キタガワのブログ

島根県在住。文筆。rockinon.com外部ライター等。

『良い歳した男が男性アイドルの曲を聴く』ということ

こんばんは、キタガワです。

 

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思えばヒットチャートに毎週必ず誰かしらのアイドルグループが出現するようになって、もう随分経つ。ある程度の年代感の人間からすれば『アイドル』として爆発的に世論を巻き込んだのはAKB48による握手券やセンター総選挙生中継が直ぐ様思い浮かぶけれど、その傾向は昔からあって、それこそジャニーズやモーニング娘。など継続的なブレイクの変遷を続けながら時代は巡り、アイドル界も進化を遂げていった。


あれから幾数年経って新時代の到来と謳われた現在、その勢いは間違いなく過去最大風速となっている。男性アイドルグループで言えばジャニーズのSixTONESとSnow Manをはじめ、K-POP市場もBTSの躍進やNCT 127といった新進気鋭のアーティストが盛り上げてくれているし、女性アイドルグループにおいても日向坂46や乃木坂46ら坂道系はもちろん、VTuberがアーティストデビューを果たすことも広義で言えば『アイドル』と言えるかもしれない。つまり現在のアイドルシーンは総じて飽和状態……。ある意味では出せば売れるような状況に達している。


ただそうした中で気になるのは『女性が女性アイドルの曲を聴かない』、若しくは『男性が男性アイドルの曲を聴かない』という現象についてだ。当然同性嫌悪のようなことはないにせよその比重は明らかにアイドルごとに異なっていて、例えばAKB48はかつて男性ファン6割に対して実は女性ファンも4割程存在したことがデータとして明らかになっているし、昨年ブレイクしたNiziUについては男性ファンより女性ファンの方が圧倒的に多い、というのは周知の事実としてある。けれども男性グループ……。例えばSixTONES好きな男性ファンが何人いるかと問われれば絶対的に少ないはずで、特に男性から見る男性アイドルへの視点においては「この違いは一体何なのか」と思ったりもするところだ。


そしてそのうち明らかに男性アイドルに「NO」を突き付けているのは、我々のようにある程度歳を重ねた男性であると言うこともひとつの事実として垂直に立っていて、それこそ女性アイドルグループに傾倒することこそあれど、大手を振って「今日Sexy Zoneのアルバムの発売日だから早く買わなきゃ!」などと言っている男性を、少なくとも自分は見たことがない。かく言う自分自身もかつては男性アイドルグループを毛嫌いしていた類いの人間で、街中を歩けばBGMがイケメンのパッケージング、CDショップに行けばどこも容姿端麗の平積み、片や僕の大好きなロックバンドは隅の方で埃を被っているという状況に心底辟易していたものである。

 

【LIVE映像】SWEET TASTE PRESENT/浦島坂田船【ひきフェス2021】 - YouTube


そんな僕は先日浦島坂田船のライブに参加した瞬間から、男性アイドルへのある種の嫌悪感がなくなりつつあることを自覚するようになった。当然ライブ会場は9割以上が女子だったし、演者側のパフォーマンスも女性ファンを意識したもの(投げキッスや甘い囁き等)が多かったがそれでも本当に楽しかったし、今まで大した理由もなく男性アイドルについて「俺そういう人たちあんま聴かんのよね」とふんぞり返っていた自分の考えを改めようと思ったのだ。……そしておそらく、そうした「こんな人たちもいるんだー。でもけっこう良いじゃん」的な経験から意識的に避けているからこそ、我々良い歳をした男性が男性アイドルのファンになることは少ないんだろうな、とも。


確かにそう考えると、男性が男性アイドルの楽曲に触れること自体未だ敷居は高い。ただ演者とファンが本気で接している双方向的な関係を観れば十中八九認識も変わるはずで、少なくとも男性アイドルに否定的な思いを取っ払う契機にはなり得ると僕は考えている。だからこそ例えば今回の浦島坂田船のライブでもあったように、自分たちの両親をエンタメ的な意味でライブに連れていくのはとても素晴らしいし、カップルが彼氏を無理矢理連れていくのも、僕のように男が単独参戦するのも契機としては全然アリ。……むしろ今後はそうした前傾姿勢のアクションでもって、男性アイドルを知らない男性たちだからこそ、自らどんどん沼に進んでいってほしいと思ったりもするのだ。


時代は変わり、現在では働き方改革やマイノリティーや就業多様化など、個々の多様性を認める時代に突入した。それは音楽においても同様で個人の音楽嗜好を揶揄される時代ではなく「こんな曲聴いてるんだ。オススメとかある?」と寛容に受け止める動きが広がっている。とするならば、男性が男性アイドルの楽曲を聴くことについても実際は我々が自意識過剰になっているだけで、それらを許容してくれる人の方が大多数のはず。これは極論でも何でもない。僕が今回の出会いで浦島坂田船の沼に肩まで使った人間として、本心からそう思うのだから。