キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

Hello Sleepwalkers活動再開と、新曲“SCAPEGOAT”の最良の不変性

こんばんは、キタガワです。

 

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この日を3年待った。3年待ったのだ。ファンが長きに渡って待ち望んできたHello Sleepwalkersの活動再開。思えば我々は飽和しきったシーンに鳴り響く改革の一手を座して待つばかりだったが、そんな虚無的な時間ももう終わりだ。モッシュもダイブも、コール&レスポンスさえ失われたライブハウスで最後に輝くのはやはり、中心に立つバンドの熱量に他ならない。そしてハロスリは多くのバンドファンにとって、最も興奮を昂らせる稀有な5人組として位置していたのだから。


ハロスリの絶長期として誰もがイメージするのは、有名アニメのタイアップを一身に受けた“午夜の待ち合わせ”で異論はないはずだ。確かにこの楽曲には荒ぶる音圧と矢継ぎ早に繰り出されるフレーズ、男女混合のボーカル、キャッチーなサビと売れる要素は数多くあり、以降彼らのライブでは絶対的に披露されるアンセムとして君臨した。ただ何らかの要素が契機になって音楽が売れるということは、ファンにとってはある種の「これも良いけどもっといろいろいい曲あるよ」と思ってしまうのも仕方がないことでもあって、特に“センチメンタル症候群”や“天地創造”といった所謂ロック・ポップ然とした楽曲群をハロスリの魅力として好んでいたファンからはいろいろ思うところがあったことだろう。

 

Hello Sleepwalkers「午夜の待ち合わせ」MUSIC VIDEO - YouTube


その真髄が発揮されたのはやはりライブで、音源上ではある意味では『良くあるロックバンド』と見なされていたものがトリプルギター・ベース・ドラムという特殊な編成と、そもそものピッキングが強すぎるあまり結果爆音になるサウンドも相まって、全く異なる印象を与えさせるバンドでもあった。けれどもこれも仕方ないことではあるが、大ブレイク直後は動員数も安定していたものの集まる新規ファンは“午夜の待ち合わせ”を期待して集まるものが多く、実際アニメ終了から数カ月後にはかなり厳しいものがあった。個人的にもサーキットイベント含め3度程参戦した身だが、最後のツアーでは県内の最も小さいライブハウスもソールドせず、前方は盛り上がってはいたものの後方はスペースが目立ったりもして、いろいろと低迷感を抱いてたりもしたものだった。


そして彼らは充電期間として突如表舞台から姿を消し、気付けば約3年。正直この3年間はSNSについてもメンバーの大半が沈黙……。というより主だった活動に関しては言及していなかったので、彼らがこれまで何を行い、また何と向き合ってきたかは分からない。にも関わらず、ここまで『THE・ハロスリ』と称すべき1曲が誕生したことを見れば改めて、それこそボーカルトレーニングであったりスタジオ練など、努力の跡が見える。

 

SCAPEGOAT(Music Video) / Hello Sleepwalkers - YouTube


翻って、そんな新曲“SCAPEGOAT”は長年待ち望んだハロスリファンにとって、心に直撃する楽曲であると言わざるを得ない。緩やかな助走から次第に熱を帯びていく様は“センチメンタル症候群”を想起させるし、タソコ(G)の十八番である高速タッピングも健在だ。他にもシュンタロウ(Vo.G)の叙情的な歌詞然り、中盤以降のサウンド然り、それは新たな始まりの一手として申し分ない素晴らしいものだった。唯一“SCAPEGOAT”では見られないハロスリらしさとしてはナルミ(Vo.G)のボーカル要素のみだが、これはニューアルバムで魅せていると思われるのでおそらく杞憂だ。


かくしてハロスリの第2章は最高の形でスタートした。未だコロナの収束は見えないけれど、何故だかそうした苦境さえ覆してくれる、謎の確信さえ抱いてしまうのは決して自分だけではないはず。その足がかりとしてまずアルバムの成績にしっかりと目を通しつつ、ライブツアーを含めた今後のイベント発表を心待ちにしたい。