キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

最高で最強のロックバンド・爆弾ジョニーの解散に寄せて。

こんばんは、キタガワです。

 

某日。忙しい仕事の合間を縫って、僕は変わりもしないツイッターの画面に目を動かしていた。電波は圏外ギリギリ、というか実際に何度も圏外になる状況下でも、スマホを見ていたくなるのが依存症だ。数分間仕事をして、パッとスマホを見る。数分間書類整理をして、通知を確認する。そんなことを繰り返しているうち、音楽ナタリーからの通知がポンと画面に出た。『爆弾ジョニーが解散』……。今でも決して受け入れられない出来事だけれど、全く通知のこない状況下でこの情報だけがスマホに入ってきたことだけは、何かの運命かもしれない。そう考えると、何だか可笑しくなってしまった。……何がだろう?分からない。

 

爆弾ジョニー 『なあ~んにも [Music Clip]』 - YouTube

爆弾ジョニー LIVE 『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014 in EZO』 - YouTube

爆弾ジョニーとの出会いは高校時代。CDショップで見掛けたインディーズ時代のアルバム『かなしみのない場所へ』に、僕は完全に心を掴まれた。当時はGalileo GalileiやOKAMOTO'S、ねごと、Droogといった10代の高校生バンドが音楽シーンを賑わせていた時期で、必然的にレンタル商品にも10代バンドが多く入っていたが、そんな中でもストレートなロックが好きな自分に、『かなしみのない場所へ』は脳天直撃する代物だったのだ。CDジャケットのおバカな感じもそうだが、何よりその楽曲。“なぁ〜んにも”のキャッチーさはもちろん、突然の《ワンツースリーフォー!》の絶叫から始まる“おかしな二人”は若者特有のポジティブさに満ちていた。かと思えば“素晴らしい世界2”でウルッときて、ラストの9分超えの大作“かなしみのない場所へ”で、感謝を伝えてくる……。あの出会いから10年以上経った今でも、大好きなアルバムのひとつだ。

 

爆弾ジョニー 『キミハキミドリ』 PV - YouTube

以降も彼らはコンスタントに作品をリリース。セカンドの『はじめての爆弾ジョニー』では宇宙人の女子に出会ってド下ネタを勉強するという謎ストーリーが面白い“キミハキミドリ”や、全てのことの意味のなさを笑い飛ばす“イミナシ!”といった、今でも代表的なライブアンセムを多数記録。次なるメジャーに進出しての『みんなの幸せ』では活動の総ざらい的1枚となり、アニメ主題歌の“唯一人”を筆頭に、一気に爆発した感さえあった。

一方で自分はと言うと、彼らの音源を毎日聴いてはいたものの、爆弾ジョニーの主戦場であるライブにはほとんど行くことはなかった。僕が住んでいるのは島根県の片田舎で、全国規模のバンドが来るライブハウスもひとつほど。かと言って県外に遠征出来るほどの金がある訳でもなかったので「爆弾ジョニーめちゃくちゃいいよ!」と人に勧めながらも、ひとりでCDを聴くだけ、という日々が続くばかり。そしてあるとき、彼らは長期的な活動休止を発表。理由はフロントマンのりょーめー(Vo.G)の体調不良が原因であると伝えられているが、おそらくはメジャーデビューに際して音楽会社からの「こうして欲しい」という要望や、売れるためのあれこれに精神的に疲弊してしまったのが原因なのだろうと推察する。

 

爆弾ジョニー 『唯一人(tadahitori)[Music Clip]』 - YouTube

僕がようやく彼らのライブに行くことが出来たのは2016年、活動休止からの復帰ツアー。セットリストの大部分を未発表の新曲で構成した強気の代物で、彼らは満員御礼のファンに囲まれて活動を再開した。個人的にもめちゃくちゃに楽しかった2時間だった中で、何というか「あんなに聴いてたバンドが目の前にいる」という興奮ばかりが先行して、しっかり歌詞の意味やサウンドを聴けなかった印象もあったり。……次に参加したのは広島クラブクアトロの『スペシャ列伝ツアー2017』。never young beach、yonige、LAMP IN TERRENらそうそうたるバンドが一同に介するライブは2番目の出順だったが、持ち時間の30分を新曲を大量に投下することで完結させた。

 

そのときに感じたのは、やはりライブの楽しさ。ライブはいろいろな楽しさがあるけれど、個人的には音源をそのままプレイするというよりは、何か突飛なライブならではの行動をしてくれた方が印象に残るもの。そんな中で爆弾ジョニーは、基本的にノープランで進行している点で最高だった。MCも特に決めないし、楽曲内ではまるで学校の休憩時間の一幕のような無茶振りで笑わせてくれる。例えば“キミハキミドリ”や“ケンキョニオラツケ!”のワンシーンでは全員で踊る場面があるのだが、その振り付けについてもしっかり説明するときとしないときがある。しかも別にやらなくても良い、という……。狙っている訳ではなくて、全てが『素』の彼らの観るたびに全く違うライブ。それはひとつのバンドを追うことに関して、とてつもなく大きい理由になり得た。

 

爆弾ジョニー「イミナシ」PV - YouTube

ただ、彼らがどんどん活動を続ける中で、僕はいつしかライブから足が遠のくようになった。理由は大学卒業→就職を機に地元の島根県に戻ったからだが、こんなド田舎ではライブを観られるはずもなく。週休1日のその日を使って遠征するのも物理的に難しく、「またいつかライブを観よう」と思いながらも、気付けば数年が過ぎていた。

季節は過ぎて、コロナ禍。結局僕が彼らのライブを観ることが出来たのは、それから4年後。新宿レッドクロスでの配信ライブだった。幸か不幸か、県外に行けない人間にとってコロナ禍における配信ライブは希望の光。当然たくさんのライブを楽しんでいた中で、彼らの単独ライブ配信もあったのだ。りょーめーの髪が黒髪になったり、ロマンチック☆安田(Key.Cho)がアゴ髭をたくわえていたりと風貌に少しの変化はあれど、それは紛うことなき爆弾ジョニーのライブだった。新曲もその全てが格好良く、独立を宣言したことも頷けるほどの魅力に溢れていた。

僕はそのあまりの素晴らしさから、すぐにライブレポートを執筆した。ライブレポートの執筆は当ブログの恒例になってはいるが、言わば自分の備忘録としての役割を果たしている。なので内容如何に関わらず普段はいいねひとつ付かず、誰にも読まれることなく消えていく。ただ、この日だけは違った。なんと爆弾ジョニー公式アカウントから、引用リツイートで紹介していただいたのだ。以降も配信ライブレポを寄稿するたびにリプライをいただいたり、詳しい内容は伏せるけれど、僕自身が夢を諦める記事を書いたとき、最も早く連絡をいただいたのがまさかの爆弾ジョニー公式アカウントからのDMだった。やり取りした相手がりょーめーさんなのか、ロマンチック☆安田さんなのかは不明だけれど、その節は本当にありがとうございました。あのときにいただいたお約束、これからもずっと有効です。いつでもご連絡ください。

そして爆弾ジョニー解散の報。ラストライブは開催されず、「この5人でなければ爆弾ジョニーではないから解散する」という、あまりにも彼ららしい幕引き。“おかしな二人”の歌詞の一部を借りれば、彼らは本当に《おかしな五人のまま死んだ》のだ。でも僕らの心に、ずっと爆弾ジョニーの音楽は残り続けるのだから、多分大丈夫だ。12年間どうもありがとう。また個人的な思い出はあれど、新しい活動を始めるときは、どうかそのお手伝いをさせていただいたいと切に願っています。以前お伝えした通り、島根も案内しますよ。お酒でも飲みながら話しましょう。どうかお元気で。