キタガワのブログ

島根県在住。音楽ライター。酒浸り。

3月某日

大いなる挫折を経験した2月末の一件から、早いもので10日が経過した。あれから友人らに自傷的に事の顛末を吹聴して回りつつ「2~3日休めば元の自分に戻るだろう」と高を括っていた僕だったが、傷は遥かに奥まで達していたらしく、増大する憂鬱は一切改善の余地が見られなかった。それどころか自暴自棄な生活は日増しに加減を誤り続け、ようやっと周囲に目を向ける事が叶った頃には時既に遅し。多大な時間を虚無的に過ごした事実だけが横たわっていた。

何故10日も自堕落な生活を、と問われれば理由はひとつ。僕はおそらく賭けていたのだ。独善的なひとつの行動によりポシャってしまったこの仕事に。

先月には馬車馬の如く働いていたアルバイトも、引っ越しシーズンの繁忙を見越して短期バイトを大勢雇用したことに伴った弊害で、僕のシフトは空白が目立つようになった。更には「忙しくなるだろう」と見越して事前に申請した休日の存在も相まって、僕にとって『勝負の10日間』となる筈だったこの10日間は『ただの休日』と化した。

誰にも読まれない6000字の原稿と真っ白な休日を妙に俯瞰した目で眺めながら、僕は次第に病んでいった。そして死んだ魚の目の矛先はいつしかアルコールへと向き、気付けば前にも増して酒浸りの日々を送るようになった。すっかり全てを失った気になっていた僕は、最終的には午前6時に就寝し、午後3時に目覚めるという狂った生活ペースに落ち着いた。数日に1回入る夕方からのアルバイトではアルコールが抜けきっていないことも多く、お客様や上司から苦言を呈されることもあったが、もはやそうした事すらどうでも良いと思ってしまう自分がいた。

家に帰ると、今まで執筆活動にかまけて数ヶ月手を付けていなかったゲームやアニメに没頭した。ゲームは『龍が如く7』。アニメは『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』と『女子高生の無駄づかい』……。泥酔状態でもなるたけ楽しめる手段を模索した結果だった。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という諺があるように、この挫折も年月が経てば笑い話に昇華出来るであろうとの思いは抱いてはいる。何故ならいじめや社会性不安、日々襲い来る希死念虜を越えた果てに今の自分が存在しているという純然たる事実があるためだ。しかしながら同じようにその当時は堂々巡りで感覚が崩壊していたこともまた事実であり、時には曲解し、時には幾度も考えを巡らせながら、無形の絶望と戦ってきた。……おそらくそうした死線を潜り抜けてきた人々が最終的に『大人』と呼ばれる立場の人間なのだろうし、総じてこの境遇も「通るべくして通る道なのだ」との真理たる回答パネルは、頭の片隅では常に掲げられている。

あれから10日が経った今、僕は久方ぶりに文章を書き、音楽を聴くことを再開した。いくら悩めども、最後に行き着く場所はここなのだと否が応にも痛感する次第である。

……ストロングゼロですっかり麻痺した頭で、『龍が如く7』をプレイする。「人生にゲームオーバーなんてねえんだよ!」と意気込んでバトルに挑んだ主人公が、ボスの秘奥義であっさり死んだ。やはり現実は厳しそうだ。