こんばんは。Youtuberの中ではヒカキン、はじめしゃちょー、Fischer'sが好きなキタガワです。
4月27日、ミュージックステーション(以下Mステ)。つい先程フィッシャーズの出番が終わりましたね。
振り付けもバッチリ決まり、お客さんの反応も上々。大きなミスもありませんでしたし、大成功と言って良いのではないでしょうか。
ちなみにYoutuberとしてのミュージックステーション(以下Mステ)の出演は、HIKAKIN & SEIKIN以来2組目。新たなメディアであるYoutuberの存在は、音楽的な部分においても、全国に広がりつつあります。
ですが、日頃から音楽の文章を書かせて頂いている僕は、こうも思うのです。
『Youtuberが音楽をやるのは本当に良いことなのか?』と。もっと言えば『音楽業界にとってマイナスなのでは?』と。
今回は『Youtuberが音楽をやるのは是か非か?』という点について、フィッシャーズを主な例に挙げて書きたいと思います。
まず最初に個人的な意見から。僕はYoutuberが音楽をやることについては、アリだと思っています。少なくとも、金稼ぎや手抜きを考えて作られていなければ。
今回Mステに出演したフィッシャーズに関しても、決してよこしまな目的ではなく、『「好きなことをやりたい!」と考えた結果が音楽だった』のでしょう。だから個人的には、非常に良い評価をしています。
ンダホさんが作詞作曲を手掛け、マサイさんが撮影・編集を担当……。もし商業目的なのであれば、適当に作ってアップすればいいだけのはず。しかし彼らは、あえて音楽とPV製作に全力で取り組み、完成度の高い作品『虹』を産み出してみせました。
で、結果として『虹』のPVは3000万再生に届こうかという勢いまで登り詰め、最終的には今回のMステ出演に繋がった流れです。素晴らしい。
では何が問題なのか。それは、有名Youtuberが音楽を作った際の『拡散力』にあります。
常々思っていることなのですが、今は何でも『知られたら勝ち』の時代に突入しています。「コンビニのこの商品うまい!」と誰かがツイッターで広めれば、売れ行きが上がる。「芸人の○○さんが優しい!」と書けば、その人のイメージが良くなってファンがつく。そういう時代です。
今回のフィッシャーズの『虹』についても、同じことが言えます。要は、『"人気Youtuber"である"フィッシャーズ"が作った"曲"だから売れたんじゃない?』といこと。
はっきり言って、PVの『3000万再生』という数字は異常です。売れているバンドマンの再生数でさえ、この5分の1ほどでしょう。
最近で言うと米津玄師さん、バルーンこと須田景凪さんなどが該当しますが、新曲をアップすれば瞬く間にリツイートといいねの嵐、再生数はうなぎ登りになったりします。もちろん良い曲なのは間違いないのですが、「リスナーの皆さん、少し盲目になりすぎてませんか?」ということが言いたいのです。
ここからは余談になりますが、僕の地元である島根県の知り合いに、売れないストリートミュージシャンのAさんという方がいます。毎日路上での弾き語りを続けていますが、おこづかい程度の金にしかならないAさん。僕は彼の音楽がたいそう好きで、CDも全て買いました。ですが同時に、「なぜ売れないんだろう」とも思っていました。
ある日、Aさんに言われた言葉があります。それは「対した努力もしていないミュージシャンは許せない」というものでした。話を聞くと、最近知り合いのミュージシャン仲間が音楽レーベルにスカウトされ、全国流通のCDデビューが決まったとのことでした。
その人の音楽は、お世辞にも『売れる曲』には到底及ばないレベルで、路上ライブでもほとんど曲は披露しなかったそうです。ですがその代わり喋りがとても上手く、SNSのフォロワー数も膨大で、Aさんよりもファンが多かったそう。
レーベル契約の話も巧みな話術を駆使して獲得したもので、「会社が言う通りの曲を作ってくれ」という会社の意見に彼が承諾した結果だといいます。Aさんは泣いていました。「自分が良いと思った曲をやらないあいつの何がミュージシャンだ」と。
僕は酷く悲しい気持ちになりました。極端な話、Aさんのフォロワーが10万人もいれば。Aさんにレーベルとのコネがあれば。今頃スターダムを駆け上がっていたであろう逸材だと思ったからです。
話を戻します。
今回、フィッシャーズの『虹』が3000万に近い再生数を突破し、Mステの出場権を獲得しました。では、他のYouTuberならどうなるでしょうか。
例えばはじめしゃちょーが音楽を出したら?水溜りボンドだったら?東海オンエアだったら?……。僕としては、もしも所属会社がUUUMであり、あの歌詞でなければ、今回のフィッシャーズの座はレペゼン地球だったと思います。
僕が懸念しているのは、「本業のミュージシャンに支障が出ること」。これだけです。
もしもこの先、Youtuberや実況者が出した曲ばかりがチャートを独占したら?
ミュージシャンのチケット売り上げが減り、代わりにYoutuberの視聴者参加型イベントばかりがソールドアウトするようになったら?
若者に「やっぱ○○(ミュージシャン)より、○○(Youtuber)の曲の方がいいよね!」と言われたら?
……こうなったら、もう日本の音楽は終わりだと思います。
今回フィッシャーズが『虹』でMステに出たことにより、この流行に乗ろうと、今後人気Youtuberが曲を出すことが多くなると断言します。
だからこそ、皆さんに言いたい。
「有名だから」、「ファンだから」。そうではなく、もっと広い視野で音楽を知ってほしい。Aさんのように、売れていなくても良い曲を書く人もいるのですから。
……皆さんも今一度、YoutuberがMステに出演する意味について、考えてみてはいかがでしょうか。
それでは。
※今回このような記事を書きましたが、僕自身、HIKAKIN & SEIKINの『雑草』やUUUMの『JOIN US』、そしてフィッシャーズの『虹』は大好きで、先日ダウンロードで購入いたしました。これからも応援しています!