こんばんは、キタガワです。
あなたは10代の頃、どんな子どもだったか覚えているだろうか。
例えば親から「勉強しなさい」と催促されて怒ったり、たった一度のケンカで友人と疎遠になってしまったり。些細なことにやきもきすることが、山ほどあったと思う。
それらは当時は苦い記憶として残ったかもしれない。しかし今思い返してみれば全てが良い思い出で、いとおしく感じるものだ。なぜなら、そんな過去の様々な出来事なしでは、今の自分の性格は形成されていないはずだから。
だからこそ、「特に10代の頃はいろいろ経験すべきである」と、大人は口を揃えて言う。
今回紹介する2017年公開の映画『君の名前で僕を呼んで』は、そんな子ども時代の記憶をぎゅっと凝縮した、心に響くラブストーリーである。
主人公は17歳の少年。遊びたい盛りな年頃であり、時にはプール、時にはバレーと、縦横無尽に動き回るまさに「年相応の子ども」といった性格だ。
趣味は譜面を読むこと。全体を通してピアノを弾くシーンが描写が多く描写されるのだが、将来はピアニストになりたいというわけでもなく、それすらも趣味の一貫として捉え、長い長い休みを謳歌していた。
そんな中、24歳の謎の青年がアメリカからやってくる。ハンサムでガタイもよく、誰とも打ち解けられる彼は、主人公宅で共同生活をすることとなる。
ある種ミステリアスな彼に対し、当初は苦手意識があった主人公。しかし日々生活するにつれ、次第に心惹かれていく。そしてそれは予想もしていなかった、プラトニックな恋愛感情に変わっていく……。
この映画では、少年の年相応の欲求や感情が、とてもうまく描写されている。意味もなくイラついたり、欲求不満で体を求めていたりといった17歳の少年のリアルがここにある。鑑賞すれば、誰しもが過去の自分と照らし合わせてしまうはずだ。
そして名言は避けるが、とある場面においては驚きの演出が盛り込まれる。映画に感情移入をするタイプの人ならば、必ず何かを感じるはずだ。
心が温かくなる映画というのは、探そうと思ってもなかなか見付からないものだ。もしあなたがそういった映画を探しているのなら、僕はまずはこの映画を推す。