シンガーとしての実力を見せ付けたライブでもあった。

途中のMCでは「フェス飯って言うのかな、みんな知ってる?メロン!あれめっちゃ美味しそう!ライブが終わればちょうどお昼どきなので、お肉食べたりして最後まで楽しんで行きましょう!」とキュートな言葉で楽しませたチコハニ。しかし曲になると熱量が爆発するのも格好良く、“決戦スピリット”以降は全力で歌うあまりCHiCOの衣装が肩からはだけ、何度もそれを直す仕草も見られた。それほどまでにこの環境が熱を帯びていたのが分かるというものだ。

プライド革命/CHiCO with HoneyWorks - YouTube

ラストはアニメ『銀魂』の主題歌としても広く浸透した“プライド革命”。「まだまだ行けますか!」との煽りを受け、ますます大きくなった声援と共に駆け抜ける圧巻の幕切れである。度重なる熱唱で疲れているかと思いきや、絶対にブレないCHiCOの歌声に感動しながらも、ロックフェスに参加する者として最大級のリスペクトを見せつけてくれたチコハニ。ライブ終了後に一気に人がハケたことでフロアにポッカリ空いた隙間が、その人気の何よりの証明だったのではなかろうか。

【CHiCO with HoneyWorks@CDJ セットリスト】
リベンジゲーム
醜い生き物
世界は恋に落ちている
決戦スピリット
我武者羅
プライド革命


石崎ひゅーい COSMO STAGE 13:00〜13:30

ここで少しフェス飯の小休憩を挟み、続いては同ステージで石崎ひゅーい(ちなみに石崎ひゅーいは本名です)。個人的に今年は10月の大阪公演以来2度目の参加となり、当時2時間の尺で魅せていたものを30分というコンパクトな形でどう構成するのか、とても興味があった次第である。フロアは先程のチコハニ終了後にかなり隙間が空いていて、鑑賞するには絶好の環境。「人が少ない方がアーティストの気持ちは燃えるもの!」なんていう言葉があるくらいだし。

緩やかなSEと共にゆるりとステージに立った石崎。「何を1曲目に持ってくるんだろう」と思っていたが、何と本来後半に演奏することが多いバラード曲の“花瓶の花”だったのでビックリ。石崎の歌声はじんわりと会場全体に浸透して早くも自分の色に染めているし、その歌声に誘われて少しずつ人も増えてきた。いちシンガーソングライターとしても、素晴らしい開幕である。

石崎ひゅーい - 花瓶の花 - YouTube

ところで今回のライブでは、ひとつのサプライズがあった。「今年はいろんなことがありました。その中でも菅田くん(菅田将暉)に提供した”さよならエレジー“っていう曲の入りが、千鳥のノブさんに似てるっていうことで話題になって……。で、番組で取り上げてもらったのがきっかけで飲みに連れて行ってもらって。その時に僕言ったんです。『ノブさん。12月30日、COSMO STAGEに“さよならエレジー”って言いにきてもらえませんか』と。するとノブさんはこう言ってくださいました。『ノーギャラでええで』と」。

予想外の展開にざわつく会場。そして言葉のひとつひとつを強調するように「僕はこう、言いました。ノブさん。12月30日、僕は、このCOSMO STAGEで。ノブさんを待ってますと!」と石崎が叫ぶと、袖から登場したのはまさかまさかの千鳥ノブ!物凄い歓声に包まれる中「どうも千鳥ノブですー。昨日ゴチクビになりました!」とゆるい挨拶。そこから遂に実現してしまった、ノブによる「さよならエレジー!」の口上で始まった楽曲、ハチャメチャな盛り上がりだった。あと、幕張メッセまで本当にそれだけを言いに来たノブはすぐに帰っていった。彼、この日誕生日なのに……。

石崎ひゅーい - ファンタジックレディオ - YouTube

以降はマイクスタンドを振り乱しながら“夜間飛行”を鳴らすと、お馴染みの“ファンタジックレディオ”へ。「幕張の君のことが好き!」と歌詞を変えて歌いつつ、ラスサビ前ではスマホのライトをONにするよう指示。一面に広がる光の海を見ながら、石崎は「出演が決まってから、これをずっとやりたいと思ってたんです」とご満悦。フェスとしては攻めたセトリで魅せた30分、「もう少し観たかった!」と思ってしまうのは、罪なところである。

【石崎ひゅーい@CDJ セットリスト】
花瓶の花
カカオ
さよならエレジー(ゲスト:千鳥ノブ)
夜間飛行
ファンタジックレディオ


amazarashi GALAXY STAGE 14:15〜14:50

石崎のライブが終わると、そのまま向かって最も左側にあるGALAXY STAGEへ。フロア写真を見る限りあまり分からなかったのだけれど、実はこのステージは距離的にも離れていて、意外と歩く。ステージに向かう扉を抜けるとアーティストグッズ売り場とクロークがあり、更にそこをずーっと抜けるとようやくステージ……という奥まった場所に。なお結果的にこの場所はamazarashiの爆音を他のステージに漏らさないために、うまく充てがわれたものだったのだというのは、後になって分かることだが……。

紗幕が降りる瞬間だったり、リハの時点で“フィロソフィー”(ギターリフのみ)と“夏を待っていました”(秋田ひろむは途中で「ギターの音少し上げてください」と言っていた)を鳴らしたりというレアな光景を見つつ、定刻に。1曲目に鳴らされたのは最新アルバム同様“感情道路七号線”で、実際の道路と歌詞が紗幕に投影され、ダウナーな雰囲気が会場を包んでいく。まるで映画を観ているようなamazarashiならではの感覚に揺られていると、秋田ひろむ『COUNTDOWN JAPAN、幕張メッセ!青森から来ました、amazarashiです!』とお馴染みの前口上が。

amazarashi 『アオモリオルタナティブ』Lyric Video - YouTube

この日のセットリストは最新アルバム『七号線ロストボーイズ』が基準。特に前半は完全にアルバムの曲順通りで、取り分けアルバムの中でもアッパーな楽曲を中心に展開されていく。そのうちひとつだけミドルテンポな楽曲として位置していた“アオモリオルタナティブ”は非常に印象深く、秋田ひろむの故郷である青森県むつ市の風景と共に、学生バンド時代のかつての秋田を記憶を回顧する歌詞が光る。あの力強い歌声で《あっち行ってこっち行っても 君はもうきっと大丈夫》と歌われれば、何よりも雄弁に肩を叩いてくれる感覚さえあった。

ライブではほとんどMCをしないことで知られる秋田は、“アオモリオルタナティブ”が終わると「amazarashiはこういうスタイルでやらせてもらってるので、なかなかフェスには出れないんですけど。一番手から始まって、COUNTDOWN JAPANは昔から出してくれて。……あと10年くらいしたら、トリも任せてもらえるのかなって思ってます」と自身の思いを語ってくれた。思えばamazarashiがこのGALAXY STAGEで演奏して何年も経つが、どんどん出順が良い方向に転がっている気もするし、どこか秋田の隠れた野心を感じることの出来る珍しい語り口に笑顔が溢れてしまう会場である。

NieR: Automata meets amazarashi 『命にふさわしい』Music Video - YouTube

以降は“命にふさわしい”→“空に歌えば”→“独白”という鉄板のキラーチューンを連続展開。長年のファンからすると何度もセットリスト入りを果たしている曲でもあるので若干食傷気味ではあるけれど、やはり盛り上げるには最適な選曲だなと。ラストソングは日本武道館公演以降、様々な場面で披露されている“独白”。ここまで来ると秋田の絶唱と音の爆弾が更に響いてくる感覚があり、次第に頭がトリップする感覚にも陥る。また元となっているストーリーは武道館での『新言語秩序』にしろ、この場における秋田の「言葉を取り戻せ!」の叫びは言いたいことも言えないまま生活を送ったり、逆にSNS等で文字として発散しすぎてしまう我々に対してのメッセージのようにも感じられた。約30分の持ち時間をフルに使ったステージ、今度は単独で観たい。

【amazarashi@CDJ セットリスト】
感情道路七号線
火種
境界線
アオモリオルタナティブ
命にふさわしい
空に歌えば
独白


スキマスイッチ EARTH STAGE 15:30〜14:10

通路をひた走り、ここで再びEARTH STAGEへ戻る。お目当てはもちろん、今年デビュー20周年を迎えるスキマスイッチだ。この日のEARTH STAGEは取り分けロック・パンク然としたバンドが多かっただけに集客を懸念していたりもしたのだが、全くの杞憂。ライブが始まれば後ろまでビッシリの、素晴らしい客入りである。やっぱりみんな、スキマスイッチが大好きなんだなあ。

今回のスキマスイッチは管楽器やパーカッションを含め、おそらくはこの日の出演バンドの中では最も大所帯と思われるサポートメンバー7名を加えた9名編成で登場。割れんばかりの拍手で呼び込まれた中心人物はもちろん大橋卓弥(Vo)と常田真太郎(Piano)で、しばらくのジャム・セッションから雪崩れ込んだのは“ゴールデンタイムラバー”。そして大橋が歌い始めた瞬間「おお……!」という声があちこちで聴こえてきた。それはテレビやCDなどを通して我々の耳に、既に大橋の歌声が完全に刷り込まれている証左でもあった。

スキマスイッチ - 「ゴールデンタイムラバー」Music Video : SUKIMASWITCH / GOLDEN TIME RUBBER Music Video - YouTube

そもそもフェスにおけるスキマスイッチは、セットリストの大部分は不変である。実際僕が参加した5年前のCDJと今回を比較しても、変更点は“Over Driver“とup!!!!!”のみでそれ以外は変わっていなかった。でも彼らの場合はそれで良いのだと、妙に納得させられる魅力がある。その中でも前半のハイライトはやはり珠玉のバラード曲“奏(かなで)”で、常田のピアノの旋律と大橋の歌声のコントラストが誰もの涙腺を刺激。学校生活で、はたまたカラオケで……。様々な局面で聴いてきた名曲が目の前で鳴らされる感動は、計り知れないものがあった。

ただそんな感動的なライブも、MCになると一気に脱力するのも彼らならでは。「今日はじめてスキマスイッチ観るよって人どれくらいいます?」と大橋が問いかけ、かなりの数の手が挙がると「僕ら今年20周年なんですけど……」と自虐し、最終的にはトークに困った大橋が「えっと……あっ!言わなきゃいけないことがあったんだ。僕らYouTubeチャンネルやってます!登録お願いします!」というアーティストっぽくない流れにシフトしたりと、つくづく面白いのがニクイ。

スキマスイッチ - 「全力少年」Music Video : SUKIMASWITCH / ZENRYOKU SHOUNEN Music Video - YouTube

そして大橋が手拍子をレクチャーし「まだ歌ったりできない状況ではありますが、知ってる人は一緒に手拍子で盛り上がりましょう!」と鳴らされた最後の楽曲はもちろん超超超ヒットナンバーの”全力少年“!大橋は左右のモニター付近まで足を運びながら盛り上がりに拍車をかけ、常田はニコニコ顔で演奏。もう断言してしまうが、この場に集まった全ての人はマスクの下で口ずさんでいたし、中には感動で泣いている人も随所に見られた。終盤では大橋がスマホのカメラで会場を撮影し(以下公式ツイッター参照)、大盛り上がりで終了。ネガティブな思いは一切見せずに、徹底して『陽』に振り切った40分。一気に会場を掌握したそのパワーは、フェス全体を考えても非常に価値のあるものだったのではなかろうか。

【スキマスイッチ@CDJ セットリスト】
ゴールデンタイムラバー
Over Driver
奏(かなで)
up!!!!!!
Ah Yeah!!
全力少年


マキシマム ザ ホルモン EARTH STAGE 17:40〜18:25

この日はロックフェスなので、必然多くのバンドTシャツを着用する人を見かけた。その中でも明らかに着用人数が多かったバンドがマキシマム ザ ホルモン。トイレに行ったりフェス飯を買ったり、その都度目に入るバンTがそれだったので、漠然と「ホルモンの動員ヤバいことになるだろうなあ」と想像はしていた。……ただ、実際のEARTH STAGEを目の当たりにすると物凄いファンの数にビックリ。「これってホルモンの単独ライブ?」と感じるレベルのそれである。

SEとして定番となったSPACE COMBINEの”20000cc“と共にオンステージとなったホルモン。その瞬間に「うおおおお!」の声が会場を支配し、全員がグワッと前に進み出る絶好の環境だ。登場するなりカメラを威圧するマキシマムザ亮君(Vo.G)、レッチリのフリーよろしく動き回る上ちゃん(B)、満面の笑みで客席を見つめるナヲ(Vo.Cho)、そして「◎△$♪×¥●&%#?!」と何やら叫んでいるダイスケはん(Vo)である。楽器の爆音が勝って内容は聞き取れないけれども、めちゃくちゃに煽っていることだけは何となく理解できた。

マキシマム ザ ホルモン『ロック番狂わせ』Music Video - YouTube

そうして始まったのは“鬱くしきOP 〜月の爆撃機〜”からの“鬱くしき人々のうた”。亮君の鬱病症状をどしゃめしゃのロックに昇華した爆発曲である。すぐさまあたり一面はヘドバンの海に変貌し、体が千切れそうな程に熱狂するファンたちである。先程までのスキマスイッチのポップネスな雰囲気はどこへやら、気付けば灼熱。サウンドはまさしく音爆弾とも言うべき圧であり、鼓膜は早くもイカれている。初見さんほぼご勘弁の凶悪さ、これこそがホルモンのライブなのだ。

てっきり正攻法で行くかと思いきや、今回は大型モニターを上手く使った映像効果も多数。ドラゴンボールの某敵キャラを題材にした『「F」』ではフ●ーザが動き、『中2 ザ ビーム』ではメガネ男子が光線射出と盛り上げる。更にMCでもアントニオ猪木のモノマネ時に宣材写真が出たりなど、どこかに怒られそうなあれこれを大盤振る舞い。MCでも「どうも、いなくなった猫です」とDISH//のオマージュをしたり、「さっきも私アーティスト控室で探したもん。誰がAdoだー!?っつって」と素顔非公開のAdoを探しに動き回ったというナヲのトークは絶好調で、それに対して「はいはい分かった!うっせぇうっせぇうっせぇわ!」とぞんざいな態度を決め込むダイスケはんの掛け合いが最高すぎる。サウンドに関しては若干ダイスケはんの声が埋もれがちな印象はありつつ、そこは観客全員の歌詞把握でカバーする力技はとても良かった。

マキシマム ザ ホルモン 『恋のスペルマ』 Music Video 野外フェス映像ver. - YouTube

そして「アジカンさんすいません!時間押します!」とまさかの延長を宣言し、最後はこれを聴かなきゃ帰れない“恋のスペルマ”でシメ。開幕の時点で手拍子が凄まじく鳴ったこの曲、内容としては射精という端的に言えばド下ネタの代物なのだけれど、それに嬉々として盛り上がるファンの構図が面白く、これも亮君のキャッチーなメロディーメイクによるものなのだろうと改めて思った次第だ。後半ではコロナ前に行っていたサークルモッシュ(会場全体で輪になって回るアクション)が制限があって出来ないため、その場でクルクル回るものに変更。……耳から爆音。目からは涙。体中は汗だくで表情は笑顔という最高な環境を作り出して、ライブは終幕。「やべえー!」と無意識的な興奮を叫びながら会場を後にするファンはかなりの数いたが、これもどれだけホルモンが愛され続けているかを証明する、素晴らしい証拠だったのでは。

【マキシマム ザ ホルモン@CDJ セットリスト】
鬱くしきOP 〜月の爆撃機〜
鬱くしき人々のうた
「F」
中2 ザ ビーム
maximum the hormone Ⅱ 〜これからの麺カタコッテリの話をしよう〜
ロック番狂わせ
糞ブレイキン・脳ブレイキン・リリィー
メス豚のケツにビンタ(キックも)
恋のスペルマ


ASIAN KUNG-FU GENERATION EARTH STAGE 18:45〜19:15

ホルモン終了後、空いたスペースに一気に押し寄せた人、人、人。続くバンドはフェス参加者にずっぱまりなアジカンである。Adoの入場規制を見越した場所取り的な意味もおそらくあっただろうけれど、それ以上に「アジカンを前の方で観たい!」という人が圧倒的に多かったように思う。個人的には先日のサマソニで“ソラニン”以外の代表曲を全カットした稀有なライブを観てしまったので、その違いを刮目したかったり……。更には最近バズったアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の関係で“転がる岩、君に朝が降る”をやってくれないかな、というスケベ心もありつつ……。

今回のアジカンはMop of Headのジョージ、RopesのAchicoのサポートを加えた6人編成。いつも通りに絨毯風のラグの上に立った後藤正文(Vo.G)は、早くも余裕綽々な様子でメンバーとジャム・セッションに興じている。そこから始まったのはまさかの“Re:Re:”。これまで中盤に鳴らされることの多かった名曲が最初にドロップされる、驚きの展開である。新録盤『ソルファ』と同様にイントロは長尺化され、一体感も長く感じられたアレンジは流石の一言だし、愛されてきた回数も段違いなのでもちろん全員が大盛り上がり。

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『リライト(2016ver.)』 - YouTube

こちらも待ってました!な“リライト”で印象深かったのは、ラスサビ前に恒例となったブレイクタイム。ここでは《芽生えてた感情切って泣いて》の部分でコール&レスポンスを行うことが恒例になっていたのだけれど、今は何かと声を出すのが難しい状況ということもあり、現行のコロナ禍のライブの声出しとして認められている『演奏される音の25%以下であれば声が出せる』ルールに後藤は着目。我々の声出しを「芽生えてた感情……いや、もっと小さく。芽生え……まだ大きい。ちょっとバンドの音今より下げて」と何度も微調整させる後藤の徹底ぶりは、ファンでさえ初めて見る表情で面白い。なおその理由について後藤は「俺もう炎上したくないから」と語っていて、それもまた爆笑してしまった。そこから始まる《消して リライトして》のサビが大盛り上がりを記録したのは、言うまでもないだろう。

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『出町柳パラレルユニバース』Music Video - YouTube

「誰かのモノマネはしなくていいから、自分なりに楽しんで」という優しいMCの後には“You To You”、“出町柳パラレルユニバース”と比較的新しい楽曲を続け、“君という花”で再び爆発。やはり新しい楽曲を披露するのがフェスの攻め方とは言え、既存曲のドロップが最も気分が高揚するのだなと再認識。「ラッセーラッセー」の掛け合いこそなかったが、ここ数年あまり披露されてこなかった代表曲をこのタイミングで展開したことには、どこかCOUNTDOWN JAPANへの感謝というか、後藤たちにとっていろいろと思うところがあったのだろうと推察する。

最後の楽曲は『プラネットフォークス』から“Be Alright”。ハンドマイクに持ち替えた後藤がステージを練り歩きながら、「もう大丈夫」のメッセージを高らかに伝える、美しい幕切れだ。仲間はずれの日も、悪どいことを考える人たちに揉まれながらも……。それを最終的には《だけどここに集ったろう そうさWe gon be alright》と笑い飛ばすのは、この日アジカンがトリ前に配置された理由のひとつなのかもな、と思った。どこまでも涼しげな表情で、与えられた役割をしっかりこなして帰っていったアジカン。これこそが今でもロックシーンを牽引する、最強のバンドの姿だ。

【ASIAN KUNG-FU GENERATION@CDJ セットリスト】
Re:Re:
リライト
ソラニン
You To You
出町柳パラレルユニバース(新曲)
君という花
Be Alright


Ado EARTH STAGE 19:50〜20:50

さあ、ついに。ついにこの時間が来てしまった。特に今年は世界で最も聴かれたアーティストでありながら、正体は一切不明のシンガー・Ado……。彼女のライブを目の当たりにするときが。

恥を承知で綴ってしまうが、Adoのライブ前の僕の当初の予定ではアジカンではなくツユを観て、そこから猛ダッシュでEARTH STAGEに向かってAdoを観る予定だった。ただツイッターでエゴサーチをしたり、会場にいたファンのTシャツ着用率などをいろいろ調べた結果、「どうやら入場規制になりそうだぞ」と思って予定を変更した次第である。でもよくよく考えるとEARTH STAGEのキャパは2万5000人(参考として、日本武道館のキャパは1万5000人・横浜アリーナのキャパは1万7000人です)だし、公式では『この日の動員数は例年よりキャパを減らした』とあるので、おそらく参加者は3万5000人くらいなのでその大部分がこのステージに集まることは考えにくい。「でも観れなかったら困るしなあ」と思いながら、僕はこのステージに留まったのである。

が、しかし。結論から言えば、EARTH STAGEは入場規制になった。しかもアジカンのライブが終わった直後に。つまりもし他のアーティストを観ていた人たちは、圧倒的大多数が振るい落とされる状況になってしまったのだ。もちろん長いCDJの歴史上このステージに規制がかけられた話など聞いたことがなく、開いた口が塞がらない。……これ、マジですか?

というわけで、我々はもう前にも後ろにも進めない状態に。ステージを見ようとしても前の人の頭で全く見えないし……。先程までゆったりアジカンを観ていた時間はまぼろしだったのだろうか。ただ、ピョンピョン飛び跳ねて何とか見えたステージはこの時点では真っ暗で、前面には紗幕(amazarashiで使われるものより更に分厚く、全くステージが見えない)。更には近くのスタッフさんは「続いてのAdoさんのライブは写真撮影・録音は禁止です!双眼鏡を使っての鑑賞も禁止となります!」というアナウンスを何度も何度も行っていて、背後でも同様のアナウンス&入場規制措置を大声で示している。一体これは、なんだ。

で、当事者の我々はと言えば「何かとんでもないことが起こりそう」という雰囲気に、完全にのまれていた。隣にいた友人と話をしたくても、雰囲気が壊れてしまいそうで今するべきではないような変な感覚。なもんで、ひたすらツイッターで『Ado CDJ』と調べて時間を潰していたのだが「Ado雰囲気マジヤバい」「マジか……Ado入場規制で入れない。ヤバすぎる」といった本心からのツイートが物凄い勢いで更新されていて、再びアワワワ……といった感覚になってステージをまた観て、の繰り返し。

【Ado】逆光(ウタ from ONE PIECE FILM RED) - YouTube

そして定刻になり暗転、運命の時間は訪れた。オープナーに選ばれたのは“逆光”で、印象深いギターリフが流れるとこれまで闇に包まれていた紗幕が落ち、その後ろにあった本当のステージが明らかになる。ギター・ベース・ドラムといったバンドメンバーがいる点は他のバンドと変わらずだが、印象的なのはステージ中央に作られた四角形の檻。中で歌っているのはAdoその人なのだが、どうやら特殊な加工が施されているようで、姿は完全にシルエットになっていて顔は見えない。また背後のVJには巨大なスピーカー(?)を模した映像が音に合わせてズンズン動いている。そして本来であれば後ろで観るファンにとってアーティストの顔を観るのに欠かせない左右のモニターは、盗撮対策だからか真っ暗。つまり背が低い僕のような人たちにはこの日、基本的には『音と声のみのライブ』と化したのがAdoだった。

言葉を選ばずに言えば、この時間EARTH STAGEに集まった人は大きく分けて2種類存在したと思う。まずひとつは、純粋にAdoのファンである人。そしてもうひとつは“うっせぇわ”や『ONE PIECE FILM RED』主題歌の“新時代”のバズから入った、いわゆるミーハー客だ。そんな全ての人々を一瞬で黙らせたのはやはり、あの特徴的な歌声だった。『異端』『衝撃』『非現実』……。この声を一言で言い表すとしたら、多分こうしたベクトルの話になるんじゃないか。それほどの稀有な声爆弾が、全員の頭を真っ白にさせた。本当に人の声かこれ……?

そこからサビに突入すると、印象度は最高潮に。Adoの歌声は千変万化だとは思っていたけれど、その中でもがなり声というか、ガラガラが混じった声がぶつけられた瞬間に「うっわこれヤベえやつだ……」と心底思った。しかもその声というのも、CD音源と比較しても例えば《あんたらわかっちゃないだろ》の部分では「◎△$♪×¥●&%#?!」と喉がぶっ潰れるレベルのギャンギャンのデスボイスを繰り出したりしていて、まるで目の前でめちゃくちゃに怒鳴られているような感覚にもなる。変な言い方だけど、人とカラオケに行ったりすると髪をブンブン振ったりする憑依系、ないしは喉が潰れそうな絶唱系の人に当たることがあって、そのときに『雰囲気にのまれる』感覚を味わったりしたものだけど、その最上位の姿のような。圧倒的な『歌への慣れ』がそうさせるのだろうなあ。

【Ado】うっせぇわ - YouTube

圧巻だったのは続く“うっせぇわ”。この楽曲ではAdoの怒りモードが完全に我々を飲み込んだ瞬間でもあり、《でも遊び足りない 何か足りない》《マジやばない?止まりやしない》の部分では、まるで叫び声のような限界突破のデスボイスがビリビリビリビリ鼓膜を震わせる。しかも全然疲れた感じもなく、歌声は安定しているのも凄い。Adoは体を前後左右に振り乱しながら絶唱を続け、ブリッジしたり前傾姿勢になったりと、楽曲と自分自身を一体化させていく。一瞬頭をよぎったのは中森明菜なのだけど、後で調べたところ彼女のルーツもそこにあるらしく妙に納得。背後のVJには歌詞が羅列され、気付けば左右のモニターには赤や青、黒といった色の絵の具をぶちまけたようなVJが映し出されている。カオスだ……。

今回のライブは1曲終われば真っ暗になり、無音の時間が続く、という流れの繰り返し。なので基本的には全員が固唾をのんで見守る形だったが、ときたま「Adoちゃーん!」「Adoさーん!」といった歓声も飛ぶ。中には「Ado様ー!」と叫ぶ女性も……。ただ大多数のファンはシーンと静まり返っていて、その対比も面白い。というか、当の本人であるAdoどころか楽器のチューニングの音さえ全く聞こえない環境はなかなか稀有かなと。

【Ado】世界のつづき(ウタ from ONE PIECE FILM RED) - YouTube

この日のセットリストの中心を担っていたのはファーストアルバム『狂言』と、ONE PIECEの映画主題歌集『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』の2枚。特に“ウタカタララバイ”→“Tot Musica”→“世界のつづき”と連続してドロップされた『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』ゾーンは圧巻で、映画上でウタウタの実の能力者として思いを歌で表していたウタにAdoが感情移入する一幕が光る。それぞれ歌声変化曲→ロック→バラードと曲調も内容もバラバラな楽曲群なので、ここまで歌い分けるのは彼女の力量によるものだろうなと。ウタは自分の歌声が他者の感情を動かす力を持つ人物だったけど、現実のAdoももしかすると『ウタウタの実』の能力者なのでは。

誰もが予想もしなかったボカロカバー“千本桜”(なおカラオケではなく曲調もオリジナルのバンド系)、千変万化の歌声と打ち込みサウンドで「EDMのライブ?」と錯覚してしまう盛り上がりを記録した“踊”を終えると、ここで初のMCへ。「みなさんはじめまして。Adoです」と一言放たれた瞬間、うおお!となる会場である。ただ彼女が話し始めると誰もがシンと静まり返って、その一言一言を聞き逃すまいと耳を集中させている。以下、覚えている範囲でのMC抜粋。

【LIVE映像】踊 さいたまスーパーアリーナ 2022.8.11【Ado】 - YouTube

「2022年はAdoとしても、Adoという存在を抜きにしてもいろいろなことがあった年でした。今集まっている皆さんも、おそらくいろいろなことがあったと思います。辛かったり、また楽しかったり……。でも2023年のことは、まだ誰にも分かりません」

「私はAdoとして、来年はもっと日本の音楽を世界に広げていきたいと思っています。私は日本の歌が大好きで、そんな素晴らしい音楽をもっと世界に知ってもらいたい。……ここにいる皆さんも音楽が大好きだと思います。2023年はもっと、日本の音楽を、日本を良くしていきましょう」

僕はこのMCで「Adoって日本の音楽における救世主かもなあ」と漠然と考えてしまった。以前何かのインタビューで、Adoは「他の人が幸せになってくれるのなら、私の幸せは一番最後でいい」というようなことを語っていたのを読んだことがある。このときは達観した女の子の印象が強かったけれど、ここ2年間の活動を見たとき、ツイッターの呟き然りテレビ出演然り、Adoの視線は常に我々に向いていたことに気付かされたのだ。そして、多分彼女は2022年に世界一位の再生数と売上を記録した時点で、今の自分が出来て他のアーティストには出来ないことを改めて自覚したのだろう。……それこそが今回のMCにおける『日本の音楽を世界に広げる』ということ。自分自身がそこまでの影響力を持ったからこそ言える、あまりにも責任の重い言葉を、彼女はここではっきりと告げたのだ。

【Ado】新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED) - YouTube

「最後の曲、この曲を2023年に捧げます。新時代」との口上から鳴らされる最後の楽曲はウタの“新時代”。『辛いことばかりの人生から逃げる場所を作る』というのがウタの理想。ではこの日鳴らされた“新時代”はどうかと言うと、まさしく今しがたのAdoのMCともリンクする、深い意味を持った楽曲になった。モニターには公式MVと同じ映像(上記参照)が流される中、その中心で歌うAdoは思いを込めてメッセージを届け、我々は何も考えずに体を動かす。素晴らしい双方向的な関係性である。ライブが終わるとアンコールを求める手拍子が一面に広がったが、アンコールはなし。そのまま会場が明点した瞬間にハッと察して、そのまま帰宅の途につく観客たちの姿も、まるで夢から覚めて現実に戻るようで感動的だった。間違いなく、今年一番衝撃を受けたライブだった。

【Ado @CDJ セットリスト】
逆光
うっせぇわ
私は最強
リベリオン
ウタカタララバイ
Tot Musica
世界のつづき
行方知れず
千本桜(ボカロカバー)

新時代

 

かくして、昼から始まった最高の1日は幕を閉じた。アーティストそれぞれ三者三様……今回で言えば八者八様の良さがあり、改めてフェスという場所の音楽幸福度の高さを感じた次第だ。そしてこの楽しみはCDJだからもたらされたものだというのもまた、しっかりと噛み締める1日になった。……一昨年のCDJはステージをひとつに。大して今年のCDJは3ステージになり、動員数も増加した。となれば2023年のCDJは、ほぼほぼ元通りの盛り上がりを記録するに違いない。1年の締めくくりの祝祭として、またこの場所で素晴らしい音楽と出会えますようにと願いを込めて、Adoの言うところの「何が起こるか分からない2023年」を生き抜いていきたい。