キタガワのブログ

島根県在住。目標は音楽ライターであり、ブロガーではありません。

山口一郎と僕~サカナクション初のベストアルバム『魚図鑑』レビュー~

私、魔女のセイです。バッハの旋律を夜に聴いたセイ。こっちは変人の岡崎。

 

 

 

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サカナクションがデビュー10周年を迎えた今年、2枚のアルバムの発売を宣言した。1枚はベストアルバム、1枚はオリジナルアルバムだ。

今回は、先日入手したベストアルバムについて書きたいと思う。

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実は当初、僕は購入をためらっていた。理由は、サカナクションが今までに出したCDは全て持っていたからだ。まだ聴いたことのない曲といえば映画『曇天に笑う』の主題歌『陽炎』くらいで、それ以外の曲に関してはどれも歌詞を見ずに口ずさめるほどには聴き込んでいる自信がある。買う意味はあるのか?と一抹の疑問を抱きながらも、いや、ファンならば買うしかない!と、半ば勢いに任せた形で購入に至った。

結論を書く。買ってよかった。長年のファンもにわかファンも、みんなまとめてマストバイな一作となっている。


まず、中身はこんな感じ。

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左から

①歌詞カード
②CD & DVD
③ブックカバー
④全国ツアー先行抽選シリアルコード & プレイパス

である。

声を大にして言いたいのは、①の歌詞カード。これがなかなか見応えがある。全体がまるで本当の図鑑の如く、詳細にデータ化されている。面白い。

そして特筆すべきは、楽曲が誕生した経緯と、当時の山口の葛藤が詳しく描かれている点だ。詳細は省くので申し訳ないが、ひとつひとつの楽曲に対して山口は本当に真摯に、身を削って考えていることが分かる。

新宝島』の歌詞の構成に半年を要したり、『僕と花』に隠された意味であったり。他にもクスリとする話も語られている。もちろんこれらは一部に過ぎないので、ぜひご自身の目で確認してみてほしい。さらにサカナクションに対する理解が深まるはずだ。

後半には、メンバーの好物、特技、趣味、嫌いなものが列挙されている。そのどれもが、メディアではほとんど語ることのなかった情報ばかりで、貴重である。

次に、②のCD & DVDについても語っておきたい。今作のCDは『浅瀬』、『中層』、『深海』の3パターンに分けられている。

『浅瀬』は、THE・ベストアルバムという形。ライブ定番曲やYoutube等でPVとして挙げられている楽曲が並べられている。『陽炎』を最速で聴けるのもポイント。

『中層』は、ファン人気の高い楽曲が集められている印象。ファン投票1位の『目が明く藍色』もこちらに収録。

『深海』は、完全生産限定版プレミアムBOXにのみ付属。なお、現在は入手困難な代物である。こちらに関しては、かなりコアなファン向けの楽曲が多い。中にはほぼライブでも演奏しないような楽曲すらあるが、名曲であることには変わりない。ちなみに一風変わった方法でレコーディングされた『グッドバイ』が聴けるチャンスは、これっきり。

ちょっと捕捉をすると、ベストアルバムとのことで、現在ライブで披露されている『SORATO』や、新曲『陽炎』のオリジナルバージョンなどは収録されていない。おそらくこれらは次のフルアルバムに収録されるのだろう。なので「SORATOが聴きたいから買う!」という方は一旦ストップしてほしい。大丈夫、僕もめっちゃ聴きたいんです。待ちましょう。

で、やっとこさCDについて語りたいと思うのだが、聴き進めるたびに思うのは「やっぱ山口良い曲書くなあ」という点に尽きるのである。

日本に作曲家は数多くいるが、これほど完成度の高い楽曲を作る山口はやはり天才と言う他ない。分かりやすい作曲の天才として川谷絵音がいるが、彼はほぼアドリブで1曲を完成させてしまうほどのスピードの持ち主である。

対して山口は、1曲にかける時間がとんでもない。事実、最後に出したオリジナルアルバム『sakanaction』の発売は5年以上も前のことである。破壊と構築を繰り返し、試行錯誤の末に1曲を産み出す男こそが山口一郎であり、そんな彼だからこそファンは付いていくのだと思う(川谷さんを悪く言うつもりは全くないです。ご容赦ください)。

話は脱線して申し訳ないが、本当に山口は大変だと思う。コンスタントに作品を出さない分、そのプレッシャーは計り知れないものがあるだろう。CMタイアップ、売れ行き、ファン人気……。彼は東日本大震災が発生したとき、「こんな状況すらも歌にしないといけないのか」と悩んだという。突発性難聴で右耳がほぼ聴こえなくなったのも、ストレスが起因しているのではないか。だがそんな中でも彼は作品を世に送り出してきた。

その結果が、今回の『魚図鑑』のアルバムデイリーチャート1位なのだろう。だから僕たちファンやメンバーは、彼に背中を預けて信頼するのだと思う。

……話を元に戻します。何だっけ。あ、次はDVDですね。

DVD(もしくはBlu-ray)は、計20曲収録されている。そして『シンシロツアー』から2曲、『SAKANAQUARIUM 2010』から2曲……というように、過去のライブでの演奏を古い順から2曲ずつ切り取った作りになっている。

時系列を追って見ると、ライブでのサカナクションが変化を続けていることが鮮明に記録されている。例えば『シンシロツアー』ではメンバー全員が若いし、現在のような大がかりなセットも照明もない。演奏も、初期衝動をそのまま爆発させたような、やや荒削りな感がある。

幕張メッセにて行われた『SAKANAQUARIUM 2013』あたりから、しだいに現在のサカナクションっぽさが出てくる。PCを横にズラっと並べて『ミュージック』に進む流れであったり、キーボード岡崎英美の衣装の変化であったり。こうして進化の変遷を辿れるのは、ファンにはありがたいところ。

そして今作のDVD、僕が個人的に嬉しかった点が2つほどある。

まずは、『SAKANATRIBE』が収録されていること。ライブでは古くから披露される長尺EDMであるが、実はCDでは1度も音源化されていない激レア曲である。これがDVDで見ることが出来るのは非常に嬉しい。

次に、ほとんどのライブのはじまりは『ライブの1曲目』であること。僕はいろいろなライブに足を運ぶのだが、『バンドが1曲目を演奏する瞬間』が最も興奮するのだ。全身の毛穴がブワっと開いたような感覚は、あの瞬間にしか味わえない。それが見れるのだ。素晴らしい。

プロジェクターに投影される幻想的な風景。そこから観客が手拍子をし、メンバーがゆっくりとステージに降り立つ。歓声を挙げる観客たち。そこで1曲目『インナーワールド』が流れた瞬間、感動と興奮は「うわあー!!」という叫びにも似た歓声でもって爆発する……。

控えめに言って、最高である。無人島に持って行くならこのDVDを選ぶ。テレビないけど。電気ないけど。


えー、次、③のブックカバーの話なんですが、あまり語ることはないです。理由は、勿体なくて付けられないから。魚の勉強にはなると思う。以上!

……ここまで長々と語ってきたわけだが、いかがでしただろうか。少しでも『魚図鑑』の魅力が伝わったのなら光栄である。

購入を迷っている人。サカナクションに興味はあるけど曲を知らない人。もう買って、何度も聴いている人。いろいろな人がこのブログを読んでいることと思う。

いちファンとして断言する。このベストアルバムは買いだ。「買ってすぐ売ろうかな」と思っている人、それでいい。「金ないからレンタルで済まそうかな」と思っている人、それでもいい。

音楽好きな全ての人に、このアルバム、ひいてはサカナクションを勧めたい。きっと後悔はしない。

そうすればサカナクション……いや、山口一郎は、また最高の曲を作り、唯一無二の

ライブで僕たちを楽しませてくれるはずだから。


……④の全国ツアーのシリアルコードについて語るのを失念していた。申し訳ない。ライブ、行きましょう。以上!

 

サカナクション公式ホームページはこちら
http://sp.sakanaction.jp/

ベストアルバム『魚図鑑』特設ホームページはこちら
http://www.jvcmusic.co.jp/sakanaction/sakanazukan/