こんばんは、キタガワです。
今回の記事は、昨日投稿した『メンバーの中に有名俳優がいるバンド10選』の続き。残りの5組のバンドについて書き進めていきたい。
それではどうぞ。
在日ファンク
前編で紹介したバンド、SAKEROCKの解散と共に本格始動。SAKEROCKではトロンボーン奏者であった浜野謙太だが、このバンドではボーカル及びフロントマンとしてリーダー的役割を担っている。
7人いるメンバーのうち3人が管楽器であるため、必然的にサウンドはゴリゴリのファンクに。トランペットとサックス、トロンボーンが織り成すメロディーは一見の価値あり。『段ボール肉まん』『爆弾こわい』といった楽曲群はクスリと笑えて、踊り狂える魅力に溢れている。なお『在日ファンク』という名前ながら、国籍は全員日本である。
ボーカルを務めるハマケンは俳優だが、最近の役どころを見ていると、どうもお笑い役が多い。おそらくこれは在日ファンクのキャラクターが影響しているのではと思う。……というのもハマケンは、ライブ中はマイクスタンドを自由自在に操るパフォーマンスを繰り出すのだが、ふくよかな体型も相まってなぜか面白いのである。
本人は至って真面目。それは重々承知なのだが、どうしても笑ってしまう。個人的には、ドラマや朝ドラでもそういった『ちょっと笑えるキャラ』のイメージが定着していることに、少しばかりの喜びと嬉しさを感じてしまう次第だ。
レキシ
CD売上やライブ動員的にも、今のロックバンド界隈でもかなり高い位置にいると推測するのが、レキシである。
キーボーディストとして活躍していた池田貴史が歴史をコンセプトにして立ち上げたソロユニットである。楽曲においては『刀狩りは突然に』『参勤交代』など、過去に起きた事件や人物にスポットを当てることが多い。中でもキャッチーなメロが炸裂する『きらきら武士』はあまりにも有名。
レキシはコミックバンドと紙一重な部分がある。アルバムは『レキツ』『Vキシ』『レキミ』といった間違えやすい書き方をモチーフにしているし、名だたる参加アーティストに関してもピエール中野を中大兄皇子、サンボマスターを田んぼマスターを表記するなど、やりたい放題。
CMやドラマでがっつり真面目キャラを演じている池田。しかし、彼の本領が発揮されるのはやはりライブだと思っている。彼の人気を不動のものとした理由は、ライブパフォーマンスだ。笑いに特化し、それでいて極上のポップスを鳴らす……。そのスタイルは一度見たらファンになる。移り変わりの激しい音楽業界において、今なおメインステージを張っていることからも、それは間違いない。ぜひ一度ライブに足を運んでみてほしい。
電気グルーヴ
映画やドラマ、バラエティー番組など、今や多方面で活躍する俳優・ピエール瀧を有する2人組ユニット。今回紹介する中では電気グルーヴだけはバンドではないのだが、「さすがにここまで有名な人を外すのはどうか」と思い、カテゴリーに加えた。
電気グルーヴといえば、低音が鼓膜を震わすエレクトロ音楽が魅力のひとつ。その楽曲を手掛けるのはピエールではなく、石野卓球というもうひとりの人物だ。彼はエレクトロ音楽の若きカリスマである岡崎体育が、名前の付ける際に参考にしたと言われている程、電子音楽においてのカリスマ的存在である。
片や有名人のピエールはというと、ライブ中はステージ上でニコニコ笑っていたり、体をフリフリするなどのパフォーマンスに興じるばかり。それこそたまに歌うくらいで、それ以外の時間はフラフラしていることが多い。その佇まいは映画『アウトレイジ』や『凶悪』では絶対に見せなかった、お茶目な一面である。
しかしピエール瀧の俳優人生よりも遥かに長い期間、電気グルーヴは活動している。その年数はなんと30年。現在でも俳優業の傍ら、各地のフェスでダンサブルなナンバーを鳴らし続けているベテランである。そのため『ピエール瀧が音楽やってる』ではなく、『音楽やってたピエールが俳優やってる!』というイメージの人も多いのでは。
僕は今でも、俳優のピエールと電気のピエールは別人格のように思えてならない。だって映画では『テメエぶち殺すぞオラァ!』と凄んでいるのに対し、電気では「ふっじっさん!ふっじっさん!高いぞ高いぞ富士山!」と笑顔で歌っているのだから。
Denki Groove - Fuji-san [Live at FUJI ROCK FESTIVAL 2006]
グループ魂
阿部サダヲや宮藤官九郎、皆川猿時といった有名俳優を有したパンクバンド。バンドではあるが、メンバー全員が俳優や作家、飲食店経営と二足のわらじを履いている。そのため年間通しての活動はかなり少な目。
なお活動的は25年を超えている。そしてメンバーの大半は星野源や荒川良々などを排出した、松尾スズキを核とする『大人計画』のメンバーである。この劇団はお笑い特化型の劇団としても知られているが、まさかそのメンバーがこれほどふざけたバンドを組むとは、松尾は思ってもみなかっただろう。
ほとんどの楽曲の作詞作曲は宮藤官九郎が務めるのだが、その楽曲がとんでもない。『押忍! てまん部』や『ペニスJAPAN』といったお下劣なものだらけで、ほぼ必ずテレビでは絶対に言えない下ネタやエンタメニュースのディスが含まれている。そしてアルバム収録曲のの4分の1はお笑いコントである。
僕はかつて彼らのライブを観たことがあるのだが、阿部サダヲはカメラマンのイチモツを握りながら「でけえなあ……」と笑っていたし、「このハゲー!」「違うだろー!」と某議員の炎上ニュースにも切り込んでいた。CDも面白いが、ライブの破壊力は異常ではない。
グループ魂 『もうすっかり NO FUTURE!』MV -YouTube Ver.-
銀杏BOYZ
峯田和伸を中心としたバンド。日本の青春パンクロックシーンを牽引してきた存在であり、彼らの音楽に影響を受けたバンドやライブキッズは数知れず。マイペースに活動を続けていたが、2013年に他のメンバーが脱退。現在は峯田のソロユニット状態である。
銀杏BOYZと言えば、峯田の命を削るかのようなステージングにスポットが当たることが多い。ステージ上を転がり回り、マイクを口に含み。時に流血し声をからしながら文字通り全身全霊でメッセージを届けるライブでもって、根強い人気を獲得していた。
最近の俳優業においても、銀杏BOYZらしさが見て取れる。汚れ役じみた配役はパンクサウンドを体現するかのようだし、人に優しく接する役は、それこそ昨今リリースされた楽曲のような慈しみも内包している。それこそ当初の銀杏ファンは「峯田が俳優?」と面食らったことだろうが、現在俳優として活躍している峯田は、とても峯田らしいなとも思うのだ。
全国ツアーの開催、そして日本武道館公演も大成功。俳優業の傍らに作り続けてきたシングルも溜まってきた。よってアルバム発売も間近なのでは。銀杏BOYZ全盛期より多忙を極める峯田だが、今後も銀杏BOYZと俳優業を平行して行ってもらいたいところである。
……さて、いかがだっただろうか。有名俳優がいるバンドの世界。
常々語っているが、僕は音楽の入り口は何でもいいといった認識である。かねてより『エロいアーティスト写真』や『バカッター的PV』、『珍しい編成のバンド』など、様々な観点からバンド音楽をピックアップしてきたが、それこそ今回のように『俳優としての姿から音楽に興味を持つ』こともアリだと思うのだ。
星野源のファンにはSAKEROCKを。ピエール瀧のファンには電気グルーヴを……。俳優以外の側面を知ることで、またその人への思いを強めたり、新たな扉を開くことにも繋がる。
「バンドを好きになれ」とは言わない。その代わり、今まで「俳優でしょ?」という考えだけだったその裏側に、「そういえばバンドもやってるらしいね」といった部分を少しでも記憶してもらえれば嬉しい。
そして今回の記事でもって、知らなかった音楽に一度触れるきっかけとなったならばなお良しだ。