キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

PS4・Nintendo Switchの超激ムズインディーゲー『Cuphead』で狂おう

こんばんは、キタガワです。

 

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思い返せば、学生時代の頃の我々はゲームばかりしていた。友人と集まればやれモンハンだポケモンだとプレイに躍起になったし、新作が出るたびに貸し借りをしたりして楽しんだりもした。……それが今はどうだ。あの頃の幸福なゲーム空間は遠い昔で、嬉々としてゲームをプレイすることは本当に少なくなってきた。もちろん「大人になるとゲームやらなくなるよなー」とは言いつつも、月2程のペースでゲームを今でも購入する友人も何人かはいる。ただ「○○買ったよ」との報告こそあれど「クリアしたよ」の報告を聞くことはまずもって無く、結果どんどん積みゲーを増やして金だけが飛んでいっている人も決して少なくない。自分自身もそうで、ゲームをやるよりはNetflixや手元の漫画に目を落とすことも増えてきた。けれども最近Cupheadに出会ってから、少しはゲーム離れがマシになったような気がするのだ。その理由は至極単純で、ただただ純粋に面白いから。


Cupheadは、カナダのゲーム会社が制作したインディーゲーム。日本での認知度はまだ低いものの、海外では爆発的に売上を重ねた大注目ソフトとして知られていて、2020年7月の時点では累計販売本数が600万本を超えた。最近ではスマブラにコスチュームとして登場したこともあり、何となく名前とあの可愛らしいキャラクターだけは知っている、という人も多いはず。なお値段はDL専売で1980円程度で、手を出しやすい価格帯のも嬉しい限り。そのため今回僕は半ば「どんな感じかなあ」と半ば冷やかし程度にプレイした訳だが、これがなかなかどうして面白く、コントローラーがなかなか離れない中毒性の塊だった。

 

Cuphead [Indie World 2019.5.31] - YouTube


Cupheadのジャンルとしてはアクションシューティングゲームで、雑な例えをしてしまえばロックマンやグラディウスに近い。要は敵の攻撃をかわしながら銃で敵を倒そうね、というスタンスなのだけれど、まず大きな特徴として、難易度が異様に高いことが挙げられる。前から敵の攻撃が飛んでくるのは当たり前として、何と同時進行で頭上からは爆弾、下からはトゲトゲが襲い来るなど総じて鬼畜仕様。故に画面全体の把握と細かい移動操作が必須となるそれは、初見クリアは100%不可能と断言出来る激ムズさで、その可愛らしいキャラクターとは裏腹に多くのユーザーを絶望させるゲームでもある。


ただ難しいとは言え頑張れば絶対にクリアできる絶妙な難易度であることは、声を大にして伝えたいところ。負け続けているうちに「この攻撃の後はこれが来るな」「一息つくならここだな」といった自分なりの攻略法が分かってくるので成長している過程も楽しいし、何より時間をかけてボスを倒した達成感は凄まじい。しかも中には、普通の倒し方では出現しない裏ボスも出てくるとかなんとか……。特に昨今はイージー系のゲームが良しとされている風潮がある中で、このゲームの立ち位置は異質なものでもある。


次に、このゲームのステージが基本ボス戦オンリーなのも他のアクションにはない部分だ。それこそロックマンではステージごとにいろいろと進めていって、その最終地点にボスが待ち構えている流れが常だったが、このゲームではステージを選んだ瞬間すぐボス戦がスタートして倒せばクリア、という作りが全体の約75%を占める。なのでどれだけ長くても1回のプレイ時間は2分以内に収まるし、やり直しもストレスフリー。そうした死ぬ回数に対して時間が比例しない作りはお見事と言う他なく、気付けば何度もやってしまう。更にはそのボスも何度も変形したりするので、まるで全く別の戦いをしているような満足度を得られるのも最高である。


最後に、このゲームを彩るコミカルなキャラクターにも触れておこう。前述の通りこのゲームはそのキャラクターにも多くの注目が注がれる作品として知られていて、実際プレイしていてもどこかトムとジェリー的というか、例えば壁にぶつかった時にチカチカ星が出たり、ダメージを喰らった時に目が×印になったりとオーバーリアクションが散見されるので目にも楽しい。実はこのアニメーションは1枚1枚が手書きで、膨大な労力をかけて実現したものだというから凄い。なお海外ではガチャガチャ的にいろんなボスがフィギュア化されていることも考えると、アニメーター的にも本当に嬉しい結果なのだろうなと思う。


現在、アンダーテール然りアマングアス然り、大手に所属しないインディーゲームが台頭することも増えてきた。無論その理由は純粋に『作品の出来が良かった』ためであることは言うまでもなく、そのブレイクは海を超えて日本にも当たり前のように上陸するようになってきた。しかも値段は1980円とリーズナブルとなればやらない理由が見つからないというものだが、しっかりと完成度も鉄壁にしているのだから流石だ。欲を言えば邦ゲーにも時間を忘れて熱中出来る代物が爆誕してはくれまいかと願うところだが、それはそれとして。トライ&エラーを繰り返す『Cuphead』は、まずもって長らくゲームから離れてしまった全ての人を取り戻す求心力に満ちているので、気になった人は是非とも。