キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

【ライブレポート】FLOW Tour 2018 ~アニメ縛り~@松江Aztic Canova

こんばんは。今回のライブ、『WORLD END』でウルっときたキタガワです。

 

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今回は5月20日に島根県松江市、Aztic Canovaで行われた『FLOW 15th anniversary TOUR 2018 ~アニメ縛り~』のライブレポートを書きたいと思う。


毎度書いている通り、膨大なネタバレが含まれているため、参戦予定の人は絶対に読まないでほしい。


まずはこの『アニメ縛り』という今回のツアーについてまとめておこう。


そもそもFLOWは、15年間の活動において、アニメのタイアップが最も多いバンドとして知られている。NARUTOの主題歌『GO!!!』を始め、コードギアス、エウレカセブンなど、多くのアニメのOP、EDを担当してきた。同時に、大半の認知度をライブ活動ではなくアニメで獲得してきた、珍しいバンドなのだ。


そして満を持しての開催となった、去年12月の日本青年館。この会場で、アニメのタイアップ楽曲のみを演奏する『アニメ縛り』が初めて慣行された。


もちろん歴代のファン……ひいてはアニメファンが飛び付かないはずはない。チケット倍率は定員の10倍以上にのぼり、実質的なプレミアムチケット状態となった。

 

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……そこで、今回のアニメ縛りツアーである。「そこまでのニーズがあるなら全国でやろう!」という意味合いで開催された今ツアー。もちろん全会場、ほぼソールドアウト。FLOWとアニメの繋がりが、途方もなく大きくなっていることに気付かされたツアーとなったのだ。


前置きが長くなったが、ここからが本題。それでは、以下よりライブレポートを書いていこうと思う。


定時を過ぎて暗転。すると、穏やかなBGMと共に、聞き覚えのある声が。流れてくるのは、NARUTO、コードギアス、テイルズ、べるぜバブ、エウレカセブンなど、FLOWがテーマソングを担当した古今のアニメの声優たちの声だった。


主人公役だけでなく、NARUTOの春野サクラや奈良シカマル、コードギアスのC.C.や紅月カレンなど、ヒロイン役やその他の重要キャラまで網羅。FLOWファンのみならず、アニメファンも大満足のオープニングに、みな大興奮だ。


ちなみにこの時点でも「すげえ」と感じたわけだが、後のMCでは、これらが全てFLOWの今回のツアー用の録り下ろしボイスだと明かされた。金かかってるなあ。


NARUTOの主人公、うずまきナルトの『頼むぜ!FLOW!』の一言から、FLOWのメンバーが定位置についた。そして奏でられた最初の楽曲は『Hey!!!』。


激しいギターサウンドでリードするロックナンバーであり、フロアは一瞬にして灼熱地獄へと変貌する。サビでは熱量に呼応するように大勢の手が挙がり、一体感も抜群だ。


ところで、今回のライブで驚いたことが2つある。


まず、KOHSHIとSEIGOの2名のボーカルが、最初から最後まで全くブレなかったこと。


前述したように今回のツアーは、有名なアニメタイアップ集……つまり、BPM速めの激しい楽曲のオンパレードだった。要は、必然的に声を張り上げる楽曲ばかり。僕は『Hey!!!』の時点で、「このままのペースでは行かんだろう。行ったら喉が潰れるだろうし」と考えていたのだが、結果としては『このままのペースで行った』し、『喉は本調子のまま』だったのだ。


あれほどのカロリー消費量の楽曲たちを辛い顔ひとつ見せず歌いきった彼ら。相当な場数を踏んでいるのが分かったし、なんと前日も同じアニメ縛りのライブがあったそう。


FLOWが15年間続いている真髄はこれなのかなあと思った次第である。


次に、会場の一体感がとてつもなかったこと。


これはいち観客目線の話であるが、今回のライブは、先日発売されたFLOW2枚目のベスト版『FLOW THE BEST ~アニメ縛り~』も相まって、ファンにとってはいわば『やる曲が全部分かっている』状態のライブでもある。


にも関わらず、1曲1曲が演奏された際のボルテージの高さが、2時間の公演中、全く途切れなかったのだ。


通常、バンドのライブはゆったりした楽曲を挟んだりすることで、ある種のクールダウンを図ることがある。MCも然りだ。そうなると、次に演奏される楽曲はどれだけ有名であろうが、観客のテンションは若干下がる傾向にある。


で、今回のFLOWである。観客は終始大合唱で答えていたし、まるで「全員歌詞知ってるでしょ」と思えるほど、口ずさみあっていたのだ。終盤では、歌いすぎて声が涸れてしまう観客さえいたほどだ。そして『愛愛愛に撃たれてバイバイバイ』からは多数のクラウド・サーフィング(観客が観客の上を進む行為)も見られ、これには本当に驚いた。


僕はCanovaに観客として来て20回を数えるのだが、初めて見た光景だった。温厚な島根県民をそうさせる何かがあったに違いない。


閑話休題。


数曲終わり、MCへ。SEIGOは「(観客との距離が)近っ」と一言。「隠すことなんて何もないからね」と観客を煽り倒す。


そして、今回の『アニメ縛り』と題されたツアーについて語る。アニメのタイアップに感謝していること、タイアップがなければ今回のライブは無かっただろうということ……。FLOWがひとつの楽曲に対して、真摯に向き合っていることが伺い知れたMCだった。


その後は間髪入れずに楽曲を投下。基本的に、そのアニメの楽曲を固め打ちしてから次のアニメシリーズに移るスタイルだ。


特筆すべきは、演奏前の演出。例えば『COLORS』演奏前には、コードギアスのヒロインであるC.C.の「皇歴2010年8月10日、神聖ブリタニア帝国は、日本宣戦布告した……」というおなじみの語りが挿入された(しかもかなり原作に忠実で、長め)。そのあとにシリーズ楽曲が連続で演奏されるのだから、アニメファンには垂涎ものだろう。


そして、島根県限定のカバーにも触れておきたい。ツアー会場ごとに、ご当地アニメソングをカバーするこの企画、当初は「島根県でやるならこれ!」という楽曲を事前に用意していたそうだが、『エヴァンゲリオン展』の開催を知り、急遽変更。


披露されたのはなんと『残酷な天使のテーゼ』。ボーカルの力強い歌声にリードされながら、抜群の破壊力を持ったナンバーとして受け入れられていた(ちなみに、途中の間奏は『DAYS』の打ち込みサウンドをそのまま使用したらしいのだが、きちんと『残酷な天使のテーゼ』になっていて驚いた)。


逆に、アッパーチューンだらけの今ライブにおいて、最もメロディアスな雰囲気に満ち溢れていたのは、『光追いかけて』。演奏前にはMCで改めてアニメに感謝していることや、今後もバンドのギアを緩めない旨の意思表明を行った。そこからの『光追いかけて』は、決意に満ちた道標を示しているかのようで、感動的であった。


ラストはもちろん、NARUTO楽曲。ラストスパートとばかりに、今回のベスト盤の中でも特に認知度が高く、かつ人気な楽曲を投下していく。


そして最後はもちろん、これを聴かずには帰れない『GO!!!』でシメ。コールアンドレスポンス、大合唱、連帯感ゼロのウェーブなど、ハッピーな雰囲気に包まれて大団円となった。


〈We are Fighting Dreamer 高みを目指して〉

〈Fighting Dreamer なりふり構わず〉

〈Fighting Dreamers 信じるがままに〉


ライブ終了後も、全く鳴り止まない『GO!!!』の大合唱を聴きながら、僕は思った。


「FLOW、あと20年くらいやれそうだな」と。

 

【FLOW@島根 セトリ】
Hey!!!
WORD OF THE VOICE
Steppin' out
DAYS
Realize
ブレイブルー
愛愛愛に撃たれてバイバイバイ
CHA-LA HEAD-CHA-LA
HERO ~希望の唄~
CALLING
残酷な天使のテーゼ(島根限定カバー)
COLORS
WORLD END
BURN
風ノ唄
INNOSENSE
光追いかけて
Re:member
SUMMER FREAK
虹の空
Sign
GO!!!