キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

菅田将暉と小松菜奈の結婚報道を機に、彼の音楽的才能にも目を向けてみよう

こんばんは、キタガワです。

 

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https://sudamasaki-music.com/sp/index.html


菅田将暉と小松菜奈の結婚を速報で知った時、心からの祝福を送りたくなった人は決して少なくなかったと推察する。ここ1年半、コロナ禍でネガティブなニュースばかりが先行する中で結婚報道というのはハッピーな出来事としてピックアップされることも多かったけれど、それでもだ。『溺れるナイフ』や『糸』などふたりが共演した映画が偶然にも軒並み大ヒットを記録していたことからも、やはりこの結婚は双方のファンであればあるほど嬉しかったはずだ。


そして今回の結婚発表が日本列島に大いなる衝撃を与えたことから十中八九、速報から一夜明けた本日のワイドショーでは彼らのこれまでの歩みをつまびらかにする特集も組まれる。そこでは間違いなく「『糸』の撮影後に菅田からアタックした」とか『『溺れるナイフ』で恋人役を演じたふたり。金髪の彼氏役が菅田』とか様々な形で情報が流布されるだろうけれど、個人的に特集してほしいのは、俳優・菅田将暉の歌手としての側面である。……俳優としての演技力が評価された結果、菅田がここまでの認知度を獲得していることは言うまでもない。ただ今や菅田の歌手イメージは一般的に見てもかなり大きくなっている。紅白歌合戦初出場に始まり、公式MVは1億再生超え多数。更にはライブツアーも全公演が即日ソールドアウトと、およそいち俳優としては有り得ないレベルでこの数年間、音楽シーンの印象部として君臨してきたのが菅田将暉という人間であることは、もはや疑いようのない事実なのだから。

 

菅田将暉 『見たこともない景色』Short Ver. - YouTube

 

例えば、記念すべきファーストシングル“見たこともない景色”。この楽曲では疾走感溢れるファストロックなサウンドに乗せて(当時彼が出演する恋愛作品が注目を集めている渦中ながら)、菅田がかねてより好んできた音楽ジャンルである無骨なロックを叩き付けるという、大きな衝撃と共に迎え入れられた。今楽曲で印象に残ったのは何より、菅田のボーカルとしての声の太さだ。どれほどバックに爆音が鳴っていてもその中心を捉える歌声。それは天性の才能と言って差し支えなく、余談だが現在菅田のアルバムの随所に見られるロックっぽさに関してもこの楽曲が契機となっているように思う程、本当に力強い1曲として位置していた。

 

菅田将暉 『さよならエレジー』 - YouTube

 

続いて注目を集めたのは、菅田とプライベートでも親交のある石崎ひゅーいが手掛けた楽曲“さよならエレジー”だ。ほぼダブルリードのギターに乗せて紡がれるのは、敢えて抽象的な表現に留めたタイアップ的な歌詞。それは先述の“見たこともない景色”の前向きな印象とはまた違った、自身の本心も分からないまま只相手を求めてしまうがむしゃらな思いを描いた意欲作だったが、この楽曲が飛躍的な伸びを見せたこともあってか以後石崎との共作はスタンダードと化し、何よりもこの楽曲は『シンガー・菅田将暉』の強みを世に知らしめた会心の一撃として、結果多くのカラオケランキングやストリーミングサービスで上位を獲得するに至っている。

 

菅田将暉 『まちがいさがし』 - YouTube


そして紅白歌合戦の出場含め、一般大衆に圧倒的なイメージを突き付けたのが“まちがいさがし”である。この楽曲は以前“灰色と青”でもコラボレートを果たしたかの米津玄師が提供したことでも話題を拐ったが、何よりも驚きだったのはこの楽曲が徹頭徹尾、バラードに振り切っていること。これについては流石は米津玄師の審美眼と言うか、おそらくは菅田がバラードを歌った際にどういう形のサウンドが映えるか、どういう形の歌い方が適しているかを完璧なまでに具現化した1曲であるとは思うのだけれど、これまでの楽曲とは異なる新たな引き出しを開けた“まちがいさがし”は俳優兼歌手としては空前の大ヒット。なおこの年のDAMカラオケランキングでは堂々の第1位を記録しており、友人間でのカラオケチョイス的にも中高生の間で歌われ続けていた、という事実は是非とも特筆しておきたい。

 

菅田将暉 『虹』 - YouTube

 

ここ最近の話で言えば、未曾有のコロナ禍に生み出され、ドラえもんの映画主題歌として広く浸透した“虹”が記憶に新しい。曲調は完全なるバラードで、作詞作曲は石崎ひゅーい。気になる歌詞は『のび太のしずかちゃんの結婚過程を描く』という映画のストーリーを踏襲し、愛する人を一生愛し続ける覚悟に満ち満ちている訳だが、これが結果として小松菜奈の結婚以前の話としては最も直近にブレイクした楽曲であることには、何故か運命的なものも感じてしまう。ひとつの事実として“虹”のレコーディングの数ヶ月前には、彼らの交際の決め手となった映画『糸』がクランクアップしていたところを見ると、この歌詞にはいろいろな思いを抱かずにはいられない。

 

俳優に限らずアイドル、Vtuver、ゲーム実況者、歌い手など、数多くの他ジャンルで活躍する人々がアーティストとして活躍している現在、提供される楽曲群は基本的に著名な作詞作曲家であることがほとんどだ。それこそ菅田将暉もその枠から特段外れることはなく、多数の有名アーティストからの提供曲を真摯に歌唱している。故にそのアーティスト・菅田将暉としての実力を図るには菅田の歌声のみが評価対象になるのは当然なのだけれど、そんな中でも彼は「もしバンドを組んでいたらボーカリストとしても成功していたのだろうな」と容易に想像出来るほど本当に印象的な歌声をしていて、ここまでの力を見せ付けられれば何も言えない、圧倒的な説得力に満ちているのだ。……繰り返すが、今回の結婚報道で彼が数日間、とてつもない認知対象になることは間違いない。だからこそ今、だからこそ今なのだ。彼にスポットが当てられることでボーカル的な面にも目線を向けさせることが出来るのは。総じて今記事がまだ菅田の楽曲を聴いたことがない人に届き、あわよくば新たな音楽の扉を開く契機になることを願ってやまない。