キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

映画『記憶にございません!』レビュー(ネタバレなし)

こんばんは、キタガワです。


僕は政治に関心がある。基本的にテレビを点ければニュースしか観ないし、新聞などのメディアや、果ては様々な党首のSNSまであらゆる目を光らせている自負がある。


「なぜこれほどまでに政治を知ろうとしているのか」と問われれば、理由はひとつしかない。今の日本が気に食わないからである。自民党一強時代とも称され、社会保障制度は充実しているどころか穴だらけ。国会答弁は希望的観測ばかりのたまってはっきりしたことは言わないし、アメリカには下手にでるばかり。最近では消費税引き上げやら軽減税率やら、不満を述べれば枚挙に暇がない。


そんな日本のトップと言えば、総理大臣。日本におけるほぼ全ての事柄の決定権は総理大臣にあり、総理大臣が許可を出せば大規模な国家プロジェクトとして動き、総理大臣が「黒」と言えば白いものでも黒になる。

 

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今回鑑賞した『記憶にございません!』は、そんな総理大臣の記憶が消失してしまうことから端を発するコメディー映画だ。


傍若無人な言動で有名な主人公・黒田は、支持率僅か2%という歴代最悪の総理大臣。そんな彼の演説中、過激派が頭に石をぶつけたことにより記憶喪失となる。かくして一切の記憶を失ってしまった黒田。彼は総理大臣としての業務を全うできるのか。そして新たな時代を切り開く革新者となるか。……といったあらすじである。


この映画の肝となるのは、やはり『現職の総理大臣が記憶喪失になる』という一幕にある。元々傲慢であった人間が急に人が変わったように朗らかになる様は、大きな笑いを生むのと同時に『三谷幸喜作品』としてのエッセンスをふんだんに詰め込んだ感もあって面白い。


しっかりとシリアスな点も描いていながら、それでいてうっすら笑いのテイストも含ませる作りは、昨今の映画でよくあるような笑いだけに特化したような作品とは一線を画す。所謂『良いとこ取り』の映画として確立されている印象すら受けた。


しかしながらそうした『笑い+シンプルなシナリオ』の組み合わせは和洋問わず、大量に存在するのも事実だ。その映画の教科書的なストーリー構成は逆に言えば『ありきたり』とも取れるので、様々な映画に触れてきた個人的な感想としては、もう少し捻りが欲しかった印象が否めない。


とは言えあまり映画慣れしていない人にとっては純度100%で楽しめる映画であることは確かなので、少しでも気になった人は劇場で鑑賞してみても良いのではなかろうか。


点数を付けるに当たっては星3か4かで一瞬迷いはしたが、純粋に面白く大きな欠点もなし。加えて「もう一回観れるっちゃあ観れるか」と感じたため、末広がりの星4とする。「前も同じように称賛しておいて星3にしたレビューがある」ですって?……記憶にございません。


ストーリー★★★★☆
コメディー★★★★☆
配役★★★☆☆
感動★★★☆☆
エンターテインメント★★★★☆
記憶喪失度★★★★★

総合評価★★★★☆
(2019年公開。映画.com平均評価・3.7)

 


映画『記憶にございません!』予告