キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

最高の夏こと『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021』の開催が正式決定。大いなる変革を遂げた今年のロッキンはどうなる?

こんばんは、キタガワです。

 

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ロッキンジャパン、復活……。新型コロナウイルスの影響を受け開催直前に断念せざるを得なかった悪夢の昨年度を乗り越え、この度今年の開催が正式にアナウンスされた。今年も例年通り2週に渡っての計5日間開催。現時点で判明している出演アーティストは日付順で8/7にthe HIATUS、宮本浩次、WANIWA。8/8に[Alexandros]、KANA-BOON、sumika。8/9にあいみょん、東京スカパラダイスオーケストラ、マキシマム ザ ホルモン。週を跨いで8/14にUVERworld、THE ORAL CIGARETTES、きゃりーぱみゅぱみゅ。最終日8/15にクリープハイプ、MAN WITH A MISSION、ヤバイTシャツ屋さんという豪華な面々で、その全てのアーティストが今までに最もキャパの大きいメインステージ・GLASS STAGEに出演経験のあるアーティストである。


そして今までほぼ来場者が一度は訪れる、かのGLASS STAGEについて今年は大きく変革が成される。そう。今年のRIJにおいて何よりも重要な点。それは今までステージは計7ステージであったのに対し、今年はGLASS STAGEたったひとつに絞られるということだ。必然出演者も大きく減り、かつては200組のアーティストを越える大型ライブイベントの様相を呈していたロッキンは今年1日8組。5日間で総勢40組のアーティストの編成となる。もはや言うまでもなく、ここまでの規模縮小の背景には我々のことを考えたコロナウイルスの感染防止対策があってのことで、そこには賛否両論は当然ながらある。しかしながら例年同様の金額設定で、移動手段は公共交通機関は基本的に使わずシャトルバスか車。当然発声も飲酒も禁止。加えて1ステージのみということは当然ステージ後方で、ほぼほぼポツンとしか見えないアーティストに対してなるたけ盛り上がるを得ない図式も容易に想像出来る訳で、言葉を選ばない本音としては現状ネガティブな意見の方が大きいのではと推察する。


ただ上記の事柄は、まだ開催まで2ヶ月以上前の現状でしかないというのもまた事実。1年の空白期間を経てのRIJ。過酷な情勢の中でステージを構築するひたちなか。全国ツアーでさえままならないけれども「ロッキンに呼ばれるなら」と参加を決めたアーティスト。そして何よりも様々な思いを胸に参加を決めた、若しくは決めかねているライブキッズに向けて今発信しなければならないのは、やはり希望に満ちた事柄だとも思うのだ。だからこそ今回は大いなる変革を遂げるに至った『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021』の幾分前向きな事象について、来たる祝祭への期待値を底上げすべく書き記していきたい。


まず、全体的なレギュレーションについて。今年のRIJは収容人数を例年の半分以下とすることが決定事項となっているため、間違いなく集まった観客が皆「人少ないなあ」と感じる程には人口密度が緩和される。故に今までフェスで当然とされてきた所謂『フェス飯』の長蛇の列や、会場に向かうまで押しつ押されつの押しくらまんじゅう状態になることは可能性として低い。元々RIJは万全の数のトイレを設置するなど『日本で一番快適なフェス』の異名を持っていることは広く知られているけれど、今年はRIJに例年足しげく通ってきたファンでさえ、とても快適なものになること請け合いだろう。更には一長一短という言葉があるように、その他進行に数々の賛否両論はあれどフェス参加者には酒を嗜まない人やダイブ&モッシュが苦手な人、遠方でゆるりとライブを観賞したい人間も多く、そうした人々にとっては至極快適なフェスと化す。


加えて、誰もが気になる出演アーティストにも期待大だ。確かに総合的に見て出演者が少ない、それは純然たる事実としてある。ただその分濃密なラインナップとなることは確実で、実際冒頭にも記したように現時点で確約されているアーティストは全員かつてGLASS STAGE出演……。つまりRIJのメインアクトとして名を連ねてきたアーティスト。そこに今回の価格据え置きとGLASS STAGEオンリーの配置から見えてくるものは即ち、ほぼロック界の紅白歌合戦レベルのアーティストの多数参加に他ならないと思うのだ。個人的には例年のRIJの傾向的と貢献度的には櫻坂46やBiSH、KEYTALK、ASIAN KUNG-FU GENERATION、サカナクション。他にも注目度的にはELLEGARDENやNUMBER GIRL、よもやの爆弾起用としてサザンオールスターズやMr.Children……なんてこともあるかもしれない。フェス単価がどこも高いことはまずもって当たり前だが、その中でも十分お釣りが来る程のラインナップがRIJでは実現されるだろうし、事実今までそうされてきた事例から考えても今回の発表はまだまだ序章。開催が間近となった7月頃には「このチケット代でこの豪華アーティスト!?」という嬉しい悲鳴がTLで駆け巡るはずだ。


そして、このコロナ禍で幾度も繰り返されてきた突然の延期・中止が今回のフェスには十中八九起こり得ないないこともプラスの要因だ。「公式のコメントには公園、県、市、地元関係者の方々と何度もの話し合いを重ねて私たちが出した開催の形」とあるが、これは即ち「よほど予期せぬ事態が起こらない限りは開催される」との判断に他ならない。思えば夏フェスの大規模中止や年末フェスの中止が昨年は広く通達されたけれど、それらに関して最も大きな理由として主催者側が挙げていたのは『大阪府からの要請により』『緊急事態宣言発出のため』といった外部的要因によるものが多かったように記憶している。ただ今回はワクチン接種の加速化と昨年以後培ったフェスシステム、何より「今年のRIJはこうして開催しますよ」と厳しい枠組みを(県や市にも)はっきり明言し周知しているため、流石に直前になっての中止・延期は考えにくい。日本全国のライブキッズの中には「チケットを購入していたのに中止になった」経験をした人は少なくないだろうが、この懸念事項がほぼ消失しただけでもかなり大きい希望だ。

 

ここまで感情の赴くままに書き記してきたが、やはりどれだけポジティブな内容を列挙してもまだ難しい部分はある。以前の記事にも記したように、再びフェスがクラスター助長やら何やらとメディアの槍玉に挙げられる可能性もあるだろうし、ネガティブな意見も散見されるだろうし、参加を断念する人もいるだろう。そうしたことを踏まえて、公式サイトではひとつ断言している。「たくさんのルールがあります。たくさんの規制があります。もしもこれが面倒だと思うのなら参加を断念してください」と。……誰もが傍観者になると共に、誰もが加害者になりうるコロナ時代。こうした情勢の中でフェスを運営する側も、参加する人も言わば一蓮托生で、協力がなければフェスは永久に頓挫する。様々な制限はあるのは間違いないが、どうか希望に満ちたフェスが安全に開催されますように。