キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

【音楽文アーカイブ】アニソンを歌うということ 〜FLOW15周年記念ツアー『アニメ縛り』を観て〜

FLOW15周年を記念した『アニメ縛り』ツアー。ライブ参戦前、僕は微妙な気持ちだった。
 
バンドとしては通常あり得ないレベルで、FLOWはアニメのテーマソングを手掛けてきた。もちろんそれらの楽曲がFLOWの認知度を高めるきっかけになったのは間違いないし、『タイアップ無しでは現在の地位を築けていなかったのではないか』というのが正直なところだ。
 
で、今回のツアーである。『アニメ縛り』と題された今ツアーは、ベストアルバム『FLOW THE BEST ~アニメ縛り~』の収録曲を網羅するものであると事前にアナウンスされていたし、結果としてほぼ全会場がソールドアウトするまでに至った。……でも、それってどうなんだろう。
 
僕には、「ファンを楽しませたい」、「ニーズに答えたい」との公式の思いとは別に、「これだったら確実にソールドアウトが狙えるだろう」という、いわば商業的な目的が透けて見える気がしたのだ。
 
そのため、僕は楽しみな気持ちと、ほんの少しのモヤモヤとした感情を抱えながら、5月20日、ライブ会場へと足を踏み入れたのである。
 
だが、ライブが終わってみると、それは全くの杞憂であった。現在もツアーは続いているので明言は避けるが、FLOW自身は今回演奏された楽曲に対して『アニソン』というくくりではなく、あくまでも190曲にも及ぶFLOWのいち楽曲が「たまたまアニメで有名になった」くらいの気持ちでいるのだなと知った。
 
今回のライブは、FLOWのそんな心境とファンの熱量が相まって、唯一無二の空間を形成していた。まだ7月までツアーは続くが、間違いなく『今』観るべきライブだと断言できる。アニメファンも、歴代のFLOWファンも。みんなまとめて抱き締めるほどのパワーが、今回のライブにはあった。
 
メンバーがステージから去ったあと、ファンの間で自然発生的に起こった『GO!!!』の大合唱。僕はそれを見て、前述したつまらない感情は瞬時に吹き飛んだ。いやはや、とんだ思い上がりをしていたものである。申し訳なさで顔が熱くなる。
 
同時に「あと20年くらいはやれそうだな」なんて思ってしまった。
 
〈We are Fighting Dreamers 高みを目指して〉
 
〈Fighting Dreamers なりふり構わず〉
 
〈Fighting Dreamers 信じるがままに〉
 
今回の『アニメ縛り』ツアーで国内を回ったあとは、海外ツアーをスタートするFLOW。そして9月には、なんとアニメタイアップ曲を一切排除した『アニメ以外縛り』の開催も決定している。
 
特に『アニメ以外縛り』に関しては、いわば最大の挑戦とも言うべきライブになるだろうが、彼らならきっと大丈夫だろうという確信がある。そして終わった頃には、一回りも二回りも大きなバンドとなって帰ってくるはずだ。
 
Fighting Dreamers(夢見る戦士たち)の闘いに、これからも目が離せない。


※この記事は2018年5月24日に音楽文に掲載されたものです。