キタガワのブログ

島根県在住。目標は音楽ライターであり、ブロガーではありません。

BAZOOKA!!!企画バンド『ジェニーハイ』は、2018年台風の目となるか?

【普通のことを言う】
二十歳以外ハタチじゃないの

 


「今年は、ジェニーハイの年なんじゃないか?」

先日YouTubeにアップされた『片目で異常に恋してる』を初めて聴いたとき、ふと思った。

これはちょっと、すごいぞ。

 

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まずそもそも、ジェニーハイとは何なのかを説明しなければならない。あえて言葉を選ばずに言えば、『商業目的のバンド』である。

BSスカパーで放送中の番組、『BAZOOKA!!!』。ジェニーハイは、番組の『世間からの注目を集め、番組の知名度を上げる目的の企画』として生まれた。最終的な目標としては、Mステ出演、夏フェスでのライブを掲げている。

 

さて、気になるのはそのメンバーだが、これがなかなか面白い。

ボーカルを担当するのは、中嶋イッキュウ(画像中央)。

ロックバンド『tricot(トリコ)』のフロントマンであり、作詞作曲も手掛ける。人が作曲した曲を歌うのは、今回が初だそうだ。そもそも最近までtricotは、47都道府県ツアー、海外ツアーを回ったばかり。その直後にジェニーハイへの加入である。タフだ。

ギター、兼プロデュースを担当するのは、川谷絵音(画像右から2番目)。

元々プロデュースのみでの参加であったが、「自分で作るやつを誰かに弾いてもらうよりも、自分で弾いた方がいい」との理由で正式加入。いやいや、あなた。何個バンドやってるんですか?しかもゲスの極み乙女。indigo la EndDADARAY、そして今回のジェニーハイ……。それら全てで作詞作曲をし、ライブで歌って演奏し、メディアに出るのである。過労死するんじゃないか?大丈夫?

ベース担当は、野性爆弾くっきー(画像右)。

普段バラエティー番組で見せる、自由奔放で奇天烈なキャラクターとは裏腹に、演奏技術はピカイチ。骨太なバンドの音を縁の下で支える、力強い存在になるだろう。ただひとつ、ライブでふざける可能性が大いにあるのは不安要素だが……。

ドラムは、小籔千豊(画像左)。

番組内でゲス極の楽曲『私以外私じゃないの』のドラムを披露し、川谷本人に「想像を超えてきた」と言わしめるほどのプロ顔負けの演奏力を誇る。手数も多く、パワフルなドラムを叩く印象だ。

そして衝撃的だったのは、キーボードとして現代音楽家新垣隆(画像左から2番目)が加入したこと。

例のゴーストライター騒動の一件からバラエティー番組に多数出演していたのは知っていたが、まさかジェニーハイに加入するとは思っていなかった。小籔いわく「俺の知り合いで一番えげつないキーボード」ということで推薦加入となったわけだが、いやいや。レベルが違いすぎる。ポケモンで最初にライバルと戦うとき、レベル100のミュウツー出された感じ。こっちはたいあたりで頑張って攻撃してるのに、相手のサイコキネシスでオーバーキルされるみたいなヤバさ。

間違いなくジェニーハイの主力である。例えるならラオウギルガメッシュ、魔神ブウクラスの。

 

……と、ここまで結成の経緯やメンバーの紹介をしてきたわけだが、肝心要な部分は音楽であり、はっきり言って、それ以外は些細なことなのだ。曲が良ければファンがつく。悪ければ一発屋のネタバンドで終わる。ただそれだけ。

正直ここまでの段階で、僕の中でジェニーハイへのハードルは、かなり上がっていた。無理もない。有名人を集め、大規模なプロデュースをし、いきなりPVを作るのだ。おいおい、生半可な曲じゃ納得せんぞと思いながら、YouTubeで動画を見た。

 


ジェニーハイ「片目で異常に恋してる」

結論から書く。ぶっ飛ばされた。気付けば笑いが込み上げていた。そして、『2018年はジェニーハイの年になる』と確信した。

まずイントロ部分。再生ボタンを押した瞬間に「あっ!川谷絵音が書いた曲だ!」と誰もがピンとくる作りはさすがで、全体的なイメージは川谷のバンドで言うところのゲス極、DADARAYに近い。川谷、今回も絶好調である。

全体としてはピアノを軸とした作りで、ノリノリで躍り狂うというよりはユラユラと自然に体が動くような楽曲。

 

ここからは僕が『売れる』と感じた点について3点ほど、書きたいと思う。

まずは『サビの印象が非常に強い』ということ。

特にゲス極で顕著に見られる部分であるが、川谷は曲のタイトル、並びに楽曲のサビ部分にあえて印象に残りやすい言葉を使い、興味を惹く手法がたびたび取る。例を下記に挙げる。

〈ロマンスがありあまる ロマンスがありあまる〉

〈私以外私じゃないの 当たり前だけどね〉

〈たった今わかったんだ キラーボールが回る最中に〉

例えば上記に列挙したのはいずれもゲス極の中で人気上位に入る楽曲であり、楽曲名もサビ部分と同じ『ロマンスがありあまる』であり、『私以外私じゃないの』であり、『キラーボール』なのである。

川谷自身も「印象に残りやすい言葉を曲名とサビに使っている」という趣旨の言葉をメディアでたびたび発している。川谷が意図的に試みている手法であることは間違いない。

(もちろん川谷が作曲した曲が全部そうではないにしろ、大ヒットを記録している楽曲が軒並みこのようなタイトルとサビであることから、ある種の関連性はあると考えている)。

では今作『片目で異常に恋してる』はどうか。上記に当てはめてみると、本来ならばタイトル曲……つまり、『片目で異常に恋してる』というサビの歌詞のみが印象に残るはずだ。ここで、ブログを見ている方は、2度、3度と聴き返してみてほしい。さあ、あなたの頭を支配しているフレーズは何だっただろうか?

①〈苦しゅうない苦しゅうない 私が愛想つかす〉

②〈片目で異常に恋してる 私あなたしか見えないわ〉

おそらく、この2つの部分が頭の中をリフレインしていると思う。そう、この楽曲においての最重要ポイントは、上記の2つなのだ。

「あれ?印象に残るフレーズが2つもある」と思ったあなた、するどい。要は、全く異なる破壊力の高いサビが、この曲には2つもあるのだ。

こういう作りをする曲は稀にある。例えば、ゲス極の楽曲『猟奇的なキスを私にして』では


ゲスの極み乙女。 - 猟奇的なキスを私にして

①〈猟奇的なキスを私にして 最後まで離さないで〉

②〈それを分けあって 誰と向き合うの?〉

の2箇所が印象に残るポイントだ。

中嶋イッキュウのバンド、tricotでも、同様の手法を導入した楽曲が存在する。代表曲『爆裂パニエさん』では


tricot『爆裂パニエさん』MV

①〈プランクトンに侵された感情 溺れて消えた〉

②〈嫌い 白い肌の生温さ〉

の2点。

いずれも、どちらかひとつに絞ろうと思えば絞れるものの、あえて2つのサビにすることで、独特の雰囲気や楽曲のエッセンスとして組み込むことに成功していると言える。『片目で異常に恋してる』も同様で、通例のAメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→サビ→Cメロ→サビの概念を覆し、一風変わった作品に仕上げている。

楽曲全体を見ても完成度が高い。スッと耳に残るメロディーラインは、さすが川谷と言う他ない。この男、やはり天才である。

 

二つ目は、『個々のスキル』である。

まず、ボーカル担当の紅一点、中嶋イッキュウ。今回の楽曲を聴いて、tricotのファンは少なからず驚いたのではないだろうか。

転調を多用しドシャメシャな演奏の中心で、男性顔負けの熱さで時には声を張り上げて歌うイメージが、tricotのイッキュウにはあった。それが、ジェニーハイには全くと言っていいほどない。一貫して雅な歌い方に務め、画面越しでも『綺麗……』と思ってしまう感覚は何というか、ボーカリストとしての新たな局面に到達したような気がする。

川谷絵音のギターもさすがだ。indigo la Endのようにサブに徹したものではなく、前へ前へと積極的に進んでいくようなメインギターを奏でている。

これが楽曲全体を引っ張る大事なエッセンスとして、上手く作用している。キーボードに次いで、特攻部隊の一員として大事な戦力である。ギターやっぱり上手いなあ、と改めて感じた。

くっきーのベーステクニックもなかなかだ。

あまりベースが全面に出るタイプの楽曲ではないため、一聴しただけでは印象は残りづらいかもしれない。だが、PVをよく見てほしい。スライドを使いながら、安定した演奏で楽曲を支えている姿が見てとれる。というか、めちゃくちゃ上手いじゃないか。特に一音一音が重要な意味を持つライブにおいては、彼の存在はより大きなものとなるはずだ。

小籔のドラムもとんでもない。

川谷自身が「各自のスキルに合わせて曲を作った」と語っていたが、小籔のドラムの難易度は相当高く設定してある。とにかく手数が多いのだ。かなり集中しなければ叩けない、気を抜く暇が一瞬たりともないパートになっている。だが小籔、吉本新喜劇でのドラムの腕前は相当なようで、難なくこなしている。びっくり。

で、ハードルが上がりまくっていた新垣隆。はい、バケモンです。腕4本ない?Deemoの最高難度の曲やってる?

特に中盤以降のキーボードの腕前に関しては、まさに『プロ』という言葉がピッタリ。最前線で戦局を切り開く歴戦の武将のような、猛々しい演奏が光る。思わず笑ってしまった。番組内でのくっきーの発言を借りるなら、「どのレベル連れてきてんねん!」という感じ。

バカな表現で申し訳ないが、「すげえ」の一言に尽きる。プロアーティストとプロの演奏技術を持つ芸人が合わさると、最高の化学反応が起きるのだということを、まざまざと見せ付けられた形だ。


最後に、『最高の話題性』という点を挙げておきたい。

ジェニーハイは変な書き方をするなら『最高の食材を詰め込みまくってミキサーで混ぜ、超特濃ジュースになった』みたいなバンドである。要は、売れる要素がありすぎるのだ。

ヒットメイカー川谷が作る楽曲。小籔とくっきーという人気芸人がメンバーであり、かつ最高の演奏をするというギャップ。新垣隆氏の起用。BAZOOKA!!!の全面バックアップ……。

『片目で異常に恋してる』のPV公開から1週間で、200万再生に届こうかという流れからも、完全に世間に受け入れられていることがわかる。そしておそらく、今後これにMステ出演、夏フェス出演などの情報が乗っかり、さらなる話題性に繋がるはずだ。


と、ここまで売れる理由を列挙してきたわけだが、ここで僕はもう一度、断言しておきたい。

今年はジェニーハイの年になると。

当初目標として掲げていたMステ、夏フェスへの出演は、すぐに実現するはずだ。それどころか、紅白歌合戦への出場の可能性も高いと思っている。

これからも目が離せない。どこまでも飛べ、ジェニーハイ!

 

 

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