キタガワのブログ

島根県在住。音楽ライター。執筆依頼は適当な記事へのコメントでお寄せください。

【ライブレポート】SUMMER SONIC 2019@大阪(2日目)

こんばんは、キタガワです。

 

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8月16日から18日にかけて舞洲SONIC PARKにて開催されたSUMMER SONIC大阪の各日レポート。約2万字に及ぶ熱量で書き殴った1日目に引き続き、今回は2日目のライブレポートを書き記していく。当日のタイムテーブルは上を参照。


→サマソニ大阪2019の1日目レポはこちら


さて、今年のサマソニは各日ごとに明確なジャンル分けが図られるという、非常にチャレンジングな試みが成されていた。


例えば先日公開した1日目はゴリゴリのロックバンドが多数出演する暴れたがりのライブキッズにとってはこれ以上ない環境だったし、3日目はUKロックとUSロックが渾然一体となったロックンロール・デー。


そんな中今回レポートする2日目は全くの別次元とも言うべき様相だった。そう。世界各国のポップ・アーティストが集い、ほぼ全てのステージでダンスミュージックが響き渡るという、言い方を変えれば『サマソニらしくない一日』であったのだ。


メインステージであるオーシャンステージでは基本的にZeddやThe ChainsmokersらDJ陣がフロアを揺らしまくり、GENERATIONSやSEVENTEENといった男性アイドルグループが脇を固める。


更にはヒップホップやソロポップアーティストも多数出演という徹底ぶりで、前日とうって変わって希少な存在となったロックバンドでさえシンセサイザーや打ち込みを多用してキラキラしたサウンドを鳴らすバンドばかり。この日だけはa-nationやULTRA JAPANを彷彿とさせる、極上のポップス空間として彩られた。


実際そうしたラインナップが影響したのか集まった観客の年齢層もグッと低くなり、Tシャツをズボンにインして簡易扇風機を持った10代~20代が続出。特にダンスミュージックが長時間鳴らされたオーシャンステージには、個性的な髪色で酒を片手に踊り狂うイケイケな人々やカップルが多数見受けられ、前日の半ば男男しい感じは皆無となった。


そんなパリピたちが跋扈する2日目(失礼)を、果たして陰キャ代表ことキタガワは攻略できるのか。ライブレポート、以下からスタートでございます。

 

 

Cash Cash  OCEAN STAGE  10:50~

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本日は会場に到着した瞬間、すぐさまオーシャンステージに移動することに。前日のこの時間帯はオーシャンステージが完全封鎖されていたため、朝イチでこの場に訪れることが出来たのはある意味得した気分になる。


更にそんな記念すべき1発目がDJ集団であるキャッシュ・キャッシュとなれば、否が応にも期待値は高まるというもの。この日の命運を分ける大事な30分は、彼らに託された。


『Take Me Home』のイントロと共にステージに降り立った3人。「こんにちは、キャッシュ・キャッシュだ!サマーソニック、今日は盛り上がろう!」といきなりの極悪サウンドで鼓膜を震わせる。ここから夜まで続く長丁場のサマソニである。そのため午前中からのダブステップは少々ハードにも思えるが、集まった観客は心頭滅却すれば火もまた涼しとばかりに跳び跳ねる。

 


Cash Cash - Take Me Home feat. Bebe Rexha [Official Lyric Video]


思えば今でこそDJパフォーマンスで有名な彼らだが、彼らは元々ロックバンドだった。2枚目のアルバムまでは打ち込みは入っているものの生楽器の演奏も存在し、中にはギターを主軸としたバンド然とした形で進行する楽曲もあるなど、今とは全く異なるスタイルだったのだ。


しかしそんな彼らの活動は大きな知名度には繋がらず、長らくの低迷期に入る。そして3rdアルバムからは遂に『ロックバンド→DJ集団』という大幅な路線変更を図り、ギターとベース、ドラムはステージ上から姿を消し、ひたすらDJブースの前で観客を煽り倒すスタイルに変貌した。


そんな1st、2ndの存在自体を抹消するかのような路線変更は、音楽シーンに大きな衝撃を与えた。なぜならそれほどに大幅な路線変更は長い音楽シーンを通して、今まで誰も行っていなかったからである。もちろん多くの批判にも晒されたが、彼らはその後は一貫してDJスタイルを突き進んだ。そして気付けば、絶大な人気を手にしていたキャッシュ・キャッシュ。


そんな彼らの人気を不動ものとしたのが、次に鳴らされた『Surrender』だ。

 


Cash Cash - Surrender (Official Video)


口ずさみやすい歌詞とコミカルなイラストが渾然一体となってモニターに表示された『Surrender』は、一見サイケデリックで、様々な国籍の人々がビカビカ光りつつコンマレベルで入れ替わる様は特にカオス。だがこの映像によって盛り上がりは更なる高まりを見せ、おそらくこの時間帯としては一番の盛り上がりを記録していたように思う。


しかし終始「オイ!オイ!」のコールに包まれた30分のライブは気付けば終わっていて、周囲には「もっとやってー! 」と叫んでいる観客もかなりの数いた。演出と音圧には一切文句なしだったのだが、他国のフェスではドロップされていたブチ上げ曲『Overtime』やAviciiの『Level』といった楽曲はなし。やはり持ち時間30分は少なかったか……。


徹頭徹尾1stと2ndからのトラックは一切流さず、3rd以降のDJスタイルでセットリストを固めたニュー・モードのライブだった。しかしながらあと30分は観たいので、次は来年のULTRA JAPANあたりで再来日を希望。


【Cash Cash@サマソニ大阪 セットリスト】
(セットリスト未確定により記載なし)

 

中田ヤスタカ/きゃりーぱみゅぱみゅ  MOUNTAIN STAGE  12:10~

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お次はマウンテンステージに移動。気付けば前日は一切このステージには立ち入っていなかったので、個人的には実質初めてのマウンテンステージとなる。


だが、会場周辺の様子がどうもおかしい。大勢の人々が数メートルに渡って列を成しており、そこから一切動いていないのだ。


その光景は台風の影響で入場不可となって大混乱を引き起こした前日と似ており、一瞬「またトラブルか!?」と焦った僕であったが、実際は全く違ったのだった。


そう。トラブルなどではない。この列はれっきとした『中田ヤスタカ/きゃりーぱみゅぱみゅを観たい人』だけが集まった結果、大行列が出来ていたのだ。


僕はキャッシュ・キャッシュ終了後に急いで駆け込んだため何とか入場出来たのだが、そのすぐ後に「もう無理。入場規制!」とスタッフが発しているのを聞いてしまい、ホッと胸を撫で下ろした自分がいた。ちなみに後日きゃりーの公式ツイッターにて投下された画像を観て更に驚いた。昨年もマウンテンステージには何度か訪れた経験はあるが、こんな光景は観たことがない。

 

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ステージ上にはDJ卓とお立ち台が備えられており、結論としてはキャッシュ・キャッシュやアランウォーカー、ゼッドと同様に音源を流しつつEDM感満載のライブパフォーマンスだったわけだが、個人的には間違いなくこの日観たアーティストの中ではベストアクト。それどころかライブ終了後には「もうこのままサマソニ終わってもいいな……」と心底思ってしまうほどに圧倒的だった。


髪を金に染めた中田ヤスタカと全身真っ白でコーディネートされたきゃりーぱみゅぱみゅがステージに現れた瞬間、怒号のような歓声に沸くマウンテンステージ。まずはいきなりの有名曲『ファッションモンスター』からライブスタート。

 


きゃりーぱみゅぱみゅ - ファッションモンスター,Kyary Pamyu Pamyu Fashion Monster


音源ではキラキラしたイメージを中心に進行する『ファッションモンスター』だが、今この場においては要所要所で中田ヤスタカが極悪なダブステップを入れ込み、全く違う『ファッションモンスター』として成立。


しかもその全てが原曲を破壊しているわけではなくあくまで元の楽曲の良さを残しつつ改変していたのも好印象。口ずさむ際に違和感を感じることもなく、更には原曲を擦りきれるほど聴いた人でさえも新たな魅力を脳裏にぶち込まれるという、まさに『中田ヤスタカ/きゃりーぱみゅぱみゅ』でしかなし得ない興奮を生み出していた。


今回のライブでは、基本的にきゃりーぱみゅぱみゅが数曲歌い、その後きゃりーが裏で水分補給をしている間に中田ヤスタカがDJスタイルでダブステップを鳴らす(主に自身のアルバム『Digital Native』から)という独自の形で進行。インターバルはなし。加えてかつて流行歌として一世を風靡した楽曲が流れてくるのだから、盛り上がるのも必然と言える。

 


中田ヤスタカ - White Cube (Official Video)


背後のVJにも触れておきたい。『インベーダーインベーダー』では「おっしゃLet's世界征服」の文字が映り、『にんじゃりばんばん』では振り付けを完コピするキャラクター、『みんなのうた』では手拍子で体感的に楽しませるといった1曲ごとに必ず何かしらの映像が投影され、目でも楽しめる作り。


更には『CANDY CANDY』では矢印が出現し「右!右!右!」「左!左!左!」と会場全体を動かしたり、『PONPONPON』は手拍子のパンパンという音に合わせて食パンが宙を舞う。『み』に至ってはBPMがどんどん速くなり、最終的には倍速になるというドS仕様に。


その盛り上がりは凄まじく、加えて灼熱の気温である。観客も中田もきゃりーも相当過酷な状況下だったと思う。基本的にお立ち台に立って動き回っていたきゃりーの体力低下は特に厳しいものがあり、後半にかけては声も掠れ気味で、正に肩で息をしているかのようなグロッキー状態に。そんな中最後までやり通したきゃりーには、素直に「格好いい」と思ってしまった。


思えばこの日様々なアーティストがマウンテンステージでライブを行ったが、大規模な入場規制が起こったのは中田ヤスタカ/きゃりーぱみゅぱみゅオンリーだったのではなかろうか。こんな最高のライブ、一生忘れられない。

 

【中田ヤスタカ/きゃりーぱみゅぱみゅ@サマソニ大阪 セットリスト】
ファッションモンスター
White Cube
つけまつける
爽健美茶のうた
原宿いやほい
CANDY CANDY
インベーダーインベーダー
最 & 高
みんなのうた
PON PON PON
演歌ナトリウム
にんじゃりばんばん

Level Up
きみがいいねくれたら
キズナミ
もんだいガール
音ノ国

 

番外編・もぐもぐタイム  13:30~

キャッシュ・キャッシュ、そして中田ヤスタカ/きゃりーぱみゅぱみゅというEDMの連発に少し疲れてしまったので、前日と同様にオアシスエリアで休憩を挟むことに。

 

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今回の食事は「なるべく腹持ちの良いガッツリしたもの」、かつ「並ばずに食べられるもの」をチョイスした結果こちらの牛串(700円)と焼きそば(500円)を購入。ちなみに焼きそばは出てきた瞬間に「うわー!飯だー!」と興奮し1分で食べきってしまったので、思い出した頃には写真を撮っていなかった。無念。


……さて、話は変わるが、前日のサマソニで僕はひとつ思ったことがある。それは『酒が高い』ということ。


これについてはサマソニに限らずフェスあるあるだと思うのだが、フェスはとにかく酒が高い。例を挙げるとするならば、コンビニで200円少々で販売されているスミノフはここでは600円。ビールも同様に本来の3倍近い価格で販売されている。


正直これに関しては「別に飲まなければいいじゃん」という流れではあるのだが、この日に限ってはそういう事も言っていられない。なぜならこの日の後半はアランウォーカーとゼッドが続くいわば『パリピエリア』。昨年マシュメロのライブを観たときにも思ったことだが、僕はEDMのライブとはどうも相性が悪い。普段はロックバンドを中心に聴いているため、どうしてもほぼ直立不動でアクション自体が少ないEDMのライブは、途中でダレてしまう傾向が強いのである。


しかしアランウォーカーとゼッドは曲自体は好きなので絶対に観たい……。そんな中編み出した『とある対策』がこちら。

 

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そう。酒の持ち込みである。

 

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実はサマソニに来る前、近所にあるドンキで酒をしこたま買い込んでおいたのだ。 中でも極め付きはこのウイスキー。約40%という極めて高いアルコール度数を持ち(一般的なビールは5%)、更には尻ポケットに入るほどコンパクト。かつキャップも付いている。僕はこの瞬時に異次元にトリップできる魔法の飲料を、チビチビ飲みながらこの日を過ごす予定だ。嗚呼、何と素晴らしいフェス体験。


ちなみに爆音で音楽を聴きながらそのまま飲むのも乙なものだが、裏技としてコンビニでウィルキンソンを買い、その中にウイスキーを入れれば即席のハイボールにもなる優れもの。今後フェスに行く予定のある人は是非ともチャレンジしていただきたい。子どもはマネしちゃダメ。

 

JAIN  SONIC STAGE  14:10~

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腹も膨れたところで、快適かつ音響の良い(と勝手に思っている)ソニックステージに移動し、今大注目の新星・ジェインを観ることに。


ジェインは弱冠27歳のフランスのシンガーソングライター。4年前に公開した『Come』が瞬く間にバズり、現在は1億を超える再生数を記録していることでも注目を集めている。


世界の各地を転々とし、アートの活動を行ってきたジェイン。中でもドバイやコンゴ共和国で受けた音楽知識は現在の曲調に大きく繋がっており、彼女の楽曲を一部分だけ聴いただけでもどこかラテンらしき雰囲気が垣間見える。『流行の音楽』とはまた一味違う魅力……。それこそがジェインサウンドなのだ。


ソニックステージに入ると、予想だにしない光景が広がっていた。そこにあったのは何とちょこんとしたテーブルにPCが置いてあるのみで、バンドセットもギターもマイクスタンドも存在していなかったのだ。そう。ジェインは徹頭徹尾自分一人の力だけで、40分間のライブをやり遠そうというのである。


暗転後、全身真っ青のおなじみの姿で登場したジェイン。体のラインがくっきり出る服装がジェインのスレンダーな身体を際立たせ、まるで雑誌モデルのようにも見える。


ライブはその都度ジェインがPCのトラックボタンを押し、オケを流しながら歌うスタイルで進行。一見地味にも思えるパフォーマンスだが、ジェインの大振りな一挙手一投足と心臓に響く低音、きらびやかなVJが作用し唯一無二の世界観を形成していた。

 


Jain - Come (Official Video)


40分間のライブで最も盛り上がったのはやはりと言うべきか、『Come』であった。曲の途中で客席に突入したジェインは、最前列の観客に無作為にマイクを渡し「Come, come, my baby come」のフレーズを歌わせる。冷静に考えていきなりマイクを渡されて「歌って」と指名されるのはなかなか酷であり、当然の如く観客のほとんどが音は外すわブツブツ途切れるわ、歌声の大きさもバラバラと、もうぐちゃぐちゃ。


そうして10人ほどに歌わせたジェイン。するとステージに上がった瞬間、PCのスイッチを押す。そこで流れ始めたのは何と先程歌わせた観客の歌声。実はジェインがこっそりと録音していたらしい。


その後はルーパーで観客のヘタウマな歌声をループさせながら『Come』に逆戻り。ジェインの綺麗な歌声とバラバラな観客の歌声が渾然一体となり、必然的にスピーカーから流れる音は完全なるカオス状態と化す。そこで再び訪れたサビはもちろん皆大合唱で、ライブ中一番の多幸感に包まれた瞬間だったように思う。

 


Jain - Makeba (Official Video)


ラストは『Makeba』。歌唱前に「コンテスト!」と叫んだジェインが客席を右と左に分けてどちらが一番大きな声を出せるかを競わせ、後半は「sit down please……」と観客を全員座らせてからのジャンプで大団円。


本当にたったひとりで会場を掌握したジェイン。その後のサイン会ではライブの衝撃を受けてサイン会会場に押し寄せる人もかなりの数おり、ジェインのステージングの凄さを物語っていた。


【JAIN@サマソニ大阪 セットリスト】
Heads Up
Alright
Zombie
Inspecta
Dream
Star
Come
Makeba

 

VICKEBLANKA  MASSIVE STAGE  15:05~

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続いては今ドラマ主題歌やCMソングで大注目の日本アーティスト、ビッケブランカを観る。


個人的にはファーストアルバム『Slave Of Love』から長らく追い続けているアーティストであり、最近でも『ウララ』や最新曲である『Ca Va?』といった楽曲を好んで聴いていた。だが同時にフェスや単独公演の機会を何度も逸し続けていた存在でもあり、ようやくこの目で観ることができたので感慨深い。


映画ライオンキング『サークル・オブ・ライフ』のSEでステージに舞い降りたビッケブランカ。瞬間「Oh……my……」との呟きがスピーカーから流れ始め、1曲目『ウララ』がスタート。

 


ビッケブランカ『ウララ』(official music video)


『ウララ』は正に1曲目にぴったりの、キラキラのサウンドが織り成すアッパーな楽曲。ビッケブランカは時折高いファルセットで楽曲を彩り、もはやおなじみとなったピアノは激しく主張している。前方では踊り狂う観客が多数見受けられ、後方ではビール片手にゆらゆら踊る観客。灼熱の気温ではあるが、涼しい風が吹いているようにも錯覚するような爽やかなパフォーマンスだ。


SEVENTEEN(ツイッターの合計フォロワー数500万超えのK-POPグループ)が真裏でライブを行っていたためか、決して多い動員ではなかった。だがこの時間マッシブステージに集まった観客は、一人のこらず賛辞の言葉を口にするだろう。それほどに完成され、ひたすら心に訴えかけるライブであった。


ライブならではのアレンジも数多く存在したのが、今回のビッケブランカのひとつのポイント。本来であれば中盤に「No thanks……」と語られる『Slave of Love』は観客を指差し「好きっ」と笑顔で伝え、その後は原曲にはなかったピアノの独奏で終えるアレンジを披露。続く『夏の夢』では「夏なんて知らない」と歌った瞬間「あれっ!?ベース変じゃない?」と大声で叫び、「壊れたのでベース抜きでやります。何かアコースティックな感じになるな。ベースが無いと……」とニューバージョンの『夏の夢』を演奏。笑いありアドリブあり。しかし曲は終始真面目に聴かせる、素晴らしいライブであった。


その後も「バラードを2曲続けてやります」と言ったかと思えば「何を血迷ったか、今から僕はバラードをやろうとしていた!危ない!」とロック調に変えてみたり、「皆さんこれだけは誰にも言わないでください。ゾフ(ビッケブランカがモデルを務めるブランド)のサングラスを忘れて今レイバンをかけているということは……」と語るなど、30分のライブ中MCをふんだんに取り入れ、余裕のライブを見せ付けていた。

 


ビッケブランカ / 『Ca Va?』(official music video)


2曲に渡ってゆったり聴かせてからの、ラストは最新曲『Ca Va?』でファンキーな幕引き。中でもサビ部分における「カモン、サヴァー?」の一体感は凄まじく、いつの間にかかなりの客入りになった会場内に高らかに響き渡っていた。


ダンサブルな楽曲、バラード、タイアップ曲と、総じてフェス向きのセットリストで進行した今回のライブ。この30分にビッケブランカの魅力が存分に凝縮された、パーフェクトな時間だったように思う。ニューアルバム『wizard』が良作立ったことや昨今の勢いを鑑みるに、これからは更にチケットが取れない存在になりそうな予感。なので今度はぜひ、単独公演で会いたいところだ。


【VICKEBLANKA@サマソニ大阪 セットリスト】
ウララ
ファビュラス
Slave Of Love
夏の夢
まっしろ
Ca Va?

 

Alan Walker  OCEAN STAGE  16:30~

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続いてはこの後アラン・ウォーカーとゼッド、更にはザ・チェインスモーカーズという世界的DJが連続する、ダンスミュージックエリアことオーシャンステージに向かう。


するとすぐさまステージ入場口からズラリと伸びる列を発見し、早くも「これはヤバいライブになる」という予感が。確かによくよく考えてみればアラン・ウォーカーの後に全く別ジャンルのアーティストが出演するならいざ知らず、アラン・ウォーカーの後に出演するのは同ジャンルのアーティストしかいないわけで、おそらくはゼッドのファンやザ・チェインスモーカーズのファンもごちゃ混ぜになっての大渋滞であった。


そんな予感が的中したのは、中に入ってすぐのこと。一言で表すならば『パリピ感』。どこぞの海やクラブに入り込んでしまったような、圧倒的な場違い感が僕を襲った。


例えば男性は上半身裸や無数のタトゥー、短パン、サングラス。女性はヘソ出しルックや谷間を強調する服、簡易扇風機持ち、イヤリングや派手な装飾と、普段絶対に関わらない類いの人種がゴロゴロいた。しかも年齢がかなり若い。


普段は全身真っ黒のユニクロコーデで固めながら島根県で細々と暮らしている僕である。そこには生まれ変わっても関わることのないであろうタイプがごまんとおり、頭がクラクラした。最終的には学生時代の虐められた経験がフラッシュバックする始末で、中でもPornhabやxvideosのTシャツを着ている人には心底「関わりたくない」と思ってしまった。


閑話休題。

 


Alan Walker - The Spectre


アラン・ウォーカーのライブは主にリミックススタイル。セットリストは発売済みのアルバムである『Faded』と『Different World』からの楽曲と自身がリミックスを務めた他アーティストの楽曲で固め、基本的には再生してから最も盛り上がる1番のサビ部分まで流し、その後別の曲にスイッチする形で進行。必然的に休憩時間はほぼなしで、ひたすらEDMが爆音で流れるクラブ状態であった。結果的にセットリストは以下の通りとなり、なんと約50分で26曲を流し切った。


大歓声の中迎え入れられたアラン・ウォーカー。まずは肩慣らしに『Faded』のイントロバージョンをドロップし、そこからはいきなりの『Different World』から一ヶ月前フジロックでトリを務めたシーアの『Move Your Body』でガンガン攻め立てる。周囲の観客はこの時点で汗だくで、1曲が終わるたびに「ヤバい!」と声を上げていたのが印象的だった。


モニターには終始モノクロかつざらついた処理が成されたアラン・ウォーカーがリアルタイムで映し出されており、激しい楽曲でありながらある種の悲壮感を感じさせる。そのVJは後に極彩色でテンションを底上げしたゼッドとは完全に真逆に位置するものであり、明るい曲調でありながら鬱々しい歌詞が踊る『Alone』や『The Spectre』といった楽曲を多く世に送り出してきたアラン・ウォーカーらしい演出。


矢継ぎ早に繰り出される大音量かつダンサブルな楽曲の数々でもって、まだまだ明るい時間帯ではあるものの、気分は深夜0時のクラブそのもの。僕は偶然アルコールを販売する出店の前にいたのだが、次から次へとビールやジントニック、ショットのウイスキーが売れていくので面白いことこの上ない。更には常にEDMが「早くしろ」と急き立てるように流れているため、店員はいろいろな意味で死にそうになっていた。お疲れ様です。


後半では火柱やスモーク、クラッカーの発射である種のお祭り状態になっていたアラン・ウォーカーのライブ。ラストは某動画サイトで驚異の24億回再生(!)を記録した『Faded』の大合唱でシメ。

 


Alan Walker - Faded


最後には『Faded』の極悪リミックスで追い打ちし、「ありがとうサマーソニック!」と語って終了。恐ろしいスピードで駆け抜けた50分のステージングであった。


ライブ終了後はもちろんゼッドを観るためにそこに残る人が大多数だったのだが、疲れた表情でステージを去る人もかなりの数おり、このアラン・ウォーカーの50分がいかに濃密なものだったのかを鮮明に表していた。


ちなみに僕も同様に完全に疲れ果ててしまい、良席を放棄してステージ後方に移動したクチ。これは僕の単なる推測に過ぎないが、おそらくアラン・ウォーカー→ゼッド→ザ・チェインスモーカーズの流れでこの日を最前列で楽しんでいた観客は、多分何人か熱中症で倒れていたと思う。それほどまでの盛り上がりだった。あっぱれ。


【Alan Walker@サマソニ大阪 セットリスト】
Faded~Intro Edit~
Different World
Move Your Body(SIA)
Diamond Heart
Lonely
Home(FROZT)
Tired
Recognise(Lost Frequencies)
You Don't Know(Vol2Cat)
Darkside
ResuRection(Planet Perfecto Knights)
Champion Sound(Nicky Romero & Teamworx)
On My Way
All Falls Down
Matrix(W&W × Maurice West)
Ignite
Ups & Downs(W&W × Nicky Romero)
Tsunami(DVBBS & Borgeous)
Kernkraft 400(Zombie Nation)
BAWAH TANAH(Quintino)
Alone
Get Down(Retrovision)
Your Melody(Mesto & Jonas Aden)
The Spectre
Lost Control
Faded

※括弧内は原曲アーティスト

 

Zedd  OCEAN STAGE  17:55~

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今年20周年を迎えたサマソニだが、当初レッチリやB'zを抑えて唯一の『シークレットアクト』として発表されていたのが、何を隠そうゼッド王子である。


世界DJランキングでは名だたるDJが存在する中長年上位をキープし続け、リリースした楽曲も軒並みチャート上位。最近購入した自宅は『17億円超えの豪邸』とも称され、まさに時代を席巻するEDMプリンスとなった。そんな彼を一目観ようと、会場はアラン・ウォーカーの時間帯以上に超満員。更には全員が出来る限り近い距離で観ようと前方へ移動し、もはや人ひとりが抜ける隙間もないほどビッシリの客入りだ。


ふとステージに目を凝らすと、おなじみのDJブースに加え、ゼッド仕様の巨大な円形状の証明機材がセッティングされる。さながらその光景は一種の要塞のようでもあり、否が応にも期待が高まる。

 

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ゼッドがステージに降り立ち、腕を高く掲げたところで1曲目『Spectrum』がスタート。

 


Zedd - Spectrum (Official Music Video) ft. Matthew Koma


瞬間、目映い光が網膜を刺激する。その光はあまりに非現実的なものであり、異次元に迷い混んだような感覚に陥る。例えるならば『光が物理的に殴ってくる感覚』。ポカンと口を開けて方針状態に陥っている人が多数見受けられた。人間はあまりに非日常的な光景を観ると方針状態になるというのが身に染みて実感した次第だ。


それこそ1時間ほど前のアラン・ウォーカーのライブではサビに突入した瞬間すぐさま次曲へ移行していたのだが、ゼッドは1曲あたりの持ち時間が意外と長めで、特に自身が作曲した楽曲に関してはじっくりと聴かせていた。


しかしそんな楽曲の数々は、あまりにも爆音かつインパクト大の迫力でもって押し寄せてくる。これに関しては口で説明するのは不可能のため、ゼッドの公式ツイッターから画像を拝借したので確認してほしい(以下参照)。要するにこうした場面が毎分訪れるイメージでほぼ間違いない。これほどの光景を観れば、盛り上がらないということの方が難しいレベルである。


選曲については言わずもがなで、車のCMでお茶の間に鳴り響いた『Beautiful Now』、日本ならではのショーン・メンデスの『Lost In Japan』、そしてドラムプレイヤーだったゼッドをDJに走らせるきっかけとなった、ダフト・パンクの『One More Time』など、やりたい放題。

 


Zedd - Clarity (Official Music Video) ft. Foxes


後半はここ数年でリリースしたゼッド楽曲オンリーで進行する力技。中でもやはり最終曲の『Clarity』は圧巻。サビ部分ではボーカルをオフにして観客に託す場面があったどころか、ほぼ全編通して大合唱。VJの激しさも次第に増していき、空が暗くなり始めた後半にかけては目が眩むほどの光が会場を包んでいた。ラストは「エーエーオー!」の部分も観客に託し、凄まじい一体感で終了した。


僕はステージ後半で寛ぎながら観ていたのだが、それでも興奮を体感するには十二分な環境だったと思う。しかし同時に思ったのは、「最前列で観ていたらどうなっていたんだろう」ということ。この日後悔することがあったとすればその点だけである。分かってはいたことだが、やはりゼッドは偉大なアーティストだった。


【Zedd@サマソニ大阪 セットリスト】
Spectrum
Find You
Bad Company(Dirtcaps, DJ AfroJack)
Thunderstruck(AC/DC)
Starving
The Time(The Black Eyed Peas)
I Want You To Know
Addicted To A Memory
Rude(MAGIC!)
Beautiful Now
Stay
Lost In Japan(Shawn Mendes)
One More Time(Daft Punk)
Happy Now
Break Free
The Middle
Stay The Night
Clarity

※括弧内は原曲アーティスト

 

The Vamps  MASSIVE STAGE  19:00~

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午前中から踊り狂ったサマソニ2日目も、もうじき終わりを迎える。最後に選択したアーティストはフォロワー数400万超えのボーイズバンド、ザ・ヴァンプスだ。


「バンド版ワン・ダイレクション」との呼び声も高い彼ら。海外では各会場数千人を動員するツアーが全公演即日完売するなど、18歳そこそこでデビューしてからというもの、全く変わらない人気を今でも誇っている有名バンドである。ちなみに彼らは1994年~1996年生まれなので、一番の年長者であるトリスタン・エヴァンス(Dr.Vo)でさえまだ24歳というピチピチっぷり。


そのためラインナップが発表された際にはてっきり『ザ・ヴァンプスは多分メインステージに出るだろうな』と思っていたのだが、結果としては一番小さいマッシブステージというから驚きだ。普段は最低でも1000人規模のアリーナでライブをしているザ・ヴァンプスである。もちろん全員が入り切る訳がなく、柵の外でも多くのファンが塊になっていた。


その美貌にも注目が集まるザ・ヴァンプスらしく客層としては女性が約8割で、しかも全体的にかなり若い。ちなみに最前列を陣取っている観客は全員が20代前半の女性だった。そんなこんなで、ライブ開始前から多数のカメラと黄色い声が飛び交うカオスな環境でもって、この日最後のライブは始まったのだった。


焦らしに焦らすカウントダウンの末、メンバーが登場。観客は大歓声……というよりはもはや絶叫に近い(「キャー」ではなく「ギャァー!」寄り)形でお出迎え。1曲目『Just My Type』のイントロが流れた瞬間には、日常で経験しうる何物にも当てはまらないような、名状し難い盛り上がりに包まれる。

 


The Vamps - Just My Type


ザ・ヴァンプスの今回のライブでは、ほぼ全編通して観客が歌っていたのも印象的だった。これは決して誇張表現ではない。サビだけではなく本当に最初から最後まで、1時間の間ずっと観客が大合唱しているのである。


特に『Just My Type』での大合唱は凄まじく、ボーカルであるジェームズ・マグウェイはしっかり歌ってはいるのだが、彼の歌を相殺する勢いで観客が熱唱しているため、ジェームズは時折歌うのを放棄して客席にマイクを向けていたのが印象的だった。おそらくこうした光景は日常茶飯事なのだろう。ジェームズは嬉しそうな表情を浮かべながら、歌のほとんどを観客に託していた。


『Just My Type』終了後、ジェームズが「ダイスキ!」と発した瞬間には再び怒号のような歓声に包まれる。ちなみに隣にいた女性は「oh……ジェームズ……」と言いながらボロ泣きしていた。こんな素晴らしい光景は、世界中どこを探してもないだろう。


今回のライブはザ・ヴァンプスの今までのキャリアを総括する、まさにベスト盤的セットリストで進行。マイナーな曲は皆無。それどころか某動画サイトでミュージックビデオが公開されている楽曲に関してはほぼ全て演奏したのではなかろうか。そんな大盤振る舞いの楽曲の数々に対し、朝から動き回って疲れている筈の観客は絶叫と興奮で応戦。もはやワンマンライブ状態である。


ちなみに「どれだけ凝った映像が出てくるんだ……」とライブ前に期待していた背後のVJは、あまりにも簡素だった。もちろん『For You』や『Middle Of The Night』、『Wake Up』の際には目映い演出があったりもしたが、基本的には『The Vamps』と書かれた映像を投影し続けていた。そんなあくまでも歌の力と観客との一体感のみで掌握していた今回のライブはむしろ好印象で、常に大合唱する観客を観ていると「VJって別に要らないなあ」とも思える程に良かった。


『Somebody To You』ではメンバー全員がステージドリンクを客席にぶん投げ、『Last Night』終了時には「今日は初めての人も多いと思うけど、来てくれて本当にありがとう。ダイスキ」と語り、最新曲『Missing You』ではジェームズが客席突入と、アイドル的人気を誇るザ・ヴァンプスならではの盛り上げ方もしっかり押さえた磐石のライブ。

 


The Vamps & Matoma - All Night (Official Video)


ラストはこれを聴かなければ帰れない『All Night』。「最後の曲だよ」と前置きされたことも作用してか、今までよりも遥かに観客の歌声が大きく響き渡る。後半では観客を座らせてのジャンプで盛り上がり、大団円で幕を閉じた。


代表曲の固め打ち。全員の大合唱。イケメン。ジェームズのフロントマン然とした動き……。ザ・ヴァンプスのこの日のライブは、どの一場面を切り取ってみても最高の画が撮れるほどに満点の出来だった。何年経っても時折思い出してしまうような、そんな空間だった。歌いすぎてすっかり枯れてしまった自分の声を自覚しつつ、「次は単独ライブで2時間くらいは観たい」と心から思った。ザ・ヴァンプス、ダイスキ。


【The Vamps@サマソニ大阪 セットリスト】
Just My Type
Personal
Wild Heart
For You
Middle Of The Night
Somebody To You
Last Night
Can We Dance
Wake Up
Missing You
Cheater
All Night

 

……さて、2日目のレポートは以上である。いかがだっただろうか。


個人的にベストだったのは中田ヤスタカ/きゃりーぱみゅぱみゅ、次点でThe Vampsといったところで、逆に言えば「僕はあまりEDMには耐性がないんだな」という事実を改めて感じた一日でもあった。ウイスキーイッキ飲みという悪魔の所業でハッピーになってはいたものの、特に後半のオーシャンステージにおけるEDMの連発は、世間的に陽キャ(パリピ)と呼ばれている人たちでさえ『本物の陽キャと似非陽キャ』にスッパリと二分する、ある種ULTRA JAPAN的な環境下だったように思う。


別にそれが悪いわけではないのだけれど、やはりサマソニはロックフェスなのかなと思った次第である。


次回はついにサマソニレポの最終日である、3日目をレポートする。ロックバンドのパートが何ヵ所も点在し、終始興奮しきりだった最終日。なるべく近いうちに書き進め、公開したいと思う。


それでは。