キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

【ライブレポート】シソンヌライブ2018『モノクロ』@松江B-1

こんばんは、キタガワです。


9月2日、松江B-1で行われたシソンヌのお笑いライブに行ってきた。

 

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今回のツアーで47都道府県制覇を目指すシソンヌ、ついに島根県に来てくれた。近場の広島ではレギュラー番組を持っているだけに歯痒い思いがあった。こんな辺鄙な場所にわざわざ来てくれてありがとうございます。


昼と夜の2回公演だったわけだが、今回は夜を選択。……というかお笑い単独ライブは初めてだったので、どんな心持ちで臨んだらいいのか全くわからない。


とりあえず中に入ると、薄暗い中に多くの椅子が備えられていた。いつもは『THE ライブハウス』な雰囲気満載のこの場所だが、やっぱりお笑いライブということで、空気感が少し違う。


そしてステージには今回のツアータイトル『モノクロ』を象徴するような、昔のテレビのような物体が鎮座していた。ちなみにこのテレビ、コントの最中も撤去されたりは一切なく、ずっと同じ場所にあった。


そもそも今回のライブ、思い返せば服装も変えなかったし、照明も一定の明るさだし、ステージにはテレビ以外のものは一切置かれることはなかった。極めてシンプルに削ぎ落とされた環境下でのライブだったと思う。


ここからはネタ紹介。思いっきりネタバレ全開なので、参加予定の方はご注意を。

 

①はじめての書店

書店に初めて来た客と店員のコント。『あまりの本の多さに気絶する』という冒頭から、「少し横になっていいかしら?」→「他のお客様もいますんで……」の流れで、掴みはバッチリ。


客はどうも「素敵な作品を読みたいの!」という感情のみで来店したらしく、本の名前も作者名も分からない。「素敵な作品を~」の一点張りなので、店員が困惑する様が面白い。


さらには「なぜあんな高いところに本があるの?まさか巨人が来る!?」、「本がたくさん……ここは森!?」と、客の感覚は勝手に麻痺していく。一貫して冷静な店員と、依然混乱したままの客のコントラストが映える。


最終的には『素晴らしい詩』という部分だけで、わけもわからずDREAMS COME TRUEの全歌詞集を買うというオチ。このときはまさか、この話が今後のコントの伏線になっているとは思ってもみなかったのだが。


②遭難

新卒で入社した新入社員が飛行機で研修先に向かう途中で事故に遭い、生き残りが自分たちしかいない、という話。


長谷川演じる新入社員はゴリゴリの体育会系で、ポジティブで明るいタイプの人間。対してじろう演じる新入社員は、超コミュ障で謎理論の持ち主。


次第にイラついてくる長谷川とマイペースなじろうの対比が面白い。前半は若干シリアス寄りな話ではあったものの、じろうが「あ……あなたのことが嫌いで~す!」と暴露したあたりから、笑いの導火線に火がついた。


ガハハと笑える話ではなかったが、僕としてはこういう笑いも好きなので楽しめた。溜めて溜めてドン!という盛り上がりもあれば、緩やかなペースで終わる話があってもいい。良かった。

 

③はじめてのカラオケ

まさかの①の伏線回収がされたのがこのコント。


DREAMS COME TRUEの全歌詞集を買った女性が、ドリカムの曲を歌いに初めてカラオケに来たという話。


このコントでポイントになったのは『DREAMS COME TRUEの曲を聴いたことがない』という点。「詞のイメージだけで脳内にメロディーが流れてきた。今回はその答え合わせをしにきたの」とのことだが、合っているわけがない……。


ここでも冷静な店員と恍惚の表情を浮かべる客との会話が最高で、「(指を左右に振りながら)LOVE♥️……LOVE♥️……LOVE♥️をお願い!」→「ラブラブラブですねー」→「ブランブランブラン?」の流れは反則。この流れ、5回くらいやっていた。


最後は実際の曲を店員が流し、客が「これじゃない!これじゃない!嫌ー!」と耳を押さえながら暗転。

 

④おちんちん

ラストのコントは、まさかのド下ネタだった。


マイホームを買いすっかり大人になった長谷川と、いつまでも子供のままのじろうの話。


このコントの肝は、じろうによる「子供はおちんちんを出すべきだ!」という支離滅裂な思考による混乱である。自身の子供に厳しいしつけをしてきた長谷川に、「大人になっちまったなあ!」と啖呵を切るじろう。もちろんじろうの方が間違ってはいるのだが、いかんせんじろうの熱量が凄く、次第にじろうのペースになっていく。


最後は子供がじろうになつき、おちんちんをしきりに露出するようになる。負けを認めた長谷川も、じろうも、みんなでおちんちんを露出して大団円。


そこを妻に見つかり暗転。面白かった。


④終了後は、シソンヌのふたりと観客とのトークへ。「島根は何が有名なんですか?」との問いに何も答えられない島根県民に、しきりにツッコミを入れていた。


「ノドグロとか、ババアの唐揚げとか、野焼きとか……」と頑張って話を広げるメンバーであったが、島根県民のレスポンスが悪い。……いや、本当に何もないのである。ノドグロ、そんなに食べないし。


極め付きは「ここらへん、何があります?」との問い。もう本当に何もない。ライブ会場のそばのイセミヤという場所は、居酒屋くらいしかない。有名店もないので、みな曇った顔をしていた。島根県民は繊細なのである。


だがさすがはシソンヌ。レギュラー番組も多数抱えていることもあり、卓越したトークスキルで笑いに変えていく。ありがたい。


ライブはちょうど1時間で幕を下ろした。アットホームな感じで、フラっと楽しむことができた。また行きたい。