こんばんは、キタガワです。
今回鑑賞したのは、つい先日公開したタイムリーな映画『ダイナー』である。
なぜこれほど早いタイミングで鑑賞に至ったのかと言えば、何を隠そう自分自身が漫画版『ダイナー』の愛読者であるからだ。
何ヵ月か前だったか、映画化決定の一報を見た際は大層驚いたものである。何せ原作は一種のグロ漫画。斬首シーンや拷問は当たり前。挙げ句の果てには首をスイカ割りの如く縦にバッサリ斬ったり、四肢切断までやってのける。
しかしながら今は『売れた作品は実写化する』というのが通例の世の中である。そのため実写化するだろうなと予想できてはいたものの、同時にイメージした瞬間に「絶対R-18だろこれ」と思ったのも事実だ。
にも関わらず、この映画はR18ではなかった。……というより年齢制限すら付けられておらず、更には有名なイケメン俳優やアイドルを大勢起用するという、原作ファンとしては首を傾げてしまう情報ばかりが浮き彫りになり、個人的には「これってどうなの?」とビクビクしながら当日を迎えたわけだ。
で、結論から言うとかなり面白かった。普通に良作で、原作を読んでいない人でも100%楽しめる、極上のエンターテインメント作品に仕上がっていたのだ。
少しあらすじを語ろう。空虚な生活を送っていた主人公・オオバカナコは、ある目的のために即金で30万円が必要となってしまう。そこで選んだ(というより騙された)アルバイトこそ、藤原竜也演じるボンベロがオーナーを務める飲食店、ダイナーだ。
表向きは普通の飲食店ではあるが、その実態は殺し屋のみが集う裏飲食店だ。そのため来店するのはヤバい客ばかり。ケンカやセクハラ、殺人も日常茶飯事だ。無表情で俺様運営を強いるボンベロは、戦々恐々と給仕するオオバに語る。「仕事をするか死ぬか選べ」。かくしてオオバの地獄のような生活が始まる……。そんなストーリーだ。
大前提として、この映画はある意味では期待を大きく裏切られる内容となっている。理由はひとつ。ストーリーが原作と大幅に異なっているからだ。 オオバがダイナーに来た理由も、来店する殺し屋も、そこで起きる事柄もほとんどがオリジナル。ラストに至っては、そもそも原作が未だに続いているため完全なる創作である。
だが内容は文句なしに面白い。だから何も言えなくなってしまう魅力がある。他の実写映画を挙げれば『ミュージアム』や『予告犯』といった作品はそのまま原作に沿った作りで成功を納めたし、逆に『バクマン。』や『デスノート』は原作を大幅に改変して展開する作品も評価が高かった。とどのつまり、いくら原作をこねくり回そうが別に面白ければ無問題なのだ。
とにかくダイナーは面白かった。料理の再現度は恐ろしく高く、高揚する場面もしっかり押さえた作り。日本国内の様々な映画と比較しても、上位に位置する完成度の高さだ。少しばかり無理のある箇所も多々あるのだが、それらを全部蹴っ飛ばして「良かった」と言える魅力に溢れる作品だ。
……もしもボンベロに「ここで働きたいか?」と言われたら絶対にNOだが。
ストーリー★★★★☆
コメディー★★☆☆☆
配役★★★★☆
感動★★★☆☆
エンターテインメント★★★★☆
総合評価★★★★☆