こんばんは。キタガワです。
僕がELLEGARDEN活動再開のニュースを知ったのは、MONOEYESのメンバーでもあるスコット・マーフィー氏のツイートだった。
そこにはELLEGARDENの写真が添付され、活動再開を匂わせる文言が記されていた。だが公式サイトにいくらアクセスしても、アクセス過多によるサーバー負荷がかかり、表示されるのはエラー画面ばかり。それならばとTwitterで『ELLEGARDEN』と検索してみるも、同様な状況に右往左往しているファンは多いらしく、困惑のツイートで埋め尽くされていた。
「何か大変なことが起きている」。そんな確信にも似た感情が、頭を支配していた。
そして後に、各メディアの発表の通り、活動再開が正式な情報であると明言された。8月には『THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018』と題された全国ツアーも決定。まるで全盛期のELLEGARDENを見ているかのような精力的なライブスケジュールには、「本当に10年間活動休止してたっけ?」と疑いたくなるレベルだ。
僕がELLEGARDENと出会ったのは中学生のときだった。当時ロックンロールのロの字も知らないひとりの少年は、世紀の名曲『高架線』でもって、ロックの世界に足を踏み入れたのだ。
〈I am dreaming of a girl rocked my world 南北へ続く高架線〉
〈この先にはきっとあるとささやいてる〉
ギターをつま弾く調べから轟音のロックへと雪崩れ込むこの曲は、衝撃的だった。ヒットチャートを独占している、いわば大量生産されたような音楽とは違う。よく分からなかったが、今まで聴いたことのないタイプの曲だということは、はっきりと分かった(後にこれが『ロック』というジャンルであると知る)。
それからの僕は、まるでロックの亡霊に取り憑かれたようだった。CDショップでロックのジャンルの棚を見付けては、見たこともないバンド名の数々をノートに片っ端から書き記した。
帰宅すると、メモしたバンド名を某動画サイトで検索し、曲を何時間も聴き倒した。dustbox、Hi-STANDARD、10-FEETなどの今なお最前線で活躍するロックバンドは、全てここから知ったと言っても過言ではないだろう。
間違いなく当時は、人生で最も輝いていた瞬間だったと断言できる。今でこそロックに詳しい人間になってしまったが、そのきっかけを作ったのは間違いなくELLEGARDENだ。
だが、僕の頭に渾身の一撃を喰らわした『高架線』が入ったアルバムは、ベストアルバム『ELLEGARDEN BEST(1999〜2008)』だった。……勘の良い読者はお分かりだろう。そう。この時点で、ELLEGARDENは無期限活動休止を発表していたのである。
なもんで、ELLEGARDENへの愛情は日々高まる一方だったのに対し、ライブに足を運ぶことは叶わなかった。だが細美武士氏の新バンドの活動は活発化していくわけで、それを横目で見ながら「ELLEGARDENはこのまま解散するんじゃなかろうか?」という不安も大きかった。
気付けば10年が経過していた。10年の月日は長かった。その間にはいろいろなバンドが出てきたし、個人的な音楽の嗜好も変わった。いつしかELLEGARDENはほとんど聴かなくなってしまった。
そんな熱が冷めきったところに舞い込んできたのが、ELLEGARDEN再始動のニュース。
遅いよ、ばかやろー。
でもありがとう。やっと、輝いていた青春時代の時間が動き出した気がするよ。
でも中学生だった頃のロック少年は、もういない。もしライブツアーに行けたとして、ELLEGARDENと対峙するのは、ロックに染まりきった23歳の大人だ。
彼らは、どんな音楽を奏でてくれるのだろうか。そして僕はどんな顔で、ライブを観るのだろう。……空想しても仕方がないけれど、確実なことがふたつある。
それは彼らが10年前と変わらないパワフルな演奏で楽しませてくれるだろうということ。で、僕は「何だかんだ言いながらも、きっと泣いてるんだろうな」ということだ。
※音楽文 powered by rockin'on.comにて、今回のELLEGARDENについてのエッセイが掲載されました。是非。