【子供の頃あるある】
「俺ボルシャックドラゴン100枚持ってる!」
キタガワが酒を飲むとどうなる?
・眠くなる
・顔が赤くなる
・ろれつが回らなくなる
・アクビが出る
・目の前がぐらつく
・気が大きくなる
・饒舌になる
・日本酒のロック等、強い酒を飲み始める
・何でもないようなことが、幸せだったと思う
・盗んだバイクで走り出したくなる
・目の前の酒に意思があるように思える
・おい
・おいってば
「聞こえてるんだろ?キタガワ」
目の前のビール缶が喋っている気がする。無論、有り得ない話だ。おそらく僕がしこたま酔っているせいだろう。
酒「今日も寂しいねえ。一人で寝酒なんてよ」
ここ最近、眠れない日が続いている。ストレスのせいか、はたまた、この時間の睡眠に慣れてしまっているのか。……おそらく後者だろう。
酒「どうせ明日になったら、『また酒飲んじまった!太るー!』とか言うんだろうが」
どうせ一夜の夢である。この夢が正夢ならば、ちょっとした事件だ。こいつが言っていることは、ただの妄言に過ぎない。
酒「今お前、『酒が話すわけねえ』と思ってんだろ。違うね。俺は今、確かに喋ってる。そんじゃ、今夜は俺の話を聞いてもらおうか」
何を言っているのだ。こいつは。僕は左右に泳ぐ目を擦りながら、なんとなく話を聞くことにした。ちょうどいい。寝るBGMがわりにはなるだろう。
酒「俺さ、お前に言いたいことがあんだ。知ってんだぜ?お前が、酒無しじゃ人とまともに話すことも出来ねえヘタレだって。俺、いや、俺たちと出会ったのは大学時代だったか。お前は俺たちと出会ったおかげで、友人や、後輩と良い関係築けてんだろ。でも本心じゃ、酒が消えてポジティブ要素も消えたネガティブな自分を、誰が愛してくれるんだって、毎日思ってる。違うかい?」
……。
酒「大丈夫だ。なんとかなるって。いつもお前が言ってることじゃねえか。だから、何か辛いことがあったときとかよ、パーっと忘れてえことがありゃあよ、俺らと遊ぼうや。……っつっても、お前が一方的に飲みまくるだけだが。お前がよく行く居酒屋の店主にも言っとくぜ。『キタガワには強い酒出しとけ!』ってよ、ハハ、まあ喋れねえんだけど。」
……。
酒「お、そろそろ寝そうだな。じゃあ、そろそろ俺を飲み干してくれや。そうしたら、俺も眠れるからよ」
僕は、残った酒をぐいと飲み干し、ゴミ箱に放った。だが中には入らず、ガゴッという音と共に、部屋の隅へと転がっていった。その後の記憶はない。おそらく、そのまま寝てしまったのだろう。
翌日。
僕「また酒飲んじまった!太るー!」