キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

Nintendo Switch Onlineに追加された『マリオストーリー』に、思った以上に涙腺を刺激された

こんばんは、キタガワです。


幼少期よりゲームに勤しむ経験をしてきた人間なら誰しも、ふと「あのゲームもう1回やりたいな……」と思ったことがあるはずだ。ニンテンドー64、ゲームキューブ、PS2、PSP……。今より画質もシステムも良くなかった関係上、今考えれば不便な部分も多かったけれど、それでも当時は嬉々としてプレイしていた。ああでもないこうでもないとワイワイとやり合ったあの輝かしい記憶はまさしく、青春時代の象徴である。


ただすっかり大人になった我々にとってゲームという存在は、凄まじく縁遠いものになってしまったのも事実。限られた自由時間は他のことに使いたい。そもそも今のゲームはゴチャゴチャしていて分からない。あれほどかつて楽しんでいたゲームを心から楽しめなくなったのは、一体いつからだろう。……そんな状況だからこそ改めて思う。あの頃楽しんでいた昔のゲームは今プレイしても、同じような興奮を呼び起こすのだろうかと。

 

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かくして筆者は、元々入会していた『Nintendo Switch Online』に年会費を更に上乗せした『Nintendo Switch Online+追加パック』に加入。これにてわざわざハードを購入せずともニンテンドー64の作品が遊べる環境が現実のものとなった。お目当ては約20年前に発売された名作ソフト『マリオストーリー』。そう。ただ一昔前発売のこの作品をプレイするためだけに、高い金額を払うことを決めたのである。その購入ボタンを押す瞬間、脳内では今回加入したことによるふたつの可能性がぐるぐると回っていた。まずひとつは「やはり昔のゲームは名作だった」と感動する、ポジティブな可能性。そしてもうひとつは思った以上に感動することもなく「やっぱり大人からすると昔のゲームもつまらん」と落胆するネガティブな可能性で、まだゲームをプレイしていない段階ではそのどちらの可能性も、同じくらい高いように思えた。


そして念願叶った『マリオストーリー』は結果として前者……。事前予想を遥かに超えて感動する代物だった。確かに今プレイすると荒くもあるけれど、それ以上に思い出が全てを凌駕する感覚とでも言おうか。ピョンピョン飛び跳ねるだけでも心底楽しいと思える操作感はまるで童心に帰ったようでもあり、いつしか笑みを浮かべながらコントローラーを握っている自分に気付く。嗚呼、楽しさの一辺倒で満たされる感覚。これこそがかつて若かりし頃に愛したゲームなのだ。これほど素晴らしいゲームを20年経った今プレイできる喜びは、明確な言葉では言い表せない。


ただ、20年も経っていると当時とはまた違う楽しみ方も生まれてくるもの。ストロングゼロをかっ喰らいながらプレイしているとBボタンでハンマーをバッコンバッコン打ち付けながら進んで窮地に陥ったりもするのもまた一興である。そうでなくとも、あらゆる経験を重ねたために以降のシナリオが予想できてしまったり、トンデモ展開(家の2階から落下して無傷など)の数々が気になってしまったりと、かつてのように一緒にゲームで笑い合う友人は仕事柄少なくなっても、以前では考えられなかったエンタメのエッセンスを散りばめることも可能なのだ。総じてまだまだ楽しめそうな『マリオストーリー』。懐かしい思い出を肴に楽しむ経験は本当に稀有なものなので、どうか購入を渋っている方々の多くにプレイしてもらいたいと強く願っている。大人になった人間だからこそ分かる楽しさが、きっとそこにはあるはずだ。