キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

オミクロン株の恐怖からのライブ参戦断念に考える、地方都市暮らしのライブキッズ

上司に「行きたいところがあるのでリフレッシュ休暇取ります」と宣言し、チケットも宿も確保した某日。まさかチケットを確保しているにも関わらず、またもライブを断念する日が来るとは思ってもみなかった。……新型コロナウイルス・オミクロン株の爆発的な感染拡大により、ご存知の通り我々の生活は何度目かの窮地に立たされることとなった。現時点で東京の感染者数は4000人を超え、これまで何週間も感染報告がなかったはずの筆者の暮らす島根県でも100人規模の感染者数が発表されたことで、恐怖心が日々膨らんでいる。

そんな中ライブシーンはと言うと、1年前とは異なり中止・延期をする動きは基本的に見られない。……いや、どれほど感染が拡大してもライブはやる。払い戻しはしない。配信も極力なしという数々の救済措置を廃した現状を見ると、収容と発声制限等以外はすっかり元通りのライブシーンと言っても良いかもしれない。しかしながら、一見現実主義なこれらの試みは、ある一部の音楽ファンを若干蔑ろにしている部分があるのではなかろうか。それこそ遠征をしなければライブに足を運べない、田舎者のライブキッズたちは特に。

僕が今回のライブを断念した理由もそこにある。要は『コロナにより来場が叶わない人たちへの救済措置が何もない』というのが、田舎者としての大きな不満なのだ。そもそも今回のオミクロン株の大流行は、全く予想のつかないものでもなかった。海外で過去最高の感染者数が記録されていることは事前情報としてあったし、当時ほとんど感染者がいなかった日本でも病床逼迫の可能性などはたびたび取り沙汰されていた。故に「ライブは絶対に開催するよ」との決行宣言は喜ばしいとしても少なくとも、やむなく参戦が出来なくなった人々へのリセール実施くらいは存在して然るべしなのではなかろうか。

これまでのコロナ禍で、地方都市に住む人間にとってはライブシーンの期待値は大いに高まっていたことだろう。直接ライブに来られない人のためにオンライン配信を実施したり、直前でもキャンセルを敢行したり。日々変化するコロナ禍の現状に上手く沿った形式は、都市部の人はどうあれ『ひとりが罹ったら絶対的に終わる』な地方都市の人間にとっては願ったり叶ったりで、だからこそ何ヶ月も前のチケット先行を気兼ねなく応募出来た感はあった。

では現在はどうかと言うと、この2年間の教訓を自ら崩すようなライブ運営をしていると言わざるを得ない。無論これは良いことでもあるのだけれど、オミクロンの爆発的感染が拡大中なこの状況でも元通りに回帰させるのは、正直「本当に地方都市はライブ後進の地なのだなあ」と思ってしまう。もちろんこうした状況下でもツアーを回ってくれるアーティストの方々には頭が上がらないし、これらはシステム上の都合なのだろう。が、これまで期待をしてしまっていた手前、いろいろと思うところもある。

我々都市部に暮らすライブキッズだけが分かる、何度目かの振り出しに戻ってしまった感が強い現在のライブシーン。故に「もしも自分が都市部に暮らしていればどうなっていただろう」と考え続ける日々である。確かにコロナの怖さもある中でも、少なくとも他の参戦者の感想を見て心がざわついたりすることはないのだろうと思うと妙にやるせなくなったりもしてしまうのだ。これが都市格差。