キタガワのブログ

島根県在住。音楽ライター。執筆依頼は適当な記事へのコメントでお寄せください。

日本の珍しい編成のバンド6選

こんばんは、キタガワです。


ロックバンドには、定番とも言うべき編成がある。それこそがギター、ベース、ドラムである。これは日本のみならず世界的にも、最もスタンダードな編成だろうと思う。


中には『ボーカルギター』や『ベースボーカル』など歌唱と演奏を兼任する場合もあるが、総じて『3つの楽器でもってバンド』という考えが大半を占めている。あなたも一度、何個かロックバンドをイメージしてほしい。おそらくほとんどがこの編成に当てはまっていることだろう。


しかし、世の中にはそんな常識をひっくり返す、変わった編成のバンドもいる。そこで今回は、そんな『一風変わった編成のバンド』に焦点を当て、紹介していきたい。

 

 

モーモールルギャバン

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ゲイリー・ビッチェ(Vo.Dr)
T-マルガリータ(Ba)
ユッカ(Key.Vo.銅鑼)

 

通称モールル。常にパンイチでドラムを叩きまくるゲイリーのアグレッシブなライブパフォーマンスと、既存のジャンルに捕らわれない幅広い音楽性が魅力。


初恋の相手が産んだ子どもに恋心を抱いてしまう『ユキちゃんの遺伝子』、「パンティー!」と叫びまくる『サイケな恋人』、黒のパンツだけは絶対に欲しがらない『パンティー泥棒の歌』など、特にネタ曲は毎回噴飯ものの彼らだが、驚くべきはその編成。


そう。バンド内にギターがいないのだ。本来サウンドの中核を成すべきギターの不在。だがモールルはキーボード+歪んだエフェクターでもって、ギターサウンドの代替を果たしている。


やたらと手数の多いドラムと主張しまくるキーボードが織り成すサウンドは唯一無二で、ロック界の異端児っぷりに拍車をかけている。


彼らは生粋のライブバンド。実際何度かライブを拝見したことがあるが、ゲイリーは3メートル近く上がったマイクスタンドで絶叫したり、ユッカに関しては銅鑼(ドラ)をバンバン打ちまくり、挙げ句の果てには客席に降り、ヘッドレスギターを掻き毟って異音を出していた。衝撃を受けること間違いなし。少しでも気になる方は一度ライブを観るべきバンドである。

 


モーモールルギャバン - ユキちゃんの遺伝子

 

 

水中、それは苦しい

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ジョニー大蔵大臣(Vo.Gt)
セクシーパスタ林三(Violin)
アナーキー吉田(Dr)

 

1992年に正式に活動開始したコミックバンド。笑いに特化した歌詞が特徴的で、現在もマイペースに全国各地を飛び回る。最近はジョニーのソロ活動が本格始動中。


『ベースレスバンド』と言うだけで珍しいが、バイオリン演者がいるのが大きなポイント。もちろん主旋律はバイオリンが担当し、楽曲全体を引っ張る重要な役割を担っている。


『仕上げはおじいさん』や『まじんのおのようこ』、『もげもげ先輩』といったタイトルからも顕著だが、彼らの音楽には笑いの要素が必ず潜んでいる。アルバムの収録曲も15~20と多く、一発ギャグや続編ものなど、多彩なラインナップで楽しませてくれる。


いろいろと掴み所のないバンドだが、実はふたりが早稲田大学卒、ひとりが東京外国語大学卒というインテリ集団でもある。一体何があってこのバンドを結成したのか、その経緯を詳しく聞いてみたいところ。

 


水中、それは苦しい「農業、校長、そして手品」

 

 

超能力戦士ドリアン

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おーちくん(Vo)
やっさん(Gt.Vo)
けつぷり(Gt.cho)

 

関西で今ブレイク必至の若手バンド。


下記の自己紹介アンセムにて「ドラムいない、ベースいない。ギターとボーカル3人だけ」と歌っている通り、このバンドには通常いて当たり前とされている、ベースとドラムが存在しない。


ちなみにこのふたつの重要楽器の不在は、PCの打ち込みでカバーしている。しかも曲によっては全員が演奏を放棄したりシンセサイザーを鳴らす場面もあり、バンドの固定概念を破壊するかのようなパフォーマンスは必見。


『ヤマサキセイヤと同じ性別』や『WANIMAと同じ人数』といったパロディー楽曲に加え、『恐竜博士は恐竜見たことないでしょ』といった核心を突く楽曲など、レパートリーも豊富。


有名どころで独自の社会風刺やあるあるネタをぶっ混むバンドといえばヤバTやキャウソネコカミが挙げられるが、その枠のネクストブレイクアーティストは、きっと超能力戦士ドリアンだと思う。

 


超能力戦士ドリアン「いきものがかりと同じ編成」

 

 

PHONO TONES

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猪股ヨウスケ(Ba)
伊地知潔(Dr)
宮下広輔(Pedal Steel)
飯塚純(Key)

 

ASIAN KUNG-FU GENERATIONをはじめ、各バンドの主要メンバーが集まって結成したインストバンド。


下のPVでも出てくるが、『ペダルスティール・ギター』と呼ばれる謎の楽器が目を引く。この楽器は歪んだシンセサイザーのようなサウンドを出すことができる楽器であるが、極めて高い演奏技術を必要とするため、演奏プレイヤーを見つけること自体が難しいとされている。


そんな楽器をPHONO TONESはバンドで用いている。『Saturday 少林 Fever』に顕著だが、本来サブに徹するペダルスティールを、あえてメイン楽器として使っている。疾走間のあるメロディーに一役買っているこの楽器の存在でもって、決して既存のバンドにはない新たなサウンドに昇華している印象だ。


それぞれのバンドの活動が本格化しているため、ライブとCDリリースの機会はめっきり減ってしまったが、それでもずっと待ち続けたい。

 


Saturday 少林 Fever/PHONO TONES

 

 

SEKAI NO OWARI

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Fukase(Vo.Gt)
Nakajin(Gt)
Saori(Piano)
DJ LOVE(DJ)

 

日本のポップアイコン、セカオワ。今ではすっかり有名になってしまったが、よく考えてみると彼らの編成もかなり異質である。


そう。ベースとドラムがいないのだ。しかしこのふたつの楽器の音色自体はDJのサンプリングで補完しているため、音源を聴くと音は軽いながらも、確かにベースとドラムは鳴っている。


かつて『世界の終わり』名義で活動していた時こそ4人のみで音を奏でるスタイルだったが、昨今はご存じの通り大規模な管楽器や弦楽器、打ち込みを多用した作曲方法にシフト。今では演奏メンバーが10人を超えることはざらであり、総じて『メンバー以外の音の方が多い』という特殊な構成になっている。


かつて『世界の終わり』名義でのインタビューにおいてFukaseは『ロックバンドとしての世界の終わりが好きな人は、次からは嫌いになるかもしれません』と語っていた。そして現在はその言葉を体現するかの如く、ロックバンドではなく極上のポップスを鳴らす集団と化した。


今では制作費1億円のテーマパークを模したライブを敢行したり、野外のフェス会場を貸し切るなど、どんどん規模が大きくなっているセカオワ。今後リリースする楽曲も、音数が多いものになるのは必然と言える。

 


世界の終わり/天使と悪魔

 

 

385

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MIYA(Vo.Ba)
TENGAN(Dr)
蓮尾理之(Key)

 

サイケデリック・ロックバンド。名前を385(さんはちご)と言う。


このバンドではギターがいない。その代わりにMIYAのスラップベース(弦を弾くのではなく、叩いて鳴らす奏法)と蓮尾のワウペダルを多用したキーボードが主旋律を担っている。


通常スラップベースというのはあまりにも主張が強いことから、使うとしてもサビや激しい楽曲のみに使うなど、場所を選ぶ必要があるとされている。しかしMIYAは全編に渡ってスラップを使用。385の楽曲は、スラップなしでは成立しないものばかりである。


決して表に出るサウンドを鳴らすバンドではないのだが、地元沖縄や地下のアンダーグラウンド界隈ではニッチな人気を獲得していた。


昨今はMIYAとTENGANの結婚と、それに伴った活動拠点の変更により、蓮尾は脱退。MIYAも向井秀徳率いる『ZAZEN BOYS』への正式加入が発表された。そのため385は実質的な活動休止状態にあり、次のリリースやライブ予定は未定。

 


385 - 恋がわからない(PV)

 

 

…さて、いかがだっただろうか。変わった編成のバンドの世界。


ざっと挙げただけでも、これだけ変わった編成のバンドはいるのである。今回は日本のバンドのみに絞っての紹介となったが、世界に視野を広げるともっと多いだろうと思う。


今回紹介したアーティストのPVを紹介欄に貼り付けているので、良ければ聴いてみてほしい。そして少しでも気になったら、店頭でCDアルバムも手に取ってみてはいかがだろうか。