キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

『魔法のiらんど大賞2022』、落選のお知らせ

発表の数日前から、何だか嫌な予感はしていた。ただそれは「どうせ自分の作品なんか」というネガティブなものでは決してない。言うなれば単純な経験値の不足と、受賞を目指すための本気度の低さである。……なもんで、駄目だった時は「へへへ、やっぱダメした」と笑い飛ばすつもりでいた僕だったが、心中が予想以上に悔しい気持ちに包まれたのはひとつの発見だったのではないか。

結論から書くと、僕は『魔法のiらんど大賞2022』というシナリオ賞の最終選考に落ちた。応募したのは『ファンタジー賞』なのだけれど、処女作である以下の作品はファンタジーっぽさのほぼない、割と攻めに振り切った作品だった。希死念慮を抱く人間と、それを暗にサポートする異星人の話。「絶対こんな作品求めてないだろうな」とは何度も思ったけれど、僕にとって一番熱量込めて書くことが出来るのはもう、この題材しかあり得なかった。そしてこの話は同時に、クソッタレな生活から脱出しようと望む、自分自身の希望的未来でもあった。

この話を書いたのは9月まで遡る。言うまでもなく当時の僕の心はすこぶる病んでいて、会社を長いこと休ませてもらっていた。それが運良く『死』を題材としたストーリー展開に合致した形。なもんで、特段悩むこともなく筆は進んだ。そして締切に間に合わせた後、僕の次の視点はもちろん仕事に。本当に「迷惑をかけた分また頑張って働こう」と思っていたのだ。そのときまでは。

予想外だったのは、メンタル不調の状態が長期化してしまったこと。『精神的に辛い人が精神的に辛いこと(生きること)をする』ということ自体に、思ったよりエネルギーを使ってしまったようだ。……そんな中「辛いっすー!」と言って仕事がなくなる訳もなく。無理矢理エンジンをかけ続けているうち鬱々とした気持ちは更に膨らみ続け、12月になった今でも快方に向かっていなかった。

鬱に沈む日々で次第に考えるようになったのは、現状の打開策。それも急転直下な分かりやすい形で、人生を変えてくれる代物をだ。元々受賞する可能性についてはあまり考えないようにしていたのだが、生活がどんどんおかしくなるにつれて、受賞への希望を勝手に高めてしまった。それは確かに良くなかったと思う。

そして運命の日、作品はあえなく落選した。「ちくしょー」とは思ったものの、実際は完膚なきまでの敗北である。そもそも、ストーリーを構成するという経験値自体が圧倒的に足りないのだ。熱量的な部分で既に勝負はついていたにしろ、それでも悔しさは強かった。ただ、負けっぱなしで終わってしまうのも何だか癪だと思ってしまった。

何だかんだ言いつつ、僕はまた来年リベンジするつもりだ。出来ればこちらも、人の生き死にに関する何かで。この性格の悪さと希死念慮が武器になる日を探して文章を書き始めてから、もう15年以上経つ。しかしながらまだその日は訪れていない。先は多分、もっともっと長いのだ。やっていることが昔から何も変わっていないのが、面白いところだが(以下は15年前に書いたテーマ短編)。